naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所13日目

十枚目以下各段の優勝が決定。各段全部の優勝が同日に決まるというのは珍しい気がする。

十枚目は、把瑠都が全勝での優勝決定。幕内でもめったにない13日目の優勝は大したものだ。
いよいよ全勝優勝への期待が高まる。昨年9月場所、豊ノ島が初日から13連勝しだが、惜しくも14日目に敗れた相手が、把瑠都なのだそうだ。当の把瑠都は残り2日、どうか。

高見盛は、春日錦に立ち合い左上手をがっちりとるいい形になった。
しかし、右下手がとれないため万全の体勢とは言えず、相手の横につきながら、最後は春日錦苦しまぎれのかいなひねりに、一瞬早く落ちた。
終盤にきて疲れたか。6勝7敗と今場所も苦しくなった。

唯一の2敗だった若の里が、玉春日のひきおとしをくって3敗に後退。
相手をよくみていてとっていると思ったが、つまらぬ星を落とした。一方の玉春日は勝ち越し。

豪風が、すばらしいはず押しの相撲で、元気な北桜を一気に押し込んで9勝目。
いい相撲だった。

嘉風は、今日は春日王にいい突き押しが出た。
この身体なので、今後幕内でやっていくためには、突き押しの威力をもう一つつけることが必要だろう。

稀勢の里白露山に勝って9勝目とまずまず。
今日は突いて出て、最後まで離れての相撲だった。
この人は、身体に恵まれているので、離れた相撲もとれる。立ち合いから突き起こして有利に組む相撲をとれれば、幅も出るし安定もすると思う。
しかし、今日も白露山のいなしに再三泳ぐ場面があった。四つ相撲同様、突き押しの相撲もまだまだ不安定で、安心して見られない。
まだ未完成だ。

旭鷲山時天空を下して3敗を守り、2ケタに乗せた。
徹底してあいての右手首をつかんで放さない、面白い相撲になった。しつこさ勝ち。

垣添が、いい流れで皇司を破って勝ち越し。いい相撲だった。

6勝6敗の安美錦は、琴奨菊に立ち合いの変化が失敗。
高見盛同様、7勝6敗と6勝7敗では、違いは大きい。
勝ちたい気持ちもあっただろうし、昨日の相撲で膝を痛めたらしいので、変化は責められないが、大きい星を落とした。

時津海北勝力と、先場所優勝争いに加わった2人が、今場所は大負け。
平幕力士の場合、大勝ちして上がれば大負けするのもやむを得ないが、この2人について共通しているのは、見ていて気力が全く感じられないことだ。
勝敗は別にして、その点が残念。

そこへいくと、5勝7敗と負けが込みながら、気力に満ちた銭のとれる相撲をとったのが、安馬
玉乃島に得意の左を差し込まれる形になったが、1枚ながら右上手をつかんで食い下がる体勢。
旭鷲山の相撲を見ていたのか、相手の右手首をつかんで牽制し、その後、左も1枚ながら前まわしをとった。左も右も絶対に放さないぞ、という意思が伝わってくる。
下に入っているのは苦しいはずだが、無双、こまたと相手の足をねらって崩し、最後は玉乃島の引きを誘って前に出た。
値打ちのある相撲だった。

旭天鵬雅山は、好調同士で期待されたが、雅山の足が開きすぎて、旭天鵬のはたきにあっさり落ちた。

昨日、まさかと思える悪い相撲をとった白鵬、その影響が心配された。
控えでの表情を見ても、緊張している様子であったが、今日はまずまず存分の相撲だったと言える。
立ち合い右足が遅れてはっとしたが、数日ぶりに左前まわしがすばやくがっちりとれた。
まずはこれで五分以上には戦える体勢だ。
しかし、琴光喜の左からのおっつけで、なかなか右下手がとれない。これがとれていれば、一気に前に出られた筈だが。
さればと、その右かいなを返して寄ったり、投げでゆさぶったりの攻め。最後は左上手投げで決めた。
琴光喜は、終始防戦一方。現時点で力の差があることを見せつけられた格好だ。
結果として長引いたが、白鵬としてはまず充分な相撲だったと思う。

魁皇は、出島に立ち合いすばやく左を差した。右からも抱える形で、本来であれば魁皇にとっては万全の体勢の筈。
しかし、今日もそこから前に出られない。逆に出島に寄られて危なかったところを、左からすくって辛うじて逆転。
やはりよくない。残り2日、厳しい。

栃東は、琴欧州との対戦。最初の待ったで、これは立ち合い変化するのではないかとの予感を持ったが、やはり、一旦当たりこそしたが、即座にいなしての相撲。
大関同士の一番としては凡戦で、期待はずれ。
それにしても、NHKは、依然として、栃東の綱とりというものに未練があるようで、今日の吉田アナも、「大きな夢に向けて」だの、「あと全部勝てば来場所につながる」だのを連発。
大関が優勝すると、翌場所はいつもこうだが、必要以上にあおりたてるのはやめてもらえないか。
大体、栃東本人が、「夢」というような甘ったるい表現ができる気持ちで上をめざしているとは思えない。
「夢」という言い方に、いつも特に違和感を持つ。

結び、朝青龍千代大海は、横綱大関の対戦にこう言っては本当に失礼なのはわかっているが、「波乱」が期待できる要素がない。そもそも好調同士でぶつかっても、横綱から見れば、相撲のたちからして、一番分がよくとれる相手の一人だし、しかも今場所についてはやっとカド番を脱したところだ。
いくら横綱自身が本調子と言えないにせよ、勝敗がひっくりかえる要素は見あたらない。
立ち合いからややあって、左四つに組まれた時点で、ああやっぱりと思ったが、今日の対戦に関しては、そこから千代大海が頑張った。一時は寄り立てて横綱を土俵際に詰まらせるなど、よくやったと思う。
しかし、左下手はとれていなかったし、寄り切るまでは難しかった。
そこまで、という感じで、横綱が投げての順当勝ち。
横綱側からすると、やはり流れの中で自ら左四つに組み勝ちながら、これだけ手こずったのは、調子がよくない証拠だろう。
例えば、往年の大鵬がそうだったように、相手に自分の相撲をとらせるだけとらせておいてから料理した、というのとは違うと思う。相手に自分の相撲をとらせて、そこで同じレベルで勝負している気がする。

さて、これで、朝青龍白鵬が1敗を守り、追走グループは星2つの差なので、事実上優勝はこの2人からということになろう。
残り2日の予想対戦相手を見ると、まず五分。どちらかがラクという感じはしない。
朝青龍。明日当たる琴欧州は、足を痛めたとのことで、まず順当に勝てるだろう。千秋楽の栃東は手ごわい。
白鵬。明日の若の里とは、過去1勝6敗と分が悪いのが気になる。千秋楽の魁皇は、普通にとれれば問題はないだろう。
優勝へ向けての精神面においては、この併走状態だと、やはり経験豊富な横綱には余裕があると思う。
白鵬は、初優勝に向けてのプレッシャーは大きいだろう。並んでいるだけになおさらそれがあると思う。
残り2日間の優勝争いにおいては、白鵬が精神状態を平静に保って、自分の相撲をとりきれるかどうかが、一番のポイントになると思う。
もし、それができるなら、残り2日は星を落とすことはないだろう。
一方の横綱は、繰り返し指摘しているように、必ずしも本調子ではない今場所の状態で、琴欧州はともかくとして、栃東を下せるかどうかがポイントとなる。

今の時点では、両者星を落とさず1敗同士の決定戦が一番可能性が高く、次いでは、白鵬が1敗のまま乗り切り、朝青龍が千秋楽星を落として白鵬初優勝、というところか。