naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

白鵬の来場所以降は

1月場所千秋楽結び。

既に昨日優勝を決めた全勝の日馬富士と、2敗の白鵬の対戦。

先輩横綱として、せめてここは一矢報いて、日馬富士の3回目の全勝優勝を阻止しなければならないところだが、相撲は一方的。

立ち会い、日馬富士の突きをかわそうとしたか、相手の右をたぐろうとしたが、日馬富士は素早く懐に入ってもろ差し、以後も動きを休めずに攻めきった。

先場所、2ケタにも届かず非難を浴びた日馬富士の全勝優勝は喜ばしいことだが、それにしても白鵬

思ったことは2つ。

まず、今場所の優勝争いの展開だが、久しぶりに東京場所で優勝して、北の湖の24回に並びたい、と言っていたにもかかわらず、序盤で1敗、日馬富士と全勝で並走できずに追う形。

また、場所中に、自分には3人の父親がいると言っていた中の1人である元横綱大鵬の逝去。その場所に自分が優勝しなければ、という気持ちで、優勝への意欲はさらに高まったはずなのに、さらに1つ星を落として自力で並べない差となってしまった。

優勝へのモチベーションをかきたてる材料が揃っていたはずなのに、どうしてこういうことになったのか。

特に気になったのは、妙義龍戦、琴欧洲戦での負け方だ。かつての盤石の強さからは信じられない内容。
「あんな相撲をとったら、白鵬でなくたって負けるに決まっている」という相撲を、白鵬がとったということを、どう考えたらいいのか。

自分が負けすぎたから、優勝には届かなかった、というだけのことと言えばそれまでだが、あの白鵬がそんな優勝争いをしてしまうとは。

しかも、今後のことを考えたら、最低限、今日の結びは日馬富士を完膚無きまでの相撲で制して全勝を阻み、「やっぱり白鵬関はすごい」と思わせないといけなかったはずだが。

1970年5月場所、北の富士は、今場所の日馬富士と同じく横綱2場所目で初優勝した。既に14戦全勝で優勝を決めた北の富士を千秋楽に迎え撃ったのは、横綱大鵬
大鵬は既に3敗していたが、この一番では執念あふれる相撲をとり、凄絶な投げの打ち合いから、大鵬が左すくい投げで勝ち、北の富士の全勝を阻止した。

今日の白鵬日馬富士戦を観終わって、あの一番をすぐに思い出した。
父と慕う大鵬ができたことを、白鵬はできなかった。

2つ目は、日馬富士との対戦についてだ。

昨年7月場所は、14戦全勝同士、勝った方が全勝優勝という対戦だった。
昨年9月場所は、日馬富士14戦全勝、白鵬13勝1敗。白鵬が勝てば決定戦に持ち込める状況だった。
そして今場所、日馬富士14戦全勝で優勝を決めており、白鵬12勝2敗。

日馬富士の3回の全勝優勝は、すべて千秋楽に白鵬を破ってのものだ。
逆に言えば、白鵬日馬富士の全勝優勝を、ことごとく阻止できなかった。

しかも、この3回、回を追うごとに、迎え撃つ白鵬の星が1つずつ悪くなっている。
どれも、白鵬としては負けられない相撲だったはずなのに、対戦前の星(差)が毎回悪くなり、しかも見せ場のない相撲ばかりであること。

かつて、朝青龍白鵬の並立時代が長く続くことが期待されながら、朝青龍の不祥事がらみの思わぬ引退でかなわなかった。

1人横綱角界を支えてきた白鵬に、やっと日馬富士というもう1人の横綱が並び立った。
横綱の並立時代がこれから続くことを期待したいが、どうなのか。

優勝しなければならない場所。
負けられない一番。
そういう時に、白鵬が、さすがだ、という相撲を見せてくれないこと。

特に私が心配するのは、白鵬に、何が何でも優勝するぞ、何が何でもこの一番に勝つぞ、という気迫や気持ちが見られないように感じることだ。

今場所の妙義龍戦、琴欧洲戦の、白鵬には考えられないあの無様な相撲は何なのか。

心技体。

心の面、技の面、両方に原因があるような気がする。

あるいは、体の面に何か起きているのか。

63連勝を達成した反動が、心技体に出てきているのか。

今の白鵬に、再度連勝記録に挑戦してほしいと期待できる要素はない。
だが、連続2ケタ白星の記録と、全勝優勝回数(現在史上トップタイ)だけは、何とか記録を残してほしいと思うのだが。