naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

マーラーの9番に惹かれる昨今

時とともに、人の嗜好が変化することがある。

音楽の好みも。

以前も書いたが、私がクラシックを聴き始めた、1970年代は、マーラーブルックナーが注目され出した頃だった。

これまでの鑑賞歴では、若い頃は、マーラーが好きで、ブルックナーはどちらかと言うと苦手だった。

しかし、その後、ブルックナーも好んで聴くようになり、その分やや遠ざかったマーラーに、昨年あたりからまた戻ってきた感がある。

そのマーラーの中で、ここ3、4ヶ月くらいのことだが、自分でも驚く変化がある。

交響曲第9番ニ長調への気持ちだ。

端的に言うと、苦手だったこの曲が、好きになってきたのだ。

上に書いたが、若い一時期、ブルックナーの音楽を苦手としていたのは、何か、自分の感情にふれてくる、そのふれられ方に、つらいものがあったからだ。

そして、ブルックナーよりはマーラーの方が基本的に好きであり続けている私にとって、この9番というのは、同様に、聴いていてつらいところのある音楽だった。

暗い。深刻。死のイメージ。

気軽に聴こうという気にはとてもなれない音楽。

マーラーの9番は、長く、私にとってそういう音楽だった。

昔、失恋直後に、小澤(征爾)さんが新日フィルを振った演奏会で、マーラーの9番を聴いたことがある。
チケットを入手したのは、まさかそんなこと(失恋)になっているとは思ってもいなかった時だった。
よっぽど聴きに行くのをやめようかと思ったが、せっかく買ったのだからと、自分で自分を鼓舞しながら、会場に足を運んだ。
しかし、やっぱり、聴いててつらかったなあ・・・(笑)。

ところで、一般のクラシックファンにとっては、マーラーのシンフォニーの中で、9番というのは、一、二を争う傑作と評価されていると思う。

そういう作品にシンパシーを感じられない自分。そこに、ギャップを感じ続けてきた。

それが、ここ3、4ヶ月。

ウォークマンで、折にふれては、この9番を聴くようになったのに気がついた。

これには自分でも驚いている。

何故なのか、わからない。

ただ、現時点での、この曲への気持ちを言えば、1楽章にしても4楽章にしても、暗いとか深刻とかでなく、ただ単純に、「美しい音楽」だと感じることができるようになったのを自覚している。

今年の1月、マーラーのシンフォニーを好きな順番に並べてみる、というのをやってみた。

その時は、1位から順に、3番、2番、1番、5番、6番、大地の歌、9番、4番、7番、8番、10番、とした。

9番は7位。

今は違うな。4位。いや、もしかしたら3位かもしれない。

ある曲について、これほどに気持ちが変わるというのは、初めての経験だ。

女性についてだったら、これまで色々あったけどね(爆)。

というわけで、会社帰りの今も、小澤さんとサイトウキネンの録音をウォークマンで聴いているのだった。

※関連の過去記事

    マーラー交響曲とのつきあい
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/18281569.html
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       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/61938649.html
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