26日(水)、東京オペラシティコンサートホールで行われた東京フィルハーモニー交響楽団の演奏会を聴きに行った。
東京フィルの定期演奏会は、毎回同一演目を、オーチャードホール、サントリーホール、東京オペラシティコンサートホールで演奏するが、私の場合、都合が合えば東京オペラシティコンサートホールを選ぶことが多い。
ホールの規模が好ましく感じる。2,000席を超える、他の2ホールよりもこじんまりとした感じが良い。ホール内の木の雰囲気も好きだ。三角形の屋根や天窓も。
●東京フィルハーモニー交響楽団 第162回東京オペラシティ定期シリーズ
日 時 2024年6月26日(木) 18:15開場 19:00開演
会 場 東京オペラシティコンサートホール
指 揮 チョン・ミョンフン
ピアノ 務川慧悟
オンド・マルトノ 原田 節
プログラム冊子から。
今回のメシアンが、第1000回の定期演奏会にあたったためか、入場時に絵はがきをもらった。
長年、プログラム冊子の表紙などを描いてこられたハラダチエさんの絵だそうだ。
今回は1曲プロなので、休憩なし。
こんな貼り紙があった。
せっかくチケットを買っても、ちょっとでも遅れると入れずにホワイエのモニターで聴くしかないのか。大変だね。
私の席は、2階C3列の22番。
今回足を運んだのは、トゥランガリーラ交響曲を実演で聴けるチャンスだったからだ。
また、チョン・ミョンフンは、まだ若手時代の1990年にこの曲をドイツ・グラモフォンに録音していて、名盤の1つに数えられている。その彼の指揮であることも大きかった。
メシアンの音楽は、「トゥランガリーラ」や「世の終わりのための四重奏曲」など、いくつかの作品をレコードで聴いてきたが、現代曲の中ではそう親しんできたわけではない。
(実演では、2021年6月に、小菅優さん他で「世の終わり」を聴いたことがある)
トゥランガリーラ交響曲という作品は、小澤征爾=トロント響の盤と、前記チョン・ミョンフンの盤などで時々聴いてはきたものの、どんな曲か細かくおぼえてはいない。
今回の実演にあたっても、格別予習をしたわけでもないので、全10楽章がちゃんと区別して聴けるだろうか、というレベルで臨んだ。とにかく実演の響きに身をゆだねよう、と。
ヴィオラのトップは先日楽器ケースにサインを頂戴した須田祥子さん。2プルトの表に須藤三千代先生が座られた。あまりの大編成で弦の人数は数えきれなかったが、ヴィオラは12人だったと思う。コントラバスは7人だったか。
舞台前面、中央にピアノ、ヴィオラのところにオンド・マルトノ。ヴァイオリンの前にチェレスタ。
舞台奥にずらりと打楽器が並ぶ。
曲が始まると、ところどころ聴きおぼえのある部分もあって、そうそう、と思いながら聴いた。
忘れていたが、楽章の切れ目がはっきりしている曲であり、指揮者がその都度間をとったので、その点の心配はなかった。
1楽章から5楽章までは、どれもにぎやかな基調で進んだ音楽が、6楽章で一転して緩徐楽章的な音楽になる。ここは耳をひかれるものがあった。
9楽章も印象に残った。
ともかく、ピアノ、オンド・マルトノ始め、夥しい打楽器など、あらゆる音のパレットを総動員して鳴らす音楽、という印象だ。
久しぶりにじっくりこの曲を(実演としては初めて)聴いて、「世の終わり」に比べると単調な感じを受けた。
こういうテイストの音楽が好きかと言われると、まあたまには聴きたいが、常食にはならないかな、という気がする。
全曲を聴きながら、何故か武満徹の音楽を思い出し、音楽のトーンとしては武満の方が好きだなと思ったりしたが、まあこれは勝手な話。
R.シュトラウスを聴いていて、ドビュッシーの方が好きだな、というようなものだろう。
ともかく、めったに実演で聴けないこの曲が聴けてよかった。
全曲の終わり、チョン・ミョンフンが大きな動作で最後の和音を盛り上げたのでやむを得ないのだが、間髪を入れないブラボーが叫ばれたのは残念。
カーテンコールは、コンチェルトみたいな感じで、務川さん、原田さんと指揮者の3人で出入りする形。オケの楽員は打楽器だけ順次立たされたと思う。
指揮者が弦の各1プルトに握手を求め、その後コンサートマスターを促して一緒に袖に下がると楽員がはけていった。
しかし、拍手が続くのでまた全員が戻ってきた。
東京フィルの旧Twitterから。
名誉音楽監督マエストロチョン・ミョンフンとの2024年6月定期『 #トゥランガリーラ交響曲 』最終公演は東京オペラシティコンサートホールにて!
— 東京フィルハーモニー交響楽団 | Tokyo Philharmonic Orchestra (@tpo1911) 2024年6月26日
美しい木のホールに満ちる過去と未来を繋ぐ新しい時代の響き。マエストロと共に作り上げた歴史に新たな1ページが確かに加わりました。… pic.twitter.com/2rfXHTrUDH
ヴィオラの首席奏者である髙平純さんは、このステージをもって退かれるとのこと。この日はトップサイドに座られた。
須田さんのコメント。
#須田祥子「今回並んで弾く首席奏者の髙平さんはこの定期で退団されます。首席としてお互いに非常にリスペクトしてきた演奏者ですので、ひとつの時代が終わるのかなと感じています。そして上の世代の奏者が置いて行った遺伝子をどうやって後から来る人に伝えていくのかは、オーケストラにとって大切な… pic.twitter.com/4GKpsbRrEi
— 東京フィルハーモニー交響楽団 | Tokyo Philharmonic Orchestra (@tpo1911) 2024年6月25日