naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

天皇直訴事件と言えば

昨10月31日(木)、山本太郎参議院議員が、出席した園遊会の場で、天皇陛下に手紙を渡したことが問題になっている。

 

そのこと自体にコメントはしないが、この件で、瞬間思い出したのが、小澤(征爾)さんの「天皇直訴事件」だ。

 

私の世代では、記憶している人が多いだろう。

 

今、手元にある、小澤さんの評伝「音楽の旅人」(山田治生著、アルファベータ刊)をめくってみると、それは1972年6月7日のこと。

 

日本芸術院賞を受賞した小澤さんが、授賞式の場で、天皇陛下(昭和天皇)に、日本フィル(自身が関わっていたオーケストラで、当時経営難から解散の危機に直面していた)を助けて下さい、と訴えたのだった。

 

当時、高校2年だった私は、まだクラシック音楽を聴き始めたばかりだったし、小澤さんのこともよくは知らなかったが、この直訴事件は、新聞にも大きくとりあげられたので、おぼえている。

 

たしか天皇陛下は、「うん、うん」と返事をされた、と報じられたと記憶している。

 

日本フィルは、結局、分裂して、現在の日本フィルと新日本フィルとして活動し、現在に至る。
(小澤さんは、新日本フィルの設立から活動を共にすることになる)

 

解散する日本フィルの最後の演奏会は、9日後の6月16日。小澤さんが指揮する、マーラーの2番だった。

 

この時の演奏は、ラジオで放送され、私も聴いた。
(今でも語りぐさになっているこの記念碑的演奏、CDとして発売されることはないんだろうか)

 

今回の園遊会での件は、現職の国会議員がしたことであり、原発を内容とする手紙にまつわることなので、天皇の政治利用等、物議を醸しているが、41年前の小澤さんの直訴事件は、話題にはなったものの、非難を浴びたということはなかったと記憶する。

 

内容が芸術に関わることだったし、既にボストン響の音楽監督に就任することが決まっていた世界的なマエストロが、純粋な気持ちで訴えたもの、というような受け止められ方ではなかったか。

 

そんな記憶がよみがえる、昨日の園遊会の報道だった。

 

※関連の過去記事
    マーラー交響曲とのつきあい
       https://naokichivla.hatenablog.com/entry/18281569
 
※ネットで見つけた関連情報 日本記者クラブのサイトから
    “日フィル助けて” 陛下に直訴 柴崎信三
       http://www.jnpc.or.jp/communication/essay/e00022575/