naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

「宇宿允人の世界」

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28日(木)は、第一生命ホールに演奏会を聴きに行った。

知人のNさんから、4年前に出向していた厚生労働省の外郭団体の職員のIさんを通じて、お誘いをいただいたものだ。

Nさんも、この外郭団体に出向しておられた先輩だが、私が出向する前に、出身の企業に戻られていたので、仕事での接触はなかった。

Nさんが、クラシック音楽を大変お好きだということで、私がアマオケで活動していることを知るIさんが、とりもって下さったご縁である。
Nさん、Iさんは、浦安オケの演奏会を、毎回のように聴きにきて下さっている。

●「宇宿允人の世界」~室内楽の夕べ~
   日 時 08年2月28日(木) 19:00開演
   会 場 第一生命ホール
   指 揮 宇宿允人(うすき まさと)
   演 奏 フロイデフィルハーモニー
   曲 目 ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲「調和の霊感」op.3-8
           ヴァイオリン 篠塚義弘、宇宿栄里子
        ヴィヴァルディ フルート協奏曲ニ長調「五色ひわ」RV.428
           フルート 近藤ひかり
        チマローザ オーボエ協奏曲ハ短調
           オーボエ 増澤正晃
        チャイコフスキー 弦楽セレナーデハ長調

第一生命ホールには、今回初めて行く。最寄り駅は都営地下鉄大江戸線の勝どきだ。

天王洲アイルからりんかい線に乗って、新木場へ。
ここで、東京メトロ有楽町線に乗り換えて、月島まで乗り、更に都営地下鉄大江戸線に乗り換える。
会社を出て、1時間弱で会場に着いた。

Nさん、Iさんの他、出向中にお世話になった職員のUさん、Aさん、そして、Nさんの知人のKさんご夫妻とご一緒に聴く。
Uさん、Aさんとは、私が出向解除で会社に戻って以来。お会いするのは3年ぶりだ。
Nさんの奥様が、風邪で急においでになれなくなったとのことで、残念だった。

さて、Nさんが宇宿允人氏のファンだということで、今回の演奏会にお誘いをいただいたが、お話によると、「宇宿允人の世界」は、池袋の東京芸術劇場でフルオケの形で行われることが多いそうだ。
このように、小振りなホールでの小編成の演奏会は貴重な機会らしい。

今回は、コンチェルトでのソロを別にすると、弦のみの編成による曲ばかりだ。

前半の、ヴィヴァルディやチマローザは、私にとっては、日頃、「常食」としている音楽ではない。
3曲とも、おそらく、レコード、実演を通じて、初めて聴いたと思う。
貴重な経験ができた。

まず、「調和の霊感」から。

プログラム冊子に、楽章編成が書かれていない。これは、曲に不案内な場合、困る。
急-緩-急の3楽章で構成。

このホールは、写真の通り、木を基調とした空間だが、そのためか、小編成の弦楽合奏が、非常にしっとりとした音に聞こえて、心地よい。

それにしても、シンプルに書かれた曲だ。
2楽章のリピエーノでのヴィオラなど、本当にシンプルきわまりない音符だ。
譜面ヅラは簡単なのだろうが、私は、こういうのはこわくて弾けない気がする。

次の、同じヴィヴァルディの「五色ひわ」も、急-緩-急の3楽章。

ヴィヴァルディを2曲聴いて感じたのは、ハーモニーが意外に少ないということだ。
オケ部分がユニゾンで書かれていることが多く、ハーモニーはチェンバロが添えていくという感じだ。
その上に、ソロが乗る。

非常に「味付けが控えめな料理」という感じがする。
例えば、葱と生姜を少量添えて、薄口の醤油をかけただけの冷や奴のような。
同じ豆腐でも、調理の仕方によっては、麻婆豆腐にもなるわけで、日頃、私が好んで聴いているフルオケの曲とは違う、ヴィヴァルディのそんな味わいを楽しんだ。

さて、3曲目はチマローザである。
楽章編成は正確にわからなかったが、緩-急-緩-急。4楽章構成か?
チェンバロは使われない。

この曲は、一聴して、ヴィヴァルディとはずいぶん違う、と思った。

出だしからして、弦は、アルコのパートとピッツィカートのパートがある。

音楽が多彩で立体的になった感じがする。ハーモニーの厚みもある。
これに比べると、さっき聴いたヴィヴァルディは、平面的な音楽として振り返られた。

2回目の緩の部分などは、ずいぶんロマンティックな感じがした。

チマローザという人は、ヴィヴァルディより62歳年下だ。ずいぶん後の時代の人なのだ。
チマローザが生まれた翌年にバッハが没し、モーツァルトチマローザより6歳下だ。
簡単に言ってしまえば、ヴィヴァルディの時代から、チマローザの時代までの間に、音楽がずいぶん発達したのだと思う。

初めて聴いたこのコンチェルト、いい曲だと思った。

ここで休憩。何と25分。オペラじゃあるまいし、ずいぶん長い。

みんなで下のラウンジに下りて、ビールやコーヒーを手に、少しおしゃべりをした。

休憩後はチャイコフスキー
チマローザとは、ほぼ100年近い時代の経過がある。

当然のことだが、同じ弦楽合奏と言っても、これはもうまったく世界が違う。

やはり私としては、こういう音楽の方が好きだな。
ヴィヴァルディはこわいけど、この曲は弾いてみたい。
もっとも、すごく難しそうだ。聞くところでは、ドヴォルザークの弦楽セレナーデよりもこちらの方が難しいらしい。

2楽章のワルツだけは、たまたま5日前に、ユニ響(津田沼ユニバーサル交響楽団)のポピュラーコンサートで弾かせてもらった。
この楽章だけ、ヴィオラの楽譜が頭に入っている。
5日前を思い出しながら聴いた。

3楽章の途中に出てくるヴィオラのメロディ、大変そうだが、気持ちよさそう。一度弾いてみたいものだ。

指揮者のMCが入った後、アンコールは、

   レスピーギ リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲から「パッサカリア

が演奏された。
同じ第3組曲の中で、アンコールによりふさわしいと思われる、「イタリアーナ」でなく、「シチリアーナ」でもなく、この曲を選んだところに、指揮者の嗜好があるのかな、と思いながら聴いた。

終演後、みんなで汐留まで移動し、この日、還暦の誕生日を迎えられたNさんのお祝いの会食をした。
Nさんの奥様がおいでになれなかったのは、かえすがえずも残念だ。

それにしても、わずか1年の出向だったにもかかわらず、音楽を通じて、このように今でも交流の場が得られていることを本当にありがたいと思う。
今回、初めてお目にかかったKさんご夫妻も含めて、これからもご縁が続いていくことを願っている。