ここ数日、外出時に、久しぶりにカイルベルトの「ニーベルングの指環」をウォークマンで聴いている。
改めて思ったが、何と良好な音質だろう。
1955年のバイロイト音楽祭のライブ録音だよ。
1955年と言えば、私が生まれた年だ。つまり69年前。
ギリギリステレオ録音初期の69年前の演奏を、こんなにリアルに聴けるなんて。
ステレオ録音が間に合ってくれてよかった、としみじみ思う。
私がクラシック音楽に力を入れて聴くようになったのは、高校から大学にかけての時期だ。
大学に入った1974年はちょうど半世紀前になるが、フルトヴェングラー没後20年の年だった。
大学時代、フルトヴェングラーのレコードはずいぶんあれこれ買い集めたものだが、どれもモノーラルの悪い録音だった。
カラヤンなど、その当時の最新のステレオ録音と比べれば、25年、あるいは30年前のフルトヴェングラーのレコードは本当に見劣りする音だった。
この時点で、25年、30年前との落差は本当に大きかった。
しかしながら、今、2024年からさかのぼって69年前のカイルベルトの「リング」は、今の水準と比較して何の遜色もない。
つくづく、ステレオ録音の確立というのは、今日の価値観から見ても、いわば「完成形」だったんだな、と痛感する。
そんなありがたさをかみしめつつ、「ラインの黄金」から「ワルキューレ」へ聴き進めているところである。
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