naokichiオムニバス

65歳会社員。ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

紅白2020雑感

3年ぶりに紅白歌合戦を最初から最後までオンタイムで観た。

 

新型コロナウイルスにより、無観客開催。また出場歌手がNHKホールのステージに全員で集まる場面を作らず、複数の場所でのパフォーマンスにしたことなど、異例の運営となった。

 

審査員も客席でなく別室に間隔を空けて座る形となったが、通常なら冒頭に行われる個々の審査員の紹介がなかった。そのため、杉咲花がいるのは「おちょやん」のヒロインだから、染谷将太がいるのは信長をやっているから、吉沢亮がいるのは来年の大河の主役だから、あたりは見当がつくものの、他の人が何故審査員になったのかわからなかった。

 

司会が皆とてもよかった。

 

内村光良の総合司会は、もう何年目になるんだったか。番組全体をしきっていく役割として、以前に局アナがやっていたよりずっと入り込んでいるし存在感がある。長く続けてほしい。

 

白組大泉洋も初登板ながらさすがだった。内村との芸人コンビさながらのからみ方は相当台本を練ったのではないかと思うが、絶妙だった。

 

しかし何と言っても感服したのは、紅組二階堂ふみ。「エール」を通じて実力のある女優さんだということはわかっていたが、この司会でも常に意志の強さ、言葉の確かさがきわだっていた。一度もとちることなく、完璧な司会ぶりだった。ここ何年かの紅組司会を圧倒的に凌駕していたと思う(その分、もう1人の総合司会、桑子真帆アナの出る幕がなかった)。

 

加えて、ディズニーメドレーでの「ホール・ニュー・ワールド」の歌唱にも感服した。日頃歌手活動はしていないようだが、立派なものだった。

 

以下、個々の歌について。

 

このところ、邦楽のトレンドがわからなくなってきているので、紅白で初めて聴く歌が多い。

 

miletという人の歌も曲(「inside you」)も初めて聴いた。魅力的な人だ。

 

Little Glee Monster「足跡」は、冒頭、ゴスペラーズのようなアカペラコーラスに引き込まれた。4回目の出場とのこと。これまではあまり印象に残っていないのだが、今回のパフォーマンスはしっかり聴いた。

 

坂本冬美が、定番曲でなく、期待していた新曲「ブッダのように私は死んだ」を歌ってくれてよかった。作者の桑田佳祐がビデオメッセージでなく演奏でからんでくれるともっとよかったが。

 

天童よしみ「あんたの花道」、五木ひろし「山河」はさすがの歌唱。曲が何であれ、紅白にはこういう歌が必要だが、一方、昨今の歌手の人選からすると、この人たちがトリ、大トリを歌うことはもうないのかな、という気がする。こういう前半のしめくくり部分が定位置になりそうだ。

 

さだ(まさし)さんの「奇跡2021」は、盟友渡辺俊幸氏の編曲指揮による東京フィルハーモニー交響楽団との共演。もっと上手に歌ってほしかったがどうしたんだろう。それはともかく、ファンの間で人気の高いこの曲は、今回のセルフカバーリリース(配信限定)を機に、テレビでももっと歌ってほしいと思う。尚、紅白でこの曲が歌われるのは21年ぶり3回目(前回は1999年。嵐のデビュー年である)。

 

BABYMETALは、大学オケ同期(フルート)のI君が最近はまっていて、ライブにも足を運んでいると聞いていて、名前だけは知っていた。実際に音楽を聴いたことはなかったが、まさか紅白で観られるとは思わなかった。既に10年のキャリアがあることも知らなかったのだが、海外でも評価が高いらしい。「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、キャリア初期の作品のようだが、見事なパフォーマンスだった。CDを買って聴いてみたい。

 

郷ひろみの「筒美京平トリビュートメドレー」は、ありがたい企画だった。「男の子女の子」「よろしく哀愁」という選曲はまずベストだが、もう1曲何かほしかったな。歌唱は申し分なし。筒美京平トリビュートアルバムをリリースしている岩崎宏美にも出て歌ってもらいたかった。

 

初出場のJUJU「やさしさで溢れるように」は、さすがと言う他はない歌いぶり。これを機に毎回出てほしいな。

 

「エール」のコーナー、GReeeeNの「星影のエール」は、ドラマを観た身としては嬉しかった。観ていない人には単なる古関裕而メドレーだっただろうが。鉄男(中村蒼)のギターは、ガチかエアか?

