naokichiオムニバス

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ラボ・エクセルシオ フィリップ・グラス・プログラム

7日(月)、横浜の鶴見で行われた、クァルテット・エクセルシオの演奏会を聴きに行った。

 

横浜市鶴見区民文化センターのサルビアホールがシリーズで主催している、「Salvia-hall Quartet Series」の一環として行われている演奏会のようだ。「Season58」と表示されている。

そして、今回の演奏会は「ラボ・エクセルシオ」という名前もついていて、クァルテット・エクセルシオとしてシリーズで行っているようだ。

長年この四重奏団を聴いてきながら、この会場でのこのシリーズの存在は知らずにいて、昨年初めて来た。ショスタコーヴィチのシリーズの最終回だった。

今回はフィリップ・グラス・プログラムである。

グラスの四重奏など、まず聴く機会がない。是非聴きたいと思ってチケットを買い求めた。

 

 

JR鶴見駅方面を望む。鶴見は東京から近いし、ホールも駅から近くていい。

 

●ラボ・エクセルシオ フィリップ・グラス・プログラム

日 時 2024年10月7日(月) 18:30開場 19:00開演

会 場 横浜市鶴見区民文化センターサルビアホール

弦楽四重奏 クァルテット・エクセルシオ

曲 目 グラス 弦楽四重奏曲第1番

    グラス 弦楽四重奏曲第2番「カンパニー」

    グラス 弦楽四重奏曲第3番「ミシマ」

    グラス 弦楽四重奏曲第4番「バツァク」

    グラス 弦楽四重奏曲第5番

 

プログラム冊子。「181」とあるのは、「Salvia-hall Quartet Series」「Season58」、通算181回目の演奏会ということなんだろう。

 

私の席はG列5番。100席というコンパクトなホールの最後列。

 

入場すると、ステージではプレトークが行われている。音楽学・音楽評論の谷口昭弘氏と、音楽ジャーナリストの渡辺和氏である。

渡辺氏によると今日の演奏会は大変貴重で、チケットはまさにプラチナチケットだと言う。ここに来られた方は大変ラッキー。人によっては3万円でも買うと言うはず、とのこと。

グラスのオペラ「浜辺のアインシュタイン」が2023年に新国立劇場で上演された時、ピットで演奏したのがクァルテット・エクセルシオなのだそうだ。知らなかった。

そのエクセルシオが、そのグラスの弦楽四重奏をまとめて演奏するのだから、なるほど貴重なのだと得心した。

個々の作品についての話も出たが、今回演奏される5曲の中で、とりわけ貴重なのは1番なのだそうだ。めったに聴けない曲だとのこと。

(グラスの弦楽四重奏がめったに聴けないのは何となくわかる。渡辺氏の著書「クァルテットの名曲名演奏」(音楽之友社)は、刊行以来四半世紀、しばしば手にとってめくる、私にとって大切な本だが、メジャーな曲からマイナーな曲までを網羅したこの本でさえ、グラスの作品はとりあげていない)

 

まずその1番。1966年の作品。

2つの楽章からなるが、一聴した印象としては、想像していた感じの音楽。

グラスの音楽は弦楽四重奏以外も含めてよく知らないし、ミニマルミュージックについてもほんのイメージ程度しかわからないが、そんな私の想像していた感じの曲かもしれない、と思いながら聴いた。

弦楽四重奏的な音楽。格別特異な感じは受けなかった。

2つの楽章は切れ目があったものの、同じような音楽で、違う楽章という感じがしなかった。

ベートーヴェンの14番の四重奏曲の7つの楽章が、切れ目なく演奏されるにも拘わらず、すべて違う性格を持っているのと逆だと思った。

 

2番。1983年の作品なので、1番からはだいぶ間隔がある。

4つの楽章。

最初の楽章はイ短調っぽい響きで始まった。1番が調性をまったく感じなかったのと全然違う。

短い動機でできているようだが、1番とはずいぶん違う。

2楽章は動きがあるスケルツォ風の音楽。3楽章、4楽章もそれぞれ拍子を感じる。

どの楽章も短い。

聴きやすいと言えば聴きやすい。

 

3番。1985年の作品。

6つの楽章。「ミシマ」というタイトルは三島由紀夫を指していて、彼をテーマにした映画のために書かれた音楽を再構成したものなのだそうだ。

1楽章はファーストヴァイオリンが分散和音のメロディをひたすら弾いて始まり、それがチェロなどに拡散していく。この分散和音の展開は、以後の曲にも出てきた。

2楽章はニ短調系。

3楽章も同じ調を感じさせるが、激しいアジタートな音楽。変拍子で、4拍子基調なのに8分音符1つ分がところどころ足りないような感じに聞こえた。

4楽章も同じ調。ハーモニーの変遷に、ヴィヴァルディの「四季」をふと思い出した。

 

15分の休憩。

 

4番。1989年の作品。

3つの楽章。

1楽章は、これも調性がある。ハ長調変イ長調

変拍子で、7つ6つが交代するような感じ。ユニゾンの分散和音。

2楽章は弱音器をつけて、突如響きが一変した。フランスっぽいというか、ドビュッシーみたいな感じのゆっくりした音楽。

3楽章はニ短調基調で最後はヘ長調で終わった。

 

最後に5番。1991年の作品。

5つの楽章。続けて演奏されると曲目解説に書かれていたが、実際には切れ目があったので楽章の区別はついた。

1楽章はピツィカートを伴うどこか和風な響き。

3楽章は激しい音楽で、ちょっとアメリカ的なものも感じた。バーンスタインの音楽のような感じだった。

4楽章はミニマル的緩徐楽章。調性もメロディもある。

5楽章は、途中4人のユニゾンが激しく上下して、そこから少しずつばらけていく経過がとてもよかった。

その後、ハ長調基調のオルガンのような響きになって、1楽章が戻ってくる。最後はピツィカートで消えていった。

 

すべて初めての5曲を順番に聴いてみると、1番と2番以降が大きく違うと感じる。

2番以降は聴きやすすぎる、わかりやすすぎる、とも思った。

 

5曲の中では、1番と5番が気に入った。とても聴きごたえを感じた。

 

グラスの四重奏をこうしてまとめて聴く機会はもうないかもしれない。

本当に聴けてよかったと思った。

 

曲目解説によると、5番の後はだいぶ間が空いて、6番は2013年に書かれる。

現時点では9番まで書かれているのだそうだ。

このラボ・エクセルシオで、6番から9番を聴く機会があればと思う。

 

※以下のステージ写真は、クァルテット・エクセルシオFacebookページからお借りしました。