naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」

25日(火)、東急シアターオーブで行われた、「ウエスト・サイド・ストーリー」を観賞してきた。

レナード・バーンスタイン生誕100年記念ワールドツアー」と表記されたこの公演、日本(東急シアターオーブ)においては、7月12日(水)~30日(日)、計24公演が行われた。
(バーンスタインは、1918年生)

この公演については、だいぶ前に、確か、地下鉄の車内広告で知り、是非とも行きたいものだと思っており、14日(金)に、大阪のフェスティバルホールで「ミサ曲」を聴いてきたのを機に、チケットを購入した。

東急シアターオーブという劇場には、今回初めて行った。会社からは、銀座線で行ったが、改札口から直結の形になっている。

   やってまいりました、東急シアターオーブ
      https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65812101.html

エスカレーターを上がって行くと、渋谷の街が一望できる。

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プログラム冊子から。

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オーケストラはピットでの演奏だが、メンバーの中に、白石准氏の名前がある(ピアノ)。白石氏とは、20年以上前に、浦安オケで、グリーグのコンチェルトを弾いていただいたことがあるが、2週間前、大阪での「ミサ曲」でも、ロックバンドのメンバーだった。

バーンスタインの最大のヒット作である「ウエスト・サイド・ストーリー」だが、舞台に接するのは初めてだ。

「シンフォニック・ダンス」や、バーンスタイン自身が、キリ・テ・カナワホセ・カレーラスとレコーディングしたCDは、これまでに聴いているものの、映画はちゃんと観たことがなく(DVDは持っているのだが)、ヴィジュアル面では、初めての観賞となる。

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2幕構成であることも、初めて知った。

私の席は、2階1列27番。最前列、ステージをほぼ中央で観る形だった。

オケの演奏が始まり、やがて幕が上がる。ステージはずいぶんと狭い印象。

以後は、オケの演奏、キャストの歌とダンスに引き込まれた。

まとまった形での観賞は初めてだが、一連のナンバーには、これまで断片的に親しんできている。それらを、改めてじっくり味わった。リズム、コード進行、転調には、たまらない魅力がある。

個人的には、一番古くから好きだったのは、「トゥナイト」だ。

中学生の頃だっただろうか、両親がリーダーズ・ダイジェストの通信販売を申し込み、我が家には、定期的にLPレコードが送られてきていた。

シューリヒトのシューベルト「グレイト」などがあったと記憶するが、そんな中に、「映画音楽への招待」と題するアルバムがあった。「栄光への脱出」、「日曜はだめよ」などと一緒に、「トゥナイト」が入っていて、この曲がいたく気に入ったのだった。

この頃は、まだ、クラシック音楽を聴き始める前のことで、指揮者としてのバーンスタインもまだ知らない。その後、高校に入ってから、クラシックに親しむようになり、好きな指揮者の一人になったバーンスタインが、作曲家でもあり、その代表作が、あの大好きな「トゥナイト」を含む「ウエスト・サイド・ストーリー」だと知った時には、大変驚いたものだ。

大学3年生の時、大学オケのサマー・コンサートで、「ウエスト・サイド・ストーリー」の抜粋(歌なし、オケのみ)を演奏する機会があった。これも懐かしい思い出だ。

さらに話はそれるが、石森(石ノ森)章太郎氏の「サイボーグ009」。サイボーグ戦士の一人、002は、アメリカ出身の不良少年で、ジェット・リンクという名前だ。初めて登場してくる場面では、少年たちが、プログラム冊子の表紙にあるようなポーズをしている。「ジェット」の名前も含め、石森氏が、「ウエスト・サイド」をよく知っていたことがうかがえる。

話を戻すが、その「トゥナイト」、私の好みからすると、テンポが速すぎるように感じた。

ともかく、どのナンバーもとてもよかった。「マンボ」に魅せられたことはもちろんだが、「アメリカ」が特によかったな。

あっという間に全編が終わった。

全曲の最後の音の作り方は、もしかすると、バーンスタインが、R.シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」の曲尾をヒントにしたのではないか、と思った。これは、案外当たっているのでは?

それにしても、この複雑なリズム、歌もダンスも大変なのだろうが、すばらしいできばえだったと思う。

2週間前の「ミサ曲」と続けて聴いて思ったのは、やはり「ミサ曲」は、作曲者にとってシリアスな音楽であり、「ウエスト・サイド」はエンターテインメントだということだ。

音楽の外観としては、「ミサ曲」にもミュージカル的な要素はあった。しかし、その時の感想記事にも書いたように、「ミサ曲」は、あくまで宗教曲そのものとして作曲されたものであり、ミサを題材にした、あるいはミサをめぐる物語として書かれたミュージカルでは決してない、と私には思える。表面的には似ている場面もあるが、両曲は、まったく違う意図で作曲されたものだと感じる。

カーテンコールは、大阪の「ミサ曲」とは対照的に、あっさりしたものだった。これで良いと思った。

21:27終演。

最後にまた話はそれるが、小田(和正)さん。小田さんが、「ウエスト・サイド」が好きだという話は、何かで聞いたか読んだかしたことがある。

「YES-YES-YES」のベースラインの一部が、「トゥナイト」を引用しているのではないか、と思ったことがある。

   意識的か?~「Tonight」と「YES-YES-YES」
      https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/59695242.html

今回、実演に接してもう一つ思ったのだが、2幕で、マリアとアニタが歌うデュオの中で、ふと「あなたを見つめて」を思い出す音の動きがあった。

もしかして、これも意識的なのか、と思った。

だって、この曲が初めて収録されたアルバムのタイトルは、「sometime somewhere」なのだ。

会場を後にして、渋谷駅へ向かったが、無意識に、指を鳴らしながら歩いていた。自分でも可笑しかった。

あまり素晴らしかったものだから、ぼうっとしていたのだろう。JR渋谷駅から、新木場行きの電車に乗るつもりだったが、同じホームに1本早く来た逗子行きに乗ってしまったのに気づかず、武蔵小杉で折り返すことになった。

   初めてのフェスティバルホールバーンスタイン「ミサ曲」<1>
      https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65802825.html
   初めてのフェスティバルホールバーンスタイン「ミサ曲」<2>
      https://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/65802827.html