昨12日(水)は、春闘の集中回答日。
多くの企業でベースアップの有額回答があったと、大きく報じられていた。
これには、個人的には違和感をおぼえていた。
私は、若い頃に、労働組合の本部専従役員として、団交で会社と対峙し、議論を戦わせた。
また、その後は、人事部に所属する機会があり、会社側の立場で団交のテーブルについたこともある。
労使双方の立場を経験した身であるが、どちらの立場からも、春闘というものは、個別労使の交渉にゆだねられるのが基本であって、政治のサイドからとやかく言われることではない、と感じている。
昨日の集中回答日を受けて、けさの日本経済新聞の「春秋」欄もその話題をとりあげていた。
筆者いわく、基本給の底上げであるベースアップは、後々まで企業の負担となるし、一律アップには悪平等の一面もある、と。
その通りだと思う。基本給は成果給の性格を強め、好業績の還元は、都度上げ下げのありうる賞与で行うというのが、近年の企業経営の考え方であり、今回の春闘では、多くの企業がよくベアにシフトしたものだと思う。
「春秋」の筆者は、さらに続けていわく、そういう流れをつくるのに政治が出しゃばりすぎるのは禁物だろう、と。
さらに、「ベアは労使で実らせるもの。アベのベア、じゃあない」。
うまいねえ。新聞のコラム子というのは、本当にうまい。
ところで、当社の春闘ですが。
当業界は世間より交渉時期が遅い。組合要求はこれから作成され、団交開始は来月になるようだ。
当社においても、ベースアップは久しく行われていない。実は、これまでのところ、最後のベアは、私が本部の書記長をしていた頃にさかのぼる。もう18年前のことだ。
ここ10年あまりは、ベア要求自体が行われていない。