naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

「愛の流刑地」遂に連載終了

日本経済新聞朝刊の連載小説、「愛の流刑地」(通称「愛ルケ」)が本日終了。

ブログサイト「にっけいしんぶん新聞」の秀逸なコメントと併せ読むこと抜きには、とてもまともにつきあいきれなかったと思うが、こうして最終回を迎えてみると、明日からこの作品が読めなくなるのがそれはそれでさみしい。

一応連載開始から最終回まで、何のことはない、欠かさず読んできたが、ふりかえると、ストーリーのペース配分に納得できないものを感じる。
冬香との出会いから関係を結ぶまではすごく速かったが、花火の晩に冬香を絞め殺してしまってからは、ずいぶん話の進行が遅くなった。通報までの長かったこと。そして終盤は裁判シーンばかり。
全体の構成のバランスがあまりよくないように思う。

まあ、ペース配分だけでなく、ストーリーそのものも、個人的な感想としては、そう納得のいくものではなかった。
冬香と一緒に風の盆に行く話はどうなったのか。確か夫も子供もほっぽって行くという話だった。あれにはすごく期待していたのだが、その矢先に殺しちゃったし。
それから、冬香の夫も、裁判で初めて出てくるんでなくて、菊治と冬香の関係が深まる中で、からんでほしかった。
などなど。
要するに、冬香を殺すという筋書きそのものが、何か無理を感じるというか・・・。書き始めからそういう構想だったのかどうか、わからない感じがある。殺してしまってからの流れが、何か行き当たりばったりな印象もあるのだ。

終盤にきてのまとめ方、裁判結果の懲役8年はそれとして、二人の情交を正当化していくプロセスはなかなか強引だった。
今日の最終回の終わり方、特に最後の菊治のせりふなどは、何か平凡で面白くないなあ、という感じ。
日経新聞にはかなりの苦情も寄せられたとも聞くし、ある程度連載打ち切りという面もあるのだろうか。

これ、単行本にはなるんだろうけど(買わないだろうけど)、前から噂になっている映画化の話はその後どうなったのだろうか。
菊治役には「失楽園」に続いて役所広司さんがキャスティングされたという情報はあって、冬香役が誰かが、上記ブログではひと頃ずいぶん話題になっていたのだが、結局どうなったのか・・・。