 

同日限りで活動を休止する嵐は、配信ライブ会場からの出演。もしそれがなければ当然トリだっただろう。1人ずつスピーチした後、「カイト」「君のうた」「Happiness」と3曲ものメドレーは破格の扱いだった。思えば、SMAPはこうして紅白で最後を飾ることはなかったんだったなあ。嵐は解散ではないので、いつかまたパフォーマンスを見せてくれることを期待したい。

 

初出場のYOASOBIというユニットは、紅白どころかテレビ初出演とのこと。「夜に駆ける」という歌を歌った。言葉が多い。譜割り、リズムが難しい。ほんとに難しそうな歌だ。70年代に入って、日本の歌謡界、ポップス界に森山加代子「白い蝶のサンバ」や吉田拓郎の一連の曲のような「16分音符で歌う歌」が出てきた時には大変なインパクトを感じたものだ。この「夜に駆ける」は、その16音符のビートより細かいリズムがある。半世紀を経過してここまできたか、と思った。

 

一連のジャニーズグループの中で、関ジャニ∞の個性は得難い。「みんなで踊ろう!前向きスクリーム!」。

 

東京事変が初出場というのは意外。水準の高いシュールな音楽(「うるうるるう」)だったが、私にはよくわからなかった。椎名林檎単体でも同様なところがある。

 

ゆず「雨のち晴レルヤ」は、東京フィル、和楽器バンドとの共演。この人たちの歌にはやはり伝わってくる力を感じる。

 

あいみょん「裸の心」。いい歌手、いい曲だと思った。途中、「今私恋を・・・」のところで、赤い鳥「翼をください」の「今私の願いごとが」のくだりを思い出すのは自分の世代ゆえ。歌詞も似てるしね。

 

YOSHIKIが浜辺でピアノを弾いて、サラ・ブライトマンやクイーンのメンバー、さらにNHKホール側で出場歌手も加わっての「ENDLESS RAIN」は聴きごたえがあった。こういうシンクロが技術的にできること自体に感心してしまったが、もしかして事前収録?

 

Superfly「愛をこめて花束を」は、上手いなあと思いながら聴いたが、大トリのMISIA「アイノカタチ」ともども、「がんばり過ぎている歌」という印象がある。もう少し力の抜けた歌で、彼女たちの魅力が聴きたい。その点では、「瑠璃色の地球」を歌った松田聖子は大変にほどよかった。

 

石川さゆり天城越え」は、物足りなかった。もともとこの人の歌は線が細いところがあるが、それにしても今回は力が足りない感じだった。息に余裕がないというか。

 

星野源「うちで踊ろう(大晦日)」は、春に話題になった曲。あの動画はギターの弾き語りの短いものだったが、歌詞を足し、バンドを従えての演奏で、この曲の真価がわかった気がした。あの動画はほんの「素材」を提供したものという形だったが、それがこういう完成度に達するとは。今回の紅白で一番の聴きものだったと思う。

 

氷川きよしは歌が上手くなったか? ディズニーメドレーでの「ホール・ニュー・ワールド」と言い、本編でのロック調の「限界突破×サバイバー」と言い、説得力のある歌。演歌よりこういう方が向くのか?

 

松任谷由実は、発表されていた「守ってあげたい」だけでなく、岡村隆史田中裕二出川哲朗を従えての「きみのためにSuperman」(フジテレビの番組企画らしいが知らなかった)、「やさしさに包まれたなら」と3曲を披露。聴きごたえがあった。さすがの才気。

 

その次、トリの直前に、前日になって出場が発表された玉置浩二がやっと登場(曲順は未発表だった)。東京フィルとの共演で「田園」。大変よかったが、これ前日発表とは言え絶対急に決まったはずはないよね。ギターの弾き語りならともかく、オケのリハーサルだって必要なわけだし。

 

ところで、東京フィルと言えば、この大みそかオーチャードホールでのジルベスターコンサートがある。このことは番組を観ながらちょっと気になっていた。同じ渋谷エリアだから早めに出番を終えて移動するんだろうか。いや、ジルベスターの方もリハーサルはあるだろう。結局、こんな時間(23時台)まで東フィルを引っ張った形になった。紅白終了後、テレビ東京に切り替えたら、東フィルが演奏中。この大みそか、別部隊で2つの仕事をこなしたということのようだ。

(ちなみにヴィオラのトップは、紅白が、昔千葉市のワークショップで指導いただいた先生(お名前失念)、オーチャードが、須田祥子さんだった)

 

例年、ライブ会場からの中継だった福山雅治が、NHKホールに登場して、トリを務めた。中継だとトリはないだろうから(今回の嵐がそう)、貴重な機会だったということか。「家族になろうよ」。いい曲でありいい歌だった。バックに金原(千恵子)さんが見えた。大みそかのこの時間、1曲のために。お疲れさまです。まあそれは福山さんも一緒だが。

 

私が子供の頃、一家4人で紅白を観ていると、父が「昔の歌手に比べて今の歌手は歌が上手い」とよく言っていた。今、同じことを感じる。当時父が上手いと言っていた歌手に比べて、今の若いアーティストは歌唱力、演奏技術とも格段に進歩していると思う。

 

番組の進行について。

 

今回に限ったことではないが、1曲1曲が概して短かった。1コーラス半という場合が多かったように思う。それによって、嵐やユーミンの時間を捻出したということだろうか。約40年前、「関白宣言」「防人の詩」を歌った時、1人あたりの歌唱時間に一律の制限があるのはおかしいと主張したさださんまでもが、今回はカットに甘んじていた。

 

そのことを除けば全体の進行はよかったと思う。複数の歌唱場所を次々につないで行く形だったこともあってか、従前余分に感じていた、コントやショーのようなコーナーがなく、純粋な歌番組としての構成になっていた。そこに3人の司会者の巧さが加わり、無駄のない良い進行だったと思う。

 

それだけに、最後に、審査結果の発表となった時に、少々の違和感があった。かつては紅白両軍の司会者が、必要以上に敵対的な発言をやりとりしたりしていたものだ。どちらが勝とうといいじゃないか、と思いながら観ていたし、実際、去年はどっちが勝ったか、なんて覚えてもいない。今回はそうした部分が少なく(途中での中間発表もなかったし)、歌番組としての進行に満足していたので、最後に白黒をつける場面になったことに違和感を覚えた次第。

 とは言いつつ、リモコンで審査に参加したけど(爆)。ずっと観ていて5票持っていたが、個々の歌ではなく二階堂ふみの司会ぶりから紅組に投票。結果も紅組の勝利となった。4年ぶりなのだそうだ。審査員の紹介がなかったことにふれたが、ここでも審査員の役割(持ち票)等についての説明がなかったように思う。結局審査員って何だったんだ、という感じで終わった。

 

この「勝負」の問題について改めて言うと、何しろタイトル自体が紅白歌「合戦」なので、なかなか難しい問題かもしれないとは思うが、紅も白もなく、ただ良質の多彩なジャンルの音楽を聴かせる番組にすることはできないものだろうか。

 

これに関連してジェンダーの問題を持ち出すのはいささか唐突かもしれないが、出場歌手を男性と女性という二分法でチーム分けすること自体、時代にそぐわなくなっている面があると思う。かつて、男女1人ずつのデュオ、ヒデとロザンナトワ・エ・モワが出場した時に、紅白どちらに属するのか、と話題になったことがあった(これは、ドリカムやいきものがかり、AAAなど、今日まで続いている問題で、都度便宜的に処理されているようだ)。また、今は性自認の問題も広く認識されるべきとされる時代でもある(中村中が出場した前例あり)。

 

すぐには無理でも、時代に合った番組のあり方を考えていってほしいと思う。

 

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