naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

9月場所14日目~思わぬ展開で優勝決定

十両北桜霧の若が、時間前に立った。昨日まで北桜が1勝、霧の若が3勝しかあげていない不振同士の対戦だったが、1回目から呼吸さえ合えば立とうという仕切りをしていたのが立派だった。
大事なのはこういうことではないのか、と思った。
時間いっぱいになっての立ち合いで手をつくかつかないだけを問題にするのではなく、最初の仕切りから、互いに呼吸を合わせて、立てる場合には立つという仕切りをすることが重要なのだと思う。

春日王若麒麟の立ち合いを、貴乃花審判長も行司も止めない。この程度の立ち合いでやり直させられた力士はたくさんいる。やはり判断基準が不統一の感がある。
これでは力士が気の毒だ。

垣添高見盛の一番は、垣添がつっかけ気味に立ち、高見盛は明らかに立ち遅れたが、審判長も行司も止めない。手つきの面では両力士ともまずまずではあったが、タイミングが合わない立ち合いは止めてもいいのではないか。高見盛も待ったすべきではあるが。
相撲は垣添が下から当たって、白房下に一方的に押し出し。

千代白鵬栃ノ心は、互いにいい当たりから突き合いとなった。栃ノ心は、この一番に勝てば勝ち越しという意識があったか、ちょっと動きが硬い感じがあった。突き合いから、栃ノ心が左下手、千代白鵬が右上手をとって頭をつける格好。栃ノ心としては不充分。
千代白鵬が上手から出し投げを打って崩し、青房下に寄ると、栃ノ心も左からつきおとしで逆転をねらったが及ばず、千代白鵬が寄り倒した。

普天王北太樹は、左相四つ。先に上手をとったのは北太樹普天王は上手がとれない。しかし北太樹がその上手から出し投げを打ったのが却って悪く、相手を呼び込んでしまった。普天王は右も入れてもろ差しとなり、前に出て黒房下へ寄り切った。

時天空玉乃島は、時天空が1回、玉乃島が2回つっかけて合わず。この場面でも、貴乃花審判長が土俵下から何か言っている様子がない。他の2審判長とやはり対応が違い過ぎるように思う。
相撲は、時天空が離れる相撲で玉乃島に組ませず、星があがっていないだけあって、なかなかいい攻めが出なかったが、最後は何とか押し出した。

7勝6敗同士の木村山豊響は、豊響が押すところ、木村山が左からのいなしを繰り返し見せたが、豊響はこわがらずに向正面赤房下寄りに押し出した。

栃煌山豪風は、豪風が立ち合い左にまわって突き落とし、栃煌山が向き直るところを、東に押し出した。栃煌山は、どうにももろい。

北勝力安美錦は、安美錦が立ち合い左への変化で7勝7敗の五分とした。北勝力は自分のタイミングで立てなかった。安美錦としては、今日明日勝っての勝ち越しに向けて、過去3勝9敗の相手だけに、手段を選ばなかったというところか。

琴奨菊は、昨日早々と負け越したが、「立ち合い正常化」の影響だろう。今日も時間いっぱいから2回つっかけた。立ち上がって、雅山が突いたが、すぐ引いてしまったのが悪く、琴奨菊はついていって、西へ寄り切った。

把瑠都旭天鵬は、立ち合いすぐに右四つがっぷり。旭天鵬のとった上手が伸びた。旭天鵬は、腰を振って、把瑠都の上手をうまく切ったが、把瑠都は器用に左をまきかえてもろ差し、正面に寄った。
これで把瑠都は2勝7敗から5連勝で五分に持ち込んだ。
先場所、把瑠都が星をあげながらも、内容について私は評価する気にならなかったが、今場所の把瑠都の相撲には、魅力を感じる。

しぶとい同士の楽しみな一番、朝赤龍鶴竜は、見応えある前さばきの応酬から、鶴竜がもろ差し。相手の左上手を切るうまさも見せて快勝した。
明日は把瑠都戦。7勝7敗同士の厳しい顔合わせとなったが、楽しみだ。

2敗の安馬豪栄道は、あっけない相撲。安馬は、低く当たって突き起こそうとしたが、豪栄道がうまく体を右に開いていなすと、安馬はつっかい棒をはずされたようにのめってしまい、向き直った時には遅く、豪栄道が押し出した。
安馬は痛い星を落とした。豪栄道のいなしのタイミングが非常によかったのが、勝敗を分けた。

豊ノ島稀勢の里は、ともに既に負け越し。思わぬ結果となった。
立ち上がってすぐに稀勢の里は右上手。豊ノ島は右からしぼってもろ差しねらい。稀勢の里はこれを許さなかったが、豊ノ島稀勢の里の上手をうまく切り、自分は上手を充分にとった。稀勢の里が出てくるところ、豊ノ島は思いきった上手投げで決めた。
四つ相撲のうまさの差。稀勢の里は攻めが雑だった。やはり、四つ身の相撲をもっと勉強しないと、これでは三役にも定着できない。

千代大海が、栃乃洋に一方的な相撲をとった。一瞬速く当たり、栃乃洋を東へ電車道で押した。

琴光喜魁皇は、時間いっぱいから互いに片手をついた状態で、呼吸を合わせきれず、両者一旦土俵から手を離した。しかし、腰を上げて仕切り直すことなく、再度手をおろして立ち上がったのは、立派。
しかし、タイミングがやや合わず、行司が止めた。
再度の仕切りで立ち上がったが、琴光喜に昨日ほどの当たりがなく、一方の魁皇は、今日は珍しくまわしにこだわらずに、突き押しの相撲で前に出た。
琴光喜としては、これが意外だったのか、終始受けにまわってしまい、魁皇が向正面赤房寄りに押し出した。
この大事なところにきて、琴光喜は大切な一番を落とした。まさに痛恨の1敗。やはりこの人の精神面の弱さが出たか。

これで、白鵬琴欧洲に勝てば、優勝ということになった。思わぬ展開。
しかし、琴欧洲白鵬にひとあわふかせてくれれば、明日に優勝争いの興味が持ち越される。
立ち合いすぐに右四つ。琴欧洲も上手をとってがっぷり右四つに渡り合った。そこからの引きつけ合いは、大変見応えがあった。
白鵬は、琴欧洲の上手を切って体勢を有利にした。琴欧洲のとった左上手は伸びており、こういう場合、切られにくいものだが、それを簡単に切られてしまったところが、勝敗を分けた。
白鵬は頭をつけ、ますます体勢を有利にしてから、相手を腰に乗せるようにしての上手投げで、優勝を決めた。
横綱星一つリードしているとは言え、大関と関脇が追走する展開。しかも、千秋楽に横綱大関の直接対決があるのだから、当然、優勝争いは千秋楽まで持ち越されるものと思っていた。
いい展開の優勝争いだっただけに、よもや千秋楽を待たずに決まるとは、意外な展開だった。
しかし、この結びは、いい相撲だった。星があがっていない琴欧洲が、非常にいい相撲をとったと思う。
この相撲を観ていると、やはり、琴欧洲という力士には魅力があると思うし、白鵬に対抗できる可能性があると思う。何とか花開いてもらえないものか。