11日(木)、Hakuju Hallで行われた品川カルテットの演奏会を聴きに行った。
3月頃、古澤(巖)さんのファンクラブから優先チケットの案内が届いた。
私は品川カルテットの演奏会を一度聴きたいと思っており、この中から行くなら6月11日のHakuju Hallだと妻に提案したが、妻は、金益研二さんとのデュオ、「古澤巖ヴァイオリンの昼と夜」を聴きたいと言う。
日程を見たところ、品川カルテットの翌日11日(土)に丹波篠山でデュオの演奏会がある。これなら土曜日でもあるので行ける。
ということで、11日は休暇をとって品川カルテット、その足で大阪へ移動して1泊、12日に丹波篠山へ行くプランとなった。
JRで千葉から新宿まで行き、西口から渋谷行きの京王バスに乗車、代々木公園駅バス停で下りて、Hakuju Hallへ。
●TAIRIKプロデュース 古澤巖の品川カルテット
日 時 2021年6月11日(金) 14:15開場 15:00開演
会 場 Hakuju Hall
演 奏 品川カルテット
ファースト・ヴァイオリン 古澤 巖
セカンド・ヴァイオリン 福田 悠一郎
ヴィオラ TAIRIK
チェロ 高木 慶太
曲 目 モーツァルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク 第1楽章
マリーノ The tea house
マリーノ Doina and gipsy dance
マリーノ The Watchmaker’s dream
マリーノ The peasant dance
マリーノ Memory
マリーノ Mojito
シューベルト 弦楽四重奏曲第13番イ短調「ロザムンデ」
[アンコール] マンシーニ=マリーノ ムーン・リヴァー
マリーノ Rolling Strings
我々の席はG列10番、12番。1席置きに座る形だ。
入口でもらったセットリスト。
品川カルテット登場。
下手から、ファースト、チェロ、ヴィオラ、セカンドの対向配置。
チェロ以外は全曲立奏。
古澤さんだけフェイスシールドを着けている。
「アイネ・クライネ」の1楽章が演奏された。提示部リピートあり。
以後は、曲間にMCが入った。MCはTAIRIKがメインで、古澤さんとやりとりする形だった。
コロナ禍で客席を間引く運用になったことで、もともと音が響くこのホールがもっと響くようになるため、ステージ上のどの位置で演奏するのが良いか、色々実験したとのこと。
その結果、通常よりはステージ奥に寄った場所で演奏することにしたそうだ。今回の環境ではこれが一番弾きやすいとのことだった。
前半は、ロベルト・ディ・マリーノの書き下ろし作品が並んだ。
一番最初の時期に録音した曲集から「The tea house」。ベルリン・フィルのメンバーと演奏するために書かれた「Doina and gipsy dance」を、マリーノ自身が弦楽四重奏用にアレンジした版。
その後の4曲は、古澤さんの新しいアルバム、「The Ecstasy of Gold」の収録曲。
「The Watchmaker’s dream」は時計職人を表す曲で、セカンド以下3人がずっとピツィカートで演奏するが、それが時計の音を表現しているとのこと。
最後の「Mojito」はキューバのカクテルのはじける泡を表現した曲。最後は、ハイドンの「告別」のように奏者が1人ずつステージから退出していって、最後はヴィオラだけが残った。
古澤さんが演奏しているのは、CoCo壱番屋の創業者、宗次徳二氏から貸与されているストラディヴァリウス、「サン・ロレンツォ」。マリー・アントワネットがこのヴァイオリンを弾いていたという説があるのだそうだ。
最初はウンともスンとも言わなかったが、最近とてもよく鳴るようになったと話していた。
休憩後は、シューベルトの13番、「ロザムンデ」が全曲演奏された。
この曲を聴くのはずいぶん久しぶりだ。日頃音源で聴くこともあまりないし、実演は聴いたことがあっただろうか。あったにせよ相当昔だ。
久しぶりの「ロザムンデ」、いい曲だと改めて思った。
2楽章の「ロザムンデ」のテーマは、思ってみればベートーヴェンの7番の2楽章と同じリズムであることに気づいた。
4楽章を聴いていて、シューベルトはどこかベートーヴェンを意識していたのではないか、と感じた。
アンコールとして、マリーノがアレンジした「ムーン・リヴァー」。ワルツではなかった。4拍子。
これで終わりかと思ったら、「Rolling Strings」。激しい曲、激しい演奏だった。
前半のマリーノを聴いていて、セカンド・ヴァイオリンがずいぶん目立つことに気づいた。弾きながらの動きが大きい。音も大きく、古澤さんが線が細く感じられるくらいだった。
聴き進むにつれて、品川カルテットというユニットは、古澤さんのセンスあるヴァイオリンを、他の3人が支える関係なのではないか、という気がしてきた。
後半のシューベルトでも、この純クラシックの四重奏曲にして、そのスタイルは変わらず。普通なら4人で求心的なアンサンブルを作るところだが、品川カルテットはそうではない。
セカンド以下の3人がかっちりと音楽を作り、古澤さんが自由にふるまう余地を作ってている感じだった。
セカンドが前面に出てリードして3人をまとめている形なのだろう、と納得した。
初めて聴いた品川カルテット、とてもよかった。いずれ近い内にまた聴いてみたい。
ホールを出て、大阪に移動すべく東京駅に向かった。