七月場所も残り2日。2敗で単独トップを行く北勝富士が逃げ切るのか、3敗まで優勝ラインが下がるのか。もし北勝富士逃げ切りなら、12日目の豊昇龍戦に勝ったことが、優勝争いの最大の分かれ目(さらには豊昇龍の大関昇進についても)になった形だがどうか。
(今場所最大の話題だった3関脇の大関挑戦も、既に大栄翔と若元春は33勝に届かず、トリプル昇進、ダブル昇進はほぼ消えた。どうかすると1人も昇進できない結果になるかも)
さて、毎日NHKの相撲中継を観ていて、NHK独特の言い方に気づく。
今書いた、北勝富士の「単独トップ」だが、NHKでは「(○○が)単独トップ」「優勝争いのトップ(○○)」とはまず言わない。
「単独の先頭」「優勝争いの先頭」と言う。
どのアナウンサーもそうだから、個々人の判断ではなく、何かの申し合わせ、規準があるのだろう。
(もっとも、11日目の実況を担当した吉田賢アナウンサーは、「単独トップ」と言っていて、お、珍しい、と思った)
このことはずいぶん以前から気になっていたのだが、最近もう1つ気づいたのが、「テーピング」である。
例えば伯桜鵬が左肩にテーピングをしている姿を、NHKでは「テーピングをしています」とは言わない。
「テープ」と言う。「左肩にこのように大きくテープをして(施して)います」など。あるいは「昨日までのテープが今日は見えません」とか。
NHKでも、以前は「テーピング」と言っていたように思うが、これも個々のアナウンサーでの違いはないので、統一した扱いなのだろう。
あと、ちょっと気になるのが、「大関経験者」という言い方である。
私の感覚だと、「元大関」でいいではないか、と思うのだ。
例えば、「三役経験のある○○」「三役経験者」は、まだいい。番付運に恵まれたとかで、三役に昇進し、その後は平幕でとっている力士をそう呼ぶのは違和感がない。
しかし、大関は違うのではないか、と思うのだ。大関を経験してその後関脇に陥落し、関脇以下でとっている力士について、「大関を経験した」という表現をして良いのか。
「経験」というのは過ぎゆくもの、一過性のものというニュアンスがある。最高位大関、という力士はもちろんたくさんいるわけだが、やはり大関とは、最低限そこにとどまり、さらに上を目指すべき地位であって、だからこそ3場所33勝など、おいそれとは上がれないことになっている。
しかし、「大関経験者」という言葉を使うことで、大関の地位が軽いイメージになっているような気がするのだ。
まあ、この問題は、NHKの言い方以前に、今はあまりにも「大関経験者」が多すぎる、というところにあるんだけどね。正代、御嶽海、朝乃山、髙安・・・。先場所までは栃ノ心もいたし。