naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

上田京&恵谷真紀子とウィーンの仲間たち

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

5日(月)、サントリーホール小ホールで、すばらしい室内楽を聴いてきた。

●上田京&恵谷真紀子とウィーンの仲間たちVol.6

   日 時 2010年7月5日(月) 19:00開演

   会 場 サントリーホール 小ホール

   演奏者 上田 京(ピアノ)、恵谷真紀子(ヴィオラ)、
        エッカルト・ザイフェルト(ヴァイオリン)、ゲアハルト・イーベラー(チェロ)

   曲 目 ベートーヴェン 弦楽三重奏曲ト長調 Op.9-1
        ハイドン ピアノ三重奏曲ト長調 Hob.ⅩⅤ-25
        シューマン ピアノ四重奏曲変ホ長調 Op.47
        [アンコール] J.シュトラウス 南国のばら

大学オケ同期のフルート吹きの奥様が出演する、というご縁で聴きに行った。
会場では、その彼と、同じく同期で一緒にヴィオラを弾いていたI君とも久しぶりに会うことができた。

今いる本社からサントリーホールは、ドアツードアで30分足らず。上野の東京文化会館も同様だ。
せっかく交通至便なところにいるのだから、もっと演奏会行かなくちゃなあ。

さて、演奏会のチラシ、プログラムでは、ハイドンベートーヴェンの順番で記載されていたが、開演前にアナウンスがあり、入れ替えて演奏するとのこと。
「演奏者の都合により」と言っていたが、どんな都合なんだろうな。
ピアニストが寝坊して遅れるから、とか(笑)、まさかね。

冒頭にまわったベートーヴェンは、たぶん初めて聴く曲だが、第2楽章がとてもロマンティックで美しい音楽。
あまりメロディメーカーとは言われないベートーヴェンだが、そんなことはないと思った。

しかし、弦楽三重奏曲というのは、ヴィオラのウェイトが、四重奏に比べて格段に高くなる。
旋律を担当したかと思えば、すぐ伴奏にまわる。とても忙しそうだ。

アンサンブル全体としても、厳しさがありそうだ。
聴きごたえのある曲だった。

開演に遅れてきたお客さんを、1楽章と2楽章の間、2楽章と3楽章の間の、2回に渡って入れた。
演奏者の了承はとってあったのだろうが、聴いている側としても、ちょっと嫌な間(ま)だった。

次のハイドンも、初めて聴く曲だと思うが、ベートーヴェンの後にこういう音楽を聴くと、何かほっとする。
この曲順で正解のように思った。

終楽章は、ハイドン独特の機智。ベートーヴェンも意外性の人だが、きっとベートーヴェンにはこういうのは書けないだろうな、と思った。

休憩の後、メインのシューマン

ピアノ五重奏曲は、学生の頃から好きで聴いてきたが、四重奏の方にはあまりなじみがない。
それだけに、今回の演奏会では、これが一番聴きたかった。

聴いてみて思ったが、シューマンというのは、やはり独特の魅力があるね。
ロマン派、と一言でくくってしまってはいけない、シューマンならではの個性。

初めてこの曲をじっくり聴いて強く感じたのは、全曲を通じて流れている、「ほてり」。

シューマンの魅力をそこに感じつつも、そのほてりには、何か近づいてはいけない、近寄るのがこわい、という気がする。

興味深かったのは、客席の空気が休憩前と明らかに変わったことだ。
客席の全員が、息を飲んで動けない、という感じだった。
演奏の迫力は、ベートーヴェンの時にも伝わってきたが、それ以上に、シューマンの音楽が持つ、何と言うのか、痛切感のようなものが、客席に突き刺さってくるような気がした。

すばらしかった。
と思う一方で、同じシューマンのピアノ五重奏のあの晴朗さが恋しく思われたりもした。

アンコールは、ピアノ四重奏の編成で、「南国のばら」。
伸縮自在な絶妙の演奏。ウインナワルツの中でも、好きな1曲であり、堪能、堪能。

このユニットの演奏会はシリーズで行われており、次はどのような曲を採り上げてもらえるのか、楽しみだ。

※関連の過去記事
    アンサンブル・ウィーン・東京 ピアノ五重奏の夕べ
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/45433003.html
    梯剛之の「鱒」演奏会
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/52024562.html