通勤がなくなったことの影響で最も大きいのは、「音楽を聴く」行為である(演奏会に行くことは別)。
これまでの人生での音楽の聴き方をざっと振り返る。
中学、高校の時は、家にあるステレオでレコードを聴いていた。
大学に入ってから最初の2年は、小平の4畳半の部屋だったこともあってステレオは持てず、レコードは買っていたので、ステレオを持っている友人のところに持って行ってかけさせてもらっていた。貧乏学生には当時のレコードは高かったので、新しいレコードが聴けることはお互いに歓迎するところだった。
3年生になって国立のアパートに引っ越し、ステレオを買った。自由にいつでも好きなレコードが聴けるようになった。
就職後、最初の5年は独身寮の6畳間住まい。そこに学生時代のステレオとレコードを持ち込んだ。入社3年目にステレオを買い換えた。
この時期、ソニーのウォークマンを始めとする、カセットテープの再生機が発売され、出張時にはこれを使って聴くことを始めた。
その後、千葉の現場事務所で飯場暮らしとなった時も、ステレオとレコードを持ち込んで聴いた。
現場勤務の途中で、今のマンションに引っ越し、ステレオとレコードの置き場が確立した。すぐCDプレーヤーも買った。1985年のことである。
以後、基本的には家のステレオで音楽を聴いてきたが、仕事も忙しくなり、家でゆっくり聴く時間を確保しづらくなったので、CDを通勤時に聴こう、と思い立ち、CDウォークマンを買った。確か1991年か1992年のことだった。
これは実に革新的な変化で、通勤鞄にその日聴きたいCDを入れて歩くようになった。出張時も同様。
2007年に、CD現物を入れるタイプのものからフラッシュメモリ式のウォークマンに切り替えて今日に至る。
自宅のステレオは、いつだったかスピーカーを処分してしまったが、ラジカセ1つ持っていないので、現在、家で音楽を聴く手段としては、ウォークマンに転送するためにPCに取り込んだ音源をPCのスピーカーで聴くのが唯一だ。
つまり、私が音楽を聴く場は、家の外。
通勤の往復(電車の中、歩いている時)、出張の移動時、休日のオケ練の移動時がほぼすべてだ。
スピーカーからでなく、もっぱらウォークマンのイヤホンを通じた音楽鑑賞を、20年、いや30年近く? 続けてきたことになる。
そういう状況で、通勤や出張がなくなった影響は実に大きい。
早い話、何も音楽を聴かなかった、という日が珍しくなくなった。
これをどうするかは、読書時間の確立以上に検討課題だ。
ステレオのスピーカーがない以上、とりあえずはCDラジカセくらい買い求めて、手持ちのCDをかけるようにしようか、などと思っている。
会社をやめて浮いた平日5日の日中をどう使うかの時間配分の問題だが、在職中なかなか手がつかなかった諸々の家事もあり、楽器の練習時間も必要だ。
どのように生活パターンを定めていくか、まあゆっくり考えたい。