naokichiオムニバス

69歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

レコード・アカデミー賞を何度も受賞した曲

音楽之友社のレコード・アカデミー賞

若い頃は、誰のどのレコードが受賞するんだろう、と入れ込んでいたが、その頃から、「春の祭典」や、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集は、よく受賞するなあ、と思っていた。

この指揮者は何度も受賞している、など、アーティストとしての受賞の多寡は、まず関心が持たれるところだが、ここは作品の方に視点を変えて、「しばしばレコード・アカデミー賞の対象になった曲」をふりかえってみた。

先に出た「レコード・アカデミー賞のすべて」から、3回以上受賞した曲を列挙してみる。拾い漏れがあるかもしれないが。

7回受賞

   ストラヴィンスキー 春の祭典
      1970年度 ブーレーズ
      1971年度 メータ
      1978年度 デイヴィス
      1982年度 ドラティ
      1999年度 T.トーマス
      2001年度 ゲルギエフ
      2008年度 スウェーデン

6回受賞

   ブルックナー 交響曲第8番
      1965年度 フルトヴェングラー
      1979年度 ヨッフム
      1985年度 ジュリーニ
      1997年度 ハイティンク
      2002年度 朝比奈隆
      2009年度 ヤング

   バルトーク 管弦楽のための協奏曲
      1980年度 オーマンディ
      1981年度 ショルティ
      1984年度 ドラティ
      1991年度 レヴァイン
      1994年度 ブーレーズ
      2006年度 P.ヤルヴィ

5回受賞

   ベートーヴェン ピアノ協奏曲全集
      1974年度 アシュケナージ
      1976年度 ルービンシュタイン
      1977年度 ブレンデル
      1984年度 ブレンデル
      1985年度 アシュケナージ

4回受賞

   ベートーヴェン 交響曲全集
      1975年度 ケンペ
      1980年度 バーンスタイン
      1988年度 ハイティンク
      1994年度 ガーディナー

3回受賞

   J.S.バッハ ゴルトベルク変奏曲
      1983年度 グールド
      2001年度 ペライア
      2011年度 シュタイアー

   ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第13番
      1970年度 スメタナ四重奏団
      1997年度 クリーヴランド四重奏団
      2005年度 タカーチュ四重奏団

   ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第30~32番
      1989年度 R.ゼルキン
      2007年度 仲道郁代
      2009年度 シフ

   ショパン 夜想曲全集
      1980年度 フー・ツォン
      1996年度 ピリス
      2010年度 メジェーエワ

   ブルックナー 交響曲第4番「ロマンティック」
      1971年度 カラヤン
      1974年度 ベーム
      1998年度 ヴァント

   ブラームス 交響曲全集
      1976年度 ベーム
      1978年度 ヨッフム
      1983年度 バーンスタイン

   ドヴォルザーク チェロ協奏曲
      1969年度 ロストロポーヴィチ
      1989年度 マイスキー
      2003年度 マイスキー

   ドビュッシー 海、牧神の午後への前奏曲
      1990年度 デュトワ
      1995年度 ジュリーニ
      2012年度 ガッティ

   マーラー 交響曲第9番
      1977年度 ジュリーニ
      1984年度 カラヤン
      1992年度 バーンスタイン

   R.シュトラウス ツァラトゥストラはかく語りき
      1969年度 メータ
      1977年度 ショルティ
      1988年度 プレヴィン

ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、5回ではあるものの、全集というまとまりでの受賞が、何度もとったとの印象を強めている。
加えて、1970年代に受賞が連続していること、アシュケナージブレンデルが各2回受賞していることも大きい。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲の場合、単独の曲では、他に以下のものがある。

   第1番、第2番 1986年度 アルゲリッチ
   第3番      1978年度 リヒテル
   第2番、第4番 2007年度 プレトニョフ

従って、曲別に言えば、1番6回、2番7回、3番6回、4番6回となる。
「皇帝」の単独受賞がないのは、意外なことだ。

同様に、同じベートーヴェンのシンフォニーは、全集の形で4回ある他、単独の曲での受賞もある。

   第5番、第8番 1969年度 S.イッセルシュテット
   田園       1981年度 スウィトナー
   第九       1970年度 ベーム
             2003年度 ノリントン

これも曲別に言えば、5番5回、6番5回、8番5回、9番6回となる。

また、ベートーヴェンの13番の弦楽四重奏曲の内、タカーチュ四重奏団のものは、後期四重奏曲集としての受賞である。

こうしてみると、やはり「春の祭典」が常連曲であることが確認できるし、私個人がこの賞に関心を持っていた、1970年代から80年代に受賞が集中していた曲、バルトークのオケコンや、ブラームス交響曲全集あたりの印象が強いのも当然という気がする。

間を空けて受賞している曲には、そこまでの印象はない。

また、「全集」という形でのリリースが、受賞に向けてのインパクトになる要素もありそうだ。

かつて、同じ年に、ベームとケンペのブラームスの全集がリリースされた時、ベームの盤が受賞し、しかも大賞にも輝いたが、ベームは全集、ケンパはバラでの発売だった。
この際に、選考委員の大木正興氏が、「仮に両方が全集として出ていたら、自分にはどちらかを選ぶことはできなかった。ベームを選んだのは、全集という重みによるところがあった」と述べていたのを覚えている。

※関連の過去記事
    レコード・アカデミー賞のすべて
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/63537989.html
    カラヤンは誰に敗れてレコード・アカデミー大賞を受賞できなかったか
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/63718599.html