11月場所12日目の土俵から

栃煌山＝皇司
栃煌山は、右を入れて左から上手をさぐりながらしぼる形だったが、まったく出られなかった。
攻める力がなかった。

黒海＝若ノ鵬
若ノ鵬がまた飛び上がる立ち合い。黒海はついていけず。
しかし、こんな立ち合いはだめだ。
舞の海のような小兵の技能力士がやるならまだわかるが、立派な身体をしている若手がやってはいけない。
第一、飛び上がりながら相手の当たりをかわしきっていない。変化の仕方としても下手だ。
黒海が、相手の想定外の変化についていけなかっただけだ。
将来を期待される若手が、こういう相撲をとってはいけない。こういう相撲で勝つ味をおぼえると、くせになって大成をはばむと思う。
師匠は厳しく叱るべきだ。
ヌケヌケも終わってしまった・・・。

北勝力＝白露山
北勝力は今日もいい押しが出た。

若の里＝垣添
若の里は、中盤までの相撲で、相当身体に力が戻ったと思ったが、ここにきて３連敗。
調子を崩した。

栃乃洋＝若麒麟
若麒麟が、今日も目をみはる相撲。
序盤の突き起こしがまずよかったし、栃乃洋が得意の左を差したところで、これを小手にきめて向正面に出た。
思い切りのよさが光る。

玉乃島＝海鵬
海鵬はつかまったがよく辛抱し、うまく右からの出し投げで崩して逆転。
海鵬らしい相撲だった。

豪栄道＝土佐ノ海
豪栄道は、土佐ノ海の突きをこらえて左前まわしをとり、頭をつけてよく動きまわったが、勝負をつけきれず、逆転のはたきを食った。
惜しかったが、内容はよかった。悲観することはない。何とか勝ち越してもらいたい。

豪風＝高見盛
高見盛は、ケガをする前よりもよく前に出ている。

出島＝把瑠都
出島は低く当たったが、把瑠都は右からすくうように差して、両まわしをひきつけて前に出た。
把瑠都が体格の利をいかした相撲。今日の把瑠都の相撲内容はよかった。

安馬＝豊ノ島
７勝４敗同士は、豊ノ島が勝ち越し。
安馬が立ち合い低く当たって、前に出ようとしたが、豊ノ島がまわりこんでの上手投げ。
それにしても、過去10戦10勝と圧倒している豊ノ島に初めて敗れた安馬は、今日も思い通りの相撲がとれていないという感じがする。やはり左ひじがよくないのかもしれない。

琴奨菊＝時天空
これも７勝４敗同士だったが、やはり下位の時天空が勝ち越し。
琴奨菊は踏み込みこそあったが、時天空の方が体勢低く、いい形に組んだ。
琴奨菊はそれでも左四つだけにがぶろうとしたが、両まわしともとれない状態ではちょっと無理。
琴奨菊は、終始体勢が高かったのが悪かった。
それにしても、時天空という人、こういうまともな相撲でも強さをみせるが、変化相撲も少なくない。
曲者とも言えるが、いい身体をしているだけに、この人もやはりもったいないと思う。

朝赤龍＝稀勢の里
左四つ。攻めて動いているのは稀勢の里でも、形がいいのは朝赤龍。
それでも稀勢の里は上手をとって相手の上手を切り、何とか勝った。
しかし、朝赤龍の調子がよければ、勝敗は逆になっていただろう。
それほど、稀勢の里の相撲は下手だった。以前から言っていることだが、この人は、左四つ得意と言いながら、組んでの相撲が、驚くほど下手なことがある。今日はその典型。

魁皇＝旭天鵬
魁皇が、過去分のいい相手だけに、左差し右もねじこんで、何とか勝って７勝５敗。
これも、旭天鵬が元気だったら、勝敗はわからなかったと思う。
これで勝ち越しに王手、と言いつつも、残り３日は横綱大関との対戦。苦しい。

琴光喜＝千代大海
優勝争いを左右する２敗同士の一番は、千代大海の圧勝。
千代大海が最高の相撲をとった。
ともかく千代大海の気迫がすごかった。
中盤までよくても、その後崩れるのが千代大海の常だが、この終盤にきても好調を持続できているところが、今場所は違う。
今日のような相撲をとられると、白鵬もどうか、という感さえ与えた。
ひょっとしてひょっとするのか？

白鵬＝安美錦
白鵬は、突きながら、はたこうはたこうとする感じが見られたのが気になった。
しかし。右四つにつかまえてからは、相手の動きによく対応した。
悪くはない相撲だが、やはりまだ横綱としては物足りないと言わざるを得ない。

２敗　白鵬、千代大海、把瑠都
３敗　琴光喜、若麒麟

明日は千代大海と把瑠都の対戦がある。この結果によって、以後の展開は大きく変わるだろう。
千代大海の今日の相撲を見ると、番付通りの結果になりそうな気もするが、やはり把瑠都は不気味なところもある。
白鵬は、魁皇相手なので、まず問題はないだろう。
誰が残って、最後の２日を迎えるか。