naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

5月場所千秋楽

嘉風豊馬将は、豊馬将が低く出たし、ケガ直後に比べれば一応動けたが、嘉風の動きが上回り、さすがにしのげなかった。
嘉風はこれで9勝。

9勝5敗同士の白露山普天王は、白露山が荒っぽいパワー相撲で先手。
左四つになったことで、普天王が持ちこたえるかと思ったが、相手の左下手を切るまでが精一杯だった。白露山は休まずに相撲をとりきったのがよかった。2ケタ。

3場所連続で7勝8敗の、終盤鬼門高見盛は、過去分の悪い露鵬相手でどうかと思ったが、立ち合いから左前みつをとるのが実に速かった。
右四つ有利な体勢を早々と作ったが、その後露鵬にねばられた。
高見盛の場合、いつもそうだが、右四つに組んでも頭を上げてとっている。今日もそうで、右下手もとらず左上手だけという形は、得意四つながら決していいかっこうではない。
この人は、これを直さないと大勝ちはできないだろう。頭をつけるような相撲がとれれば理想だが、少なくとも天井を向いてアゴを上げた相撲ではいけない。
しかし、さすがに今日は勝ち越しへの執念からか、その後必死に頑張ってめでたく勝ち越し。

琴奨菊岩木山に立ち合いから左を入れて右からおっつける自分の形。
左差し手の返しもよく、がぶり寄りもよかった。
7勝7敗の岩木山は勝ち越しならず。

若の里は、張り差しから左四つで寄ったが、土俵際時天空のつきおとしを食った。
今場所の若の里はどこかおかしかった。右でも左でも四つになれば力が出る筈なのだが、組んでも充分な形を作れずじまいだった。

稀勢の里黒海戦。
立ち合いから相手をよく見て左四つに持ち込んだが、今日も左下手が不充分。
右上手は一枚ながらとれていたので、これを引きつけながらの寄りで決めた。
一枚でもまわしがとれていたのが勝因。これがなく、両まわしをとらずに寄っていたらつきおとしなどを食っていただろう。
このへん、本人に自覚があるかどうか。

安馬はいい当たりで前哨戦は突き、その後右を入れての寄り。いい相撲だったが、土俵際もつれ、物言いとなった。安馬が左手を突いた時に玉乃島の体が飛んでいたかがポイント。安馬の勝ちでもいいように思ったが、取り直し。
取り直しの相撲は、安馬が同じくいい攻めを見せたが、やはり少し疲れたか、玉のまわりこみに足が出てしまった。

さて1敗の雅山。好調の朝赤龍相手の好取組だったが、この大詰めの大一番で、自分の相撲をとりきった。まわしをどっちでもいいからとりたい、と言っていたという朝赤龍に、まったくまわしをさわらせなかった。
徹底して自分の相撲をとった雅山はすばらしかった。これは決定戦になったとして、いかに白鵬でもたやすくは勝てないのではないかと思った。

2番後に土俵に上がった1敗の白鵬。通常の割りであれば魁皇で、その方がラクだっただろうが、この状況では、当然ずっと興味深い把瑠都戦。
足腰のいい大関なので、いかに大きい把瑠都とはいえ、いっぺんに押されたりふっとばされたりはないとは見ていた。ともかく頭を下げて起こされないようにいってほしかった。
しかし、立ち合い大関は左に動き気味に上手をとりにいった。
上手をとって、相手の出てくるのを利用するようにしての投げ。あっさり決まった。
見ている方としてはやや不満の残る相撲。本人にしても不本意な面はなかったか。
まあ、本人にしてみれば、雅山が勝って決定戦の権利を得ているのだから、絶対に負けられない相撲であり、どうしても左前まわしがほしかったということだろう。気持ちはわかる。
しかし、大関は通過点と目される若い大関であれば、いくら勢いのある相手とはいっても、まともに当たるのを避けた印象のあるこの立ち合いは物足りない。
ただ、把瑠都が立ち合いに左上手をとりにきたので、それに俊敏に対応して動いたという見方はできる。だとすれば非凡な話とも言える。
ともかく、これで白鵬は2場所連続の決定戦出場となった。

結びは、琴欧州千代大海をはたいて辛うじて勝ち越し。今日も琴欧州の相撲には見るべきところはなかった。
しかしともかく、この若い大関が来場所カド番という事態にはならず、よかった。

皇牙は、十両の優勝決定巴戦に敗退し、優勝を逃した。
十両優勝力士が弓取りを務めるとなると快挙だと思ったが、実は大田山がやっているという。

それにしても、今場所も千秋楽の土俵の進行が遅い。本割り終了が17:40。決定戦がないとしても遅い。まして決定戦の可能性があるのだから、物言い相撲があったとしても、もっと速い進行を心がけるべきだろう。
結果として、賜杯拝戴が辛うじて放送時間におさまり、優勝力士インタビューは5分放送を延長してなお入りきらなかった。

それはともかく決定戦。
当然、まわしをとれれば白鵬のもの。しかし、終盤戦で調子を上げた雅山の突きは脅威であり、いかに足腰のいい白鵬といえども、離れた相撲になっては、簡単にはしのげないのではないかと見ていた。
しかし、この相撲は、白鵬の力が大きく上回った内容だった。
立ち合いにすぐ組むことはできなかったが、雅山の存分の突きを受けながら、頭を下げて執拗に差しにいく前さばきがまさった。
ついに右四つ左上手。この時点で8割方勝敗は決した。元気な雅山だけに簡単には負けなかったが、最後は白鵬渾身の寄り。
頭をつければもっとラクだっただろうし、投げる手もあったと思うが、あくまでまわしを引きつけて前にまっすぐ出て勝ったところが、白鵬としては非常に立派で、値打ちのある勝ち方だった。
ともかくいい相撲だった。

今場所は、朝青龍栃東の休場という事態の中では本命視された白鵬が優勝する結果となったが、独走ではなく、雅山が最後まで併走したことで盛り上がりはあった。
しかし、見方を変えると、朝青龍が万全の土俵を務めていればこういう展開にはならなかった筈で、栃東ともども責任は重い。
また、他の3大関にしても、まったく物足りなかった。
横綱大関の豪華番付も、白鵬以外の5人は期待はずれであり、雅山という存在がなければ見られたものではない場所になっていた。
来場所は、白鵬以外の横綱大関が、全員とは言わぬまでもコンディションをたてなおして出てきて、白鵬と優勝を争ってもらいたいものだと思う。
そうは言っても、ケガが続く朝青龍が少し前のレベルまで戻すのは案外難しいかもしれず、大関陣にしても、期待できるのは琴欧州だけだ。
栃東も、この3場所の結果を見ると、調子が万全なら優勝する力はあっても、それをコンスタントに続けて横綱を張るまでは難しいと感じさせられる。
琴欧州がケガから立ち直れなければ、ここ数場所の内に、白鵬の独走時代がやってくるように思う。

個々の力士の来場所への期待。
豊馬将は、ともかくヒザを治してほしい。相撲は本当にいいと思う。
嘉風は、地力をつけつつある。来場所は幕の内中位には上がると思うが、楽しみだ。
琴奨菊は、相撲が固まってきた。稀勢の里の勝ち越しで新三役は逃したが、今一番伸びている若手と言える。
その稀勢の里は、確かに力をつけてきたと感じさせられるここ2場所だが、望むのは、四つ身の型の確立だ。
安馬は、新三役の場所、悔しい結果となった。ともかくこの人も万全の状態でとってもらいたい。
雅山は、再大関を期待する声が、終盤ずいぶん聞かれた。確かに、4場所連続勝ち越し、平幕10勝、平幕8勝、小結10勝、関脇14勝ときているので、来場所10勝すれば、三役で3場所通算34勝、一応は合格ラインではある。しかし、その前は負け越しているし、決して三役に定着できているとはいえない。三役定着という点では、むしろ琴光喜若の里の方が上だ。以後の不安を払拭して再昇進するためには、来場所やはり優勝争いに入ってほしいし、最低12勝は望みたいところだ。
そして今場所台風の目となった把瑠都だが、ともかく上位と当たる来場所は楽しみというしかない。私は、いまだに、この人の力量のほどが計れていない。
本当に力があってこれだけ勝ったのかわからないのだ。
まだまだ未完成の相撲だと思う。しかし、そうであっても、何も考えずに思い切って上位相手にどれだけ暴れられるか、楽しみだ。来場所を見れば、ある程度この力士の見きわめがつくように思う。
白鵬は、来場所優勝すれば横綱に上げてもいいと思う。仮に朝青龍が休場したとすると、優勝してもその点でケチがつく可能性もあるが、北の湖千代の富士朝青龍の3場所通過を上回る2場所通過の横綱昇進を見たいものだ。
個人的には、琴欧州にその白鵬の対抗馬として食いついていってもらいたいと願う。ケガを治すことももちろんだが、それと別に、今場所は、自分の相撲に自信を失ったようにも見えた。来場所は、白鵬に先に優勝された悔しさをバネに、何とか大関昇進前の相撲を取り戻してもらいたいものだ。

番付予想。
      東    西
  横綱 朝青龍
  大関 白 鵬  千代大海
  大関 魁 皇  琴欧州
  大関      栃 東
  関脇 雅 山  琴光喜
  小結 朝赤龍  稀勢の里

  入幕 大真鶴豊桜
  十両 上林、影山