naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

1月場所初日の土俵から

1月場所が始まった。

NHKの放送では、平成20年の相撲界への期待、ということで、来場客へのインタビューをやっていて、その中では「日本人横綱の誕生」の声が多かった。
日本人横綱は確かにほしいが、平成20年中の誕生は難しいだろう。
現在の大関からは望みにくいし、すぐさま横綱に駆け上がりそうな若手も見あたらない。
平成20年は、とりあえず、誰か若手が大関に上がってほしい、というところだ。

この1月場所に対する関心といえば、何と言っても朝青龍の復帰だ。
場所前の報道では、一時期伝えられた精神的な落ち込みからはすっかり回復し、稽古ぶりも順調なようだ。
足の負傷も心配ないらしい。
心身ともまずまずの状態で復帰となると、本場所を2場所離れた影響がどうか、ということになる。
過去、2場所以上の休場からの復帰場所で優勝したのは、柏戸大鵬北勝海の3人だけ。平成元年の1月場所、直前の天皇崩御で、月曜日開幕となったあの場所に、北勝海が見事優勝したのは、今でも記憶に残っている。
個人的な意見としては、この場所で、朝青龍に優勝させてはならない、と思う。
復帰即優勝となれば、朝青龍のためにならないと思うし、それでは他の力士があまりにもだらしないと思うからだ。

十両を1場所通過の市原が、海鵬に二本入れられたが、右にまわっての小手投げ。巨体ながら動きがよかった。

ケガの影響で豪栄道に番付上抜き去られた形の栃煌山は、今日はまわしをほしがらず、しかしよく前に出て嘉風を押し倒した。

旭天鵬は、立ち合い少し左に動いて、右四つ左上手充分。若ノ鵬に上手を与えずに寄った。キャリアの違いを見せた一番。

豊響は、立ち合いの当たりはよかったが、鶴竜の動きにかわされた。
豊響は場所前入院したとのことで、今場所は心配だ。

豊馬将が、豪風との一番、一方的に下がるだけで何もできなかった。
場所前の稽古でもまったく元気がなかったというし、心配だ。

把瑠都北勝力に自分の相撲がまったくとれずに完敗。これも残念だった。

若の里朝赤龍は、左四つの見応えある攻防だったが、朝赤龍が右からの出し投げで後ろにまわった。
両者の地力が、現時点では拮抗していることを感じさせられた。

成績次第で大関昇進、と騒がれている安馬は、低く鋭い当たりで栃乃洋を東に攻め込んだが、栃乃洋はこれを左からいなして残した。
安馬は一旦俵を背にしたが、ここから左差し右おっつけで向正面に出るところ、栃乃洋得意の突き落としを食った。
安馬は終始まわしをとっての攻めができなかった。攻め急いだという印象。
安馬大関昇進については、個人的にはまだ早いと思う。
確かに昨年はほぼ三役に定着するだけの力をつけたとは思うものの、三役で常時10番11番勝てるようになったとはまだ言えないのではないか。

安美錦豪栄道は、動きの激しい相撲になった。
豪栄道は、安美錦につかまりたくないという気持ちがあったようで、激しく動いてかきまわしたが、その中でどうするという攻め手が見えなかった。
つかまえきれなかったものの、最後勝ちを手にした安美錦の地力勝ちというところだ。

カド番の琴欧洲は、雅山をよく見て突いたのはよかったのだが、途中ではたきをみせ、思い直して前に出るところを、相手にいなされ、あわててはたいた。
雅山が前に落ちながらもついていき、琴欧洲が土俵を割るのとどちらが早いか、という勝負になった。
軍配は琴欧洲にあがって物言い。雅山が手をつくのが早いということで、差し違えとなった。妥当な判定。
勝つには勝ったものの、琴欧洲の相撲内容は相変わらずで、猛省すべき一番。

場所前非常に元気だったという魁皇は、豊ノ島の左をひっぱりこみ、豊ノ島の右差しをまきかえて左四つ。
右で上手をさぐりながら、西へ一気に出た。
流れがよかったし、下半身に力が入っている。

場所前に入院した琴光喜は、立ち合い踏み込んで肩から当たり、充分の右四つに組んだ。
しかし、そこからの攻めがなかなか出ない。左からの出し投げで崩して出たものの、時天空に右下手投げを打ち返され、結構危なかったが、何とか勝った。

千代大海は、先場所の白鵬戦で傷めた右ヒジが相当悪く、出場を決めたのも年が明けてからだという。
しかし、やはりだめなようだ。当たりはよく、突っ張ったものの、腕が伸びない。
すぐはたいたところを、稀勢の里にまっすぐ出られた。
稀勢の里は、千代大海戦、11戦目にして初勝利。千代大海の自滅に近い相撲とは言え、前に出る出足は鋭かった。

さて、半年ぶりに本場所の土俵に上がる朝青龍。西土俵からの登場も、新横綱の平成15年3月場所以来というから、ほぼ5年ぶりだ。
しかし、館内の歓声、拍手はすごい。花道から出てくる時点で大きな拍手が沸いた。
サッカー問題以来、マスコミはすっかりヒール扱いで、何かとバッシングを続けてきたが、国技館相撲ファンの暖かい迎え方は、意外でもあった。
冒頭書いたように、心身とも、ほぼ問題なく場所を迎えたとは言うものの、本場所の土俵から2場所遠ざかった状況、不慣れな西から上がって、実際の本場所相撲ではどうなのか、という興味はあった。
しかし、琴奨菊との一番、まったく問題はなかった。
琴奨菊は立ち合い当たって攻め込んだが、朝青龍は下がりながらもこらえて二本差し。琴奨菊がまきかえて右四つとなったが、場所前傷めたという腰の影響もあるのか、がぶりにいく場面を作れない。
朝青龍は、機をみて左からの上手投げできれいにころがした。

その朝青龍の復帰土俵を見届けて土俵に上がった白鵬
いくら初日が鬼門とは言っても、相手が出島であれば、まあ何とかなるかと思って見た。
白鵬は立ち合いすぐに右四つに組み止め、休むことなく左からの上手投げで決めた。
まあ、危なげのない相撲ではあったが、上手が深かったのが気になる。体の開きも充分ではなかった。
同じ左上手投げでも、朝青龍の方がずっとよかった。