8月に日本テレビ系で放映された「24時間テレビ44」で、さだ(まさし)さん作詩作曲のチャリティーソング、「歌を歌おう」がMISIAによって歌われたそうだ。
MISIAの発想によってプロジェクトが発足し、ピアニスト紀平凱成、さだまさしのコラボにより制作されたのだそうだ。
当日の番組は観なかったので、既に配信されている音源をダウンロード購入した。
聴いてみて思ったのは、MISIAのヴォーカルの力強さ。まぎれもないMISIAの歌である。
ドラマ性のあるさださんのメロディを生かしていると思った。
一方。
私はMISIAのヴォーカルが全面的に好きなわけではない。その歌唱力は充分評価するが、好みの面で言うと別なのだ。
昨年の紅白歌合戦の感想として、こういうことを書いた。
Superfly「愛をこめて花束を」は、上手いなあと思いながら聴い
たが、大トリのMISIA「アイノカタチ」ともども、「がんばり過ぎてい
る歌」という印象がある。もう少し力の抜けた歌で、彼女たちの魅力が聴
きたい。その点では、「瑠璃色の地球」を歌った松田聖子は大変にほどよか
った。
紅白2020雑感
https://naokichivla.hatenablog.com/entry/2021/01/01/153740
そういうことなんですね。
この「歌を歌おう」でのMISIAの歌は、少々アクが強すぎると感じる。あるいは、「ヴォーカルが勝ちすぎている」と感じる。さださんの歌詩、メロディに対して、である。
だから、見事な歌と聴く一方で、「この曲を、さださん本人のヴォーカルで聴いてみたい」と思った。
そして、こんなことも思ったんですよ。
よく、グルメ番組などで、「素材の味を大切にしている」って言うじゃないですか。
つまり、「さださん本人のヴォーカルで」というのは、素材の味を大切にした形での「歌を歌おう」という発想。
でも、思ってみれば、例えば、海老のチリソースだとか、麻婆豆腐とかは、素材(海老、豆腐)の味を大切にした料理とは言えないよなあ。
チリソースや四川の味付けの方が素材の味に勝っている。けれど、それぞれ他にないすばらしい料理だと言える。
そうした意味からすると、MISIAはすばらしい料理人として、彼女にできる最高の完成度の「歌を歌おう」を実現したと言える。
さださん本人の「歌を歌おう」も聴いてみたいが、それは同じ素材で、まったく別ジャンルの料理を味わってみたい、という期待だと言える。
海老が好きだとして、それをチリソースで食べたいのか、エビフライで食べたいのか、お造りで食べたいのか、という話だ。
素材と料理。
もう一度、MISIAの「歌を歌おう」を聴いてみよう。