9月29日(水)は、自由民主党総裁選挙で岸田文雄氏が当選したことが世間的には一番のニュースだったと思うが、私個人にとってもっと大きかったのは、さいとう・たかを氏の訃報である。
84歳と高齢になられてはいたが、「ビッグコミック」での「ゴルゴ13」はいまだ連載中だし、つい最近も同誌でインタビュー記事を見た記憶がある。
私がさいとう氏の作品に最初にふれたのは、007シリーズの「サンダーボール作戦」の単行本だった。
(「サンダーボール作戦」という物語も、この漫画で知った。映画はずいぶん後になってから観た)
その後、「日本沈没」、「サバイバル」などを読んだ。もちろん、「ゴルゴ13」も連載開始からではないが、ある時期から今日まで読み続けている。
今回の訃報を知って、瞬間思ったのは、ご本人が「内容は以前から決めている」と言っておられた「ゴルゴ13」の最終回は、これで日の目を見ないのだろうか、ということだ。
報じられているところでは、さいとう氏逝去後も、制作スタッフの手により連載が続くとのこと。はたして制作スタッフには、その最終回のアイディアは伝わっているのだろうか。注目される。
また、この日、もう一つ私の目を引いたニュースは、橋幸夫の引退意向についてのものだ。
声の衰えなどから2年後の80歳の誕生日をもって引退することを決めた、とのこと。
ほんの数日前に、BSの番組に出演していたのを観たばかりだったが、そうした決断が下されるとは、残念に思う。
橋幸夫という人は、格別好きな歌手というわけではないが、私が物心ついた頃に、「潮来笠」でデビューし、母が毎日つけっぱなしにしていたラジオから聞こえてくる歌声にすぐなじんだ。
私の音楽鑑賞歴は子供の頃からの歌謡曲がスタートだ(クラシック音楽に興味を持ったのは、高校に入学してから)。
私が歌謡曲少年になったきっかけを作った一人が橋幸夫であることは間違いない(もちろん、舟木一夫、西郷輝彦、三田明なども)。
橋幸夫は、いわゆる王道の歌謡曲だけでなく、「恋のメキシカン・ロック」などのポップス(当時は「リズム歌謡」と言っていただろうか)もこなす守備範囲の広さが新しかったと記憶する。
(どんな曲でも歌えるという点では、ジャズのアルバムまで出した美空ひばりが筆頭だと思うが)
ずいぶん昔に買った(まだ昭和の頃?)と思われるベストアルバムがあるので、近い内に聴いてみよう。