naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所千秋楽(2)~白鵬がやや期待はずれだった相星決戦

さて、結びの相星決戦、白鵬朝青龍
今日が最後となる34代木村庄之助にとっても最高の舞台となった。
朝青龍としては、今の白鵬に確実に勝つならもろ差しがベスト。白鵬としては、右でも左でも、まわしをしっかりとった四つならば、五分以上に戦えると予想。
立ち合い、すぐに互いに左差し。朝青龍は右も差してもろ差しねらいにいったが、白鵬は左をまきかえ、左四つ。白鵬朝青龍の左下手を嫌ったか、右からおっつけるようにしながら、左差し手を返してつきつけて西土俵へ一気に寄った。
しかし、そこを朝青龍が右から思い切りのいい小手投げ。これが鮮やかに決まって、朝青龍、先場所の雪辱を果たしての22回目の優勝。貴乃花に並んだ。
先場所と違って短い相撲となった。
今のこの二人の対戦、やはり短い相撲なら朝青龍、長引けば白鵬ということだろう。今後も同じ傾向になるように思う。
さて、この相撲だが、白鵬にミスがあったと思う。左四つに持ち込んだのはいいが、もっとじっくり構え、形を作ってから出るべきだった。左右ともまわしをとらない状態で前に出たら、やはりあの小手投げは食う。
白鵬にしてみれば、朝青龍のスピードが頭にあり、ぐずぐずしていると何かしかけられるのではないか、という気持ちで、先手を打って寄って出たのかもしれない。
しかし、結果としてはやはり無謀な攻めだったと思う。
仕切りの最中に、向正面解説の舞の海が、場所前の白鵬の談話として、「変なことをしなければ朝青龍には勝てる」と言っていたことを紹介していた。まさに、その「変なこと」をした相撲ではなかったか。白鵬としては、この一番、負けるべくして負けