３月場所千秋楽(１)～いい相撲だった若ノ鵬＝栃乃洋戦

若麒麟と琴春日は、２回物言いがつく相撲の末、若麒麟が軍配通りで制した。

栃煌山と高見盛、千秋楽まで対戦がなかったとは意外。
栃煌山は、立ち合い右のどわで相手を起こし、左右のおっつけでいっぺんに黒房下に押し込む。土俵際で左を差してそのまま寄り切った。
力強い相撲で11勝。来場所が楽しみだ。

普天王が嘉風を破って２ケタ。しかし、何か物足りない内容だ。
今日の相撲も、嘉風終始先手をとって攻め、普天王は後手にまわっての対応だった。
一皮むけてほしいのだが。

岩木山と後半失速の豊馬将は、豊馬将が頭を下げておっつけようとしたが、岩木山に押し込まれて下がった。
豊馬将は、後半戦どうもこういう相撲になってしまう。
最後は岩木山が上手投げで正面に投げ捨てた。
後半戦の豊馬将は、残念な内容だった。
岩木山は７勝８敗。場所後の披露宴を控えて、惜しい結果だった。

豪栄道が垣添を破って勝ち越し。
しかし内容は悪い。当たってからは終始はたきの連発。
最後は組んで、白房下で右からの上手投げで何とか決めた。
地元での勝ち越しはめでたいが、この人への期待からすると、内容はまったくほめられない。反省して、来場所また引き締めて頑張ってほしい。

豊響と北勝力は、両者手を下ろさず、豊響が嫌った。二度目は、豊響がやや立ち後れたが、勝負は成立。
互いに右のどわの攻めから、豊響が左おっつけで後ろを向かせて送り出した。
豊響はこれで幕内残留が確定的。
初日から６連勝の北勝力は８勝止まり。６連敗から勝ち越した、一枚下の栃乃洋とは対照的だ。

その栃乃洋は、７勝７敗と勝ち越しがかかる若ノ鵬との対戦だったが、今日の幕内前半戦では一番の相撲となった。
立ち合い若ノ鵬は右から張って、すくうように右を差して右四つ。栃乃洋が左をまきかえるところを、若ノ鵬は白房下へ出足よく寄って出ると、栃乃洋は弓なりになりながら、つまさき立って、西の徳俵まで伝って実によく残した。
栃乃洋は、ここで左下手投げ。栃乃洋の得意手だが、若ノ鵬もこれをよく残し、左四つ。動きが止まった。
若ノ鵬は両まわしをとって頭をつけ、栃乃洋は左肩を出して半身の形。
若ノ鵬は、栃乃洋の左下手をひじを締めて殺す。このあたりは、なかなかほく研究している。栃乃洋が左からけかえしを見せるなど、互いに機をうかがう。
最後は若ノ鵬が右足を飛ばして白房下へ寄り切って勝ち越し。
今場所の若ノ鵬は、変な立ち合いもなかったし、非常に進歩したと思う。

露鵬と豊ノ島は、豊ノ島がおっつけていっぺんに赤房下へ押して出た。
豊ノ島は、後半戦６勝２敗と持ち直した。来場所に期待したい。

把瑠都と雅山は、ふわっとした立ち合い。把瑠都はがっちりつかまえたかったのだろうが、立ち合いが合わなかったことで、それができなかった。
とりあえず西へ押し込んだが、雅山がふりほどいて突く。
雅山が赤房下へ押し込むところを、把瑠都がはたく。微妙な相撲となり、軍配は雅山も物言い。
取り直しが妥当かと思ったが、協議の結果は差し違えで把瑠都。
これで把瑠都は12勝。雅山は７勝７敗から痛い星を落とした。
把瑠都は今日の相撲は反省すべき。しかし、上位に戻る来場所に期待したい。

時天空に鶴竜は、鶴竜がいい踏み込みを見せたが、時天空がのどわで起こしておいてからのはたき。
鶴竜は６勝９敗。ちょっと終盤、ねばりがなくなってしまった。

朝赤龍と安美錦は、朝赤龍が低く攻めて左前まわし。頭をつけて食い下がる。安美錦も低く構えたが、右半身。
最後、朝赤龍が引きつけて青房下へ寄り切った。朝赤龍は東筆頭で勝ち越し、三役復帰を決めた。

稀勢の里と７勝７敗の琴奨菊は、稀勢の里が勝てば、入れ替わりに関脇に上がれる相撲。
立ち合い、当然左四つになったが、稀勢の里は上手がとれない。琴奨菊は右からおっつけて前に出る型がある。早く出たいところだったが、寄って稀勢の里に上手をとられるのを警戒したか、寄る構えは何度か見せたが、無理はしない。
その後、琴奨菊は右をまきかえてもろ差しとなり、万全な形を作ってから正面にがぶった。
これで勝ち越しと殊勲賞。
稀勢の里は、やや考えが足りない相撲だったと思う。これで対戦成績は稀勢の里の４勝10敗。

７勝７敗の安馬は旭天鵬との一番。
安馬は鋭く当たり、のどわで黒房下に攻め込んだ。旭天鵬はこれをよく残し、右四つ。
安馬は上手をとり、旭天鵬は上手がとれない。安馬は、一服して旭天鵬に体勢を立て直させることなく、すぐに左からの上手投げで決めた。
安馬は、４勝７敗から４連勝でよく勝ち越した。

魁皇と黒海は、過去魁皇の５勝７敗。
魁皇が低く出ようとするところを、黒海がはたくとあっけなく決まった。
黒海は、最初からはたこうと決めていたような相撲だった。12勝は立派だが、今日の相撲などを見ていると、敢闘賞にふさわしいかどうか、ちょっと疑問もある。

千代大海と７勝７敗の琴光喜は、突き合いとなったが、押し込んだのは琴光喜の方。その後、はたいて琴光喜が何とか勝ち越し。やれやれというところだろう。