naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

アジアユースオーケストラ東京公演を聴く

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  写真は東京オペラシティコンサートホールの天井。
  それから演奏会のチラシ。



31日(金)は、アジアユースオーケストラの演奏会を聴きに行った。

アジアユースオーケストラ東京公演
  日 時:07年8月31日(金)19:00開演
  会 場:東京オペラシティコンサートホール
  指 揮:リチャード・パンチャス
  管弦楽アジアユースオーケストラ
  曲 目:デュカス 交響詩魔法使いの弟子
      ムソルグスキー(ラヴェル編曲) 組曲展覧会の絵
      リムスキー=コルサコフ 交響組曲シェエラザード

浦安のオケの中で案内があり、申し込んだもので、行ってみると両隣はオケの団員。

プログラムに書かれた紹介によると、アジアユースオーケストラは、90年に、ユーディ・メニューインと、当夜の指揮者、リチャード・パンチャスによって発足したもの。
今回は、日本、中国、台湾、香港、フィリピン、ベトナム、タイ、韓国、マレーシア、シンガポールの若者たちから構成されている。オーディションによる選考。
ヴィオラには、残念ながら日本人はいなかった。
毎年この夏休みの時期、3週間の合宿練習をした後、3週間の演奏旅行を行う、6週間限りの活動をしているそうだ。
今年で17回目の公演になる。

今年のツアーは、2種類のプログラムを持っての延べ17公演。
8月8日の香港を皮切りに、上海、寧波、天津、北京、福岡、広島、神戸、名古屋、海老名とまわってきて、31日が最終公演だった。

  ※関連記事のサイト
     http://www.news.janjan.jp/culture/0709/0709011633/1.php

ちなみに、もう一つのプログラムは、オッコ・カム指揮で、
  シベリウス 交響詩フィンランディア
  チャイコフスキー ロココ風の主題による変奏曲(チェロ:スー・ベイ)
  ブラームス 交響曲第1番ハ短調
であった。
  
会場入口でもらった結構豪華なプログラムは、この3カ国ツアー共通のものなので、英語、中国語、日本語が混在していて、なかなか面白い。
香港は20:00開演、中国は19:30開演で、日本より遅いのも興味深い。

それにしても、「展覧会の絵」と「シェエラザード」を並べるプログラムというのは、すごいとしか言いようがない。「展覧会の絵」って、普通はメイン曲だよね。
右隣に座った、トランペットのTaさんが「やっぱり若いから、元気が余ってるんですかねえ」とおっしゃる。
そういうことなんだろうな、ユースオケ。
(私が学生の頃、早稲オケが、若杉弘さんの指揮で、ベートーヴェンの7番、マーラーの1番という2曲プロをやったことがあった)

さて、拍手に迎えられて楽員が舞台に登場。弦は16型。

まず、指揮者のパンチャス氏がマイクを持って現れ、このオケの活動ぶりなどを紹介した。日本語だった。

最初のデュカス。
始まってすぐ、「うめえ!」とうなった。

そして、「展覧会の絵」。実はこの曲、私はそうなじんでいるとは言えない。どういう訳か、日頃、レコードでもほとんど聴かない。
これも前プロ同様、大変聴かせた。
こじんまりとしたホールのせいもあるのだろうが、音の迫力がすごい。特に打楽器がよかったな。
しかし、「キエフの大門」で、ド派手に曲が終わると、何か、これでもう演奏会が終わってもいいような、満腹感。

しかし、この後、まだ「シェエラザード」があるのだ。
実は、前日の30日がカム指揮のブライ1メインのプログラムだった。そっちに行かずにこっちを選んだのは、「シェエラザード」を聴きたかったからだ。
シェエラザード」という曲は、昔から親しんで聴いてきたわけではないのだが、割合最近は好きになってきた。一度実演で聴いてみたいものだと、プロオケの演奏会広告などを注意して見ていたのだが、そんな折、このユースオケがやるというので、迷わずこちらのプログラムを選んだ次第。
そして・・・堪能した。
やっぱり実演で聴くと、かっこいいな、シェエラザード
この曲は、コンマスのソロについつい耳が向くが、チェロのトップにおいしいソロがたくさんあるのを改めて知った。

カラフルな曲ばかりで、管弦楽を聴く醍醐味を、本当に満喫できる演奏会だった。
自分がこういうのを弾きたいか、というとまた話は別だが。
(余談だが、カラヤンはどうして「シェエラザード」を生涯で1回しか録音しなかったのだろうか。まったく不思議だ)

アンコールは、まず「展覧会の絵」から、「卵の殻をつけた雛の踊り」。

その後、再度、パンチャス氏のスピーチ。
「この最終公演を最後に、6週間一緒に活動してきた、このオーケストラのメンバーはそれぞれの母国に帰ります。もう二度と会うことがないメンバーもいるでしょう」
さらに、「台湾、○○人です」と、順次、国別に人数を呼び上げ、その国からきている楽員が立ち上がって、拍手を受けた。

そして、毎年、最終公演の最後に演奏すると決まっているという、エルガーの「ニムロッド」(エニグマ変奏曲)が、アンコールの2曲目に演奏された。
この曲は、合宿練習の冒頭に演奏した曲でもあるのだそうだ。

盛んな拍手。
涙を流している楽員が何人もいた。やはり、オーディションから合宿と厳しい練習があっただろうし、長いツアーもこれで最後、仲間たちともお別れなのだから、気持ちはわかる。

終演は21時半と遅くなった。そりゃそうだよね。

休憩の際に、左隣の、ヴァイオリンのOさんが、「何だか、ずいぶん指揮に従順な感じがしますよね。やっぱり学生だからかしら」。
確かにそうで、強い印象としては、「トレーニングされた、きまじめなオケ」という感じだった。
個々の楽員の技量は高いし、みっちり練習したとみえて、曲をとてもよく知っているのがわかる。それだけに合奏能力も高い集団になっていた。
ただ、言ってみれば、青い果実、青いリンゴのような感じで、熟した味わいとか、ふくらみには乏しい。
文字に例えれば、プリンタから打ち出された、整然としたワープロ文字。毛筆や肉筆の味はない。
絵に例えれば、コンピュータ・グラフィックのような感じだ。

おそらく、それぞれの国で、専門教育を受けていて、これからプロをめざす若者たちなのだろうが、あと何年かして集まる機会があったら、また違う感じの演奏をするのだろう。

しかし、今はこれでいいのだろうと思う。今の若さでこそできる音楽もあるのだ。

個人的には、今の時期、2つのオケにかかわっているので、週末が結構忙しく、時間の余裕がない。
そんな折に演奏会に行くことには、多少躊躇もあったのだが、若者たちの力強い演奏を聴いて、元気をもらった思いだった。

1日(土)は、浦安のオペラ勉強会(2回目)と、ユニ響(津田沼ユニバーサル交響楽団)の練習。2日(日)は、浦安の運営委員会と練習。
がんばろう!