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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

YOUKALI ヴァイオリンとヴィオラの二重奏~川田知子/須田祥子 Duoリサイタル~

5月30日(木)、江戸川区総合文化センターでのちばマスターズオーケストラの練習を終えた後、代々木上原に向かった。

 

川田知子さんと須田祥子さんのデュオリサイタルを聴くためである。

 

須田さんは私にとって、とにかく「かっこいいヴィオラ弾き」としてあこがれの人である。首席を務められている東京フィルの演奏会にはしばしば行っているし、昨年はSDA48の演奏会も初めて聴きに行った。

その須田さんのデュオリサイタルということで、これは行かねばとチケットを買い求めた。川田さんの演奏を聴くのは初めてだと思う。

このコンビの2枚目のアルバム発売を記念しての演奏会だが、当日CD販売とサイン会があるとインフォメーションされていたので、1月のリリース時には買わずにこの日を待った。

 

全自由席とされていたので、楽器も持っているし、適当な席を選べるように早めに行くべく移動、開場15分前の18:15に会場であるMUSICASAに到着した。

幸い、まだ誰も並んでいない。一番乗りだ。

 

すぐに後ろに何人かが並び、定刻よりも早く開場してもらって入場。

非常にこじんまりとしたスタジオ風の空間。固定座席でなく木の床に椅子が並べられている。120~130席というところか。何か仲間内の室内楽でも楽しみたい素敵な雰囲気だ。

さてどこに座るか。できれば列の端に座って楽器を通路に置きたいが、通路の幅がそれを許さない。もたもたしてもいられないので、おそらく須田さん側になるであろう上手側の最前列に陣取り、楽器は身体の前に立てる形で座った。

他にも音大の学生(演奏者の弟子か?)らしき若い人が何人か楽器を持って入場していた。

 

入口でもらったプログラム。アルバムもすぐさま買った。

 

●YOUKALI ヴァイオリンとヴィオラの二重奏~川田知子/須田祥子 Duoリサイタル~

日 時 2024年5月30日(木) 18:30開場 19:00開演

会 場 MUSICASA

ヴァイオリン 川田知子

ヴィオラ 須田祥子

曲 目 モーツァルト ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲変ロ長調
    マルティヌー 3つのマドリガル
    ロッラ 3つの二重奏曲第3番変ロ長調
    ワイル=荒井英治 ユーカリ タンゴ・ハバネラ
    ガルデル=荒井英治 首の差で
    サンダース=荒井英治 アディオス・ムチャーチョス
    ビジョルド=荒井英治 エル・チョクロ
   [アンコール] Trad.Hassidic arr.Aleksey Igudesman Hava Nagila(ハバナギラ)
           アイルランド民謡 ダニーボーイ
           Aleksey Igudesman Richard Won't Like It!
           スコットランド民謡 蛍の光

 

本編は、1月リリースのアルバムに収録された7曲がすべて演奏された。

 

演奏者は客席後方から通路、ちょうど私が座る席の横を通って前へ。

須田さんのヴィオラは小さめの楽器であるように見えた。

 

最初はモーツァルトの二重奏。急緩急の3楽章構成で、終楽章は変奏曲。

曲間には、お2人のMCがはさまれた。

 

マルティヌーの曲は、「私たちにぴったり」なのでアルバムに収録したとのこと。

これも急緩急の3楽章構成。バルトークを思わせるような民俗色のある音楽だった。

2楽章ではトリルが目立つのが特徴的。終楽章は、MCで「高速餅つき機」と言われていた両者のかけあいが面白かった。

 

休憩15分。

 

ロッラの曲について、須田さんは「ヴィオラがはてしなくメロディを弾く曲」と言われた。「ヴィオラの通常業務は伴奏なんで、メロディを弾くと飽きる」とも。ロッラという人はヴィオリストで、パガニーニの先生だったのだそうだ。

ロッシーニのテーマによる」と副題がついた曲とのことだが、確かにそういう曲だった。いくつかの曲のメドレー。

そして確かに、ほとんど全曲にわたってヴィオラがメロディ、ヴァイオリンが伴奏という音楽。

 

プログラム残る4曲は、タンゴの曲。

アルバムにタンゴを入れたい、ということでさがしたがいい楽譜がなく、荒井栄治さんに頼んで編曲してもらったとのこと。この編曲は川田さんと須田さんを想定した「当て書き」。

荒井さんは文章まで書いてくれたが、アルバムのブックレットには入れきれずに今回のプログラムに掲載された。

 

最初はアルバムと演奏会のタイトル曲、「ユーカリ タンゴ・ハバネラ」。ユーカリとは理想郷のことだそうだ。

タンゴのリズムでは、須田さんが最後の拍の音符を左手4の指でC線をはじくピツィカートで弾いていたのが印象的だった。

 

ガルデル、そしてサンダース。サンダースの冒頭は「ヴィオラのどソロ」で始まり、最後の「エル・チョクロ」(この曲は知っていた!)の冒頭はヴァイオリンの華やかなカデンツァ。

4曲のタンゴはバラエティに富み、楽しかった。

 

アンコールは4曲演奏された。

「タンゴの後のアンコールに何をやるか、アンコール選曲会議を開いた」とのこと。

1曲目は、「ハバナギラ」という曲。特徴的なリズムの音楽だった。たぶん7拍子?

「甘いものを食べた後にしょっぱいものが食べたくなる」ので、と2曲目は、速い曲を受けてゆったりとした「ダニーボーイ」。

3曲目は、選曲会議で候補曲をかたっぱしから弾いた中でとても受けたという「Richard Won't Like It!」という曲。Richardとはワーグナーのことで、「ワルキューレの騎行」のテーマをモチーフにした短い曲だった。

拍手鳴りやまず、最後に「蛍の光」。ヴィオラバグパイプのような音作りが印象に残った。

 

21時前終演。

 

すぐにサイン会のセッティングがされたので並んだ。

川田さん、須田さんの順にサインをしていただいたが、川田さんが「そのケース、目立ってましたね」とおっしゃった。最前列だったから目に入ったのだろう。

 

アルバムにサインをもらうのもさることながら、せっかく楽器を持って来たのだから須田さんにサインしてもらえないだろうか、と実は入場前から思っていた。

だいぶ前にベルリン・フィル清水直子さんの演奏会を聴きに行った時、サイン会があって、楽器を持っていたのだが、CDにはサインをもらったものの、楽器の方は言い出せずに終わったことがあった。

今回も、申し出て良いものか、とドキドキしながら並んだのだが、見ていたら、何やら手持ちのポケットスコアにサインをもらっている人がいたので、勇気づけられて須田さんにお願いしたら快諾してもらった。家から持ってきた黒のペンを差し出してサインしていただいた。

大収穫。

 

とても素敵な演奏会だった。また同様の企画があれば聴きに行きたい。

SDA48もまた聴きたい。

それから、須田さんは女性ながら石田組に参加されることがあるので、それも聴きたい。