「レコード芸術」2006年1月号
「レコード芸術」誌は、クラシックのレコードコレクターにとっては、旧約聖書的な存在である。
以前書いたが、私は高校1年生の秋に、クラシック音楽を聴き始めた。
学校の先輩や、音楽教師の伯母などに相談しながら、フルトヴェングラーの「第九」やイ・ムジチの「四季」など、ビギナー向けの曲目のレコードを買い始めた。
当時、自分で情報源にしていたのは、レコード店のレジ脇に積んであった「レコード・マンスリー」という無料の月刊誌であった。
そろそろもっと本格的に情報収集を、と思って、レコ芸を買い始めた。
72年1月号からである。
当時は、新譜のジャケットが表紙であった(72年まで)。
この号は、カラヤン指揮の「マイスタージンガー」全曲盤の表紙であった。
今日、浦安から東京へ出て、06年1月号を買ったのだが、これで購読34年目に入ったことになる。
高校卒業の時に、「読者のページ」を通じて、バックナンバーを4年分譲ってもらったので、68年1月号以降の全号が揃っている。
レコ芸は、高校、大学の時は、本当によく読んだ。
穴があくほど読んだ。時間に余裕があったんだな。
何年何月号の表紙はどういう表紙か。
その号の、例えば交響曲の月評は、何が頭に載っていて、推薦盤だったか。
逆に、あるレコードの月評が載ったのはどの号だったか。
・・・などなど、記憶してしまうくらいだった。
お世話になった批評家は数多い。
私の場合は、大木正興氏(まだ60歳にもならずに亡くなられた時は本当にショックだった)、小石忠男氏、宇野功芳氏、高崎保男氏、畑中良輔氏、柴田南雄氏、三浦淳史氏、そしてもちろん吉田秀和氏など。
彼らの批評文も暗記してしまっていた。
大木氏以外は今でも健筆をふるっておられ、心強い限りだ。
吉田秀和氏が、ここ1年以上、連載を休んでおられるのが心配である。
今は忙しくてなかなか昔のようには読み込めないが、どんなに古い号も手放さずに、今後も折にふれ、レファレンスとして参照していくと思う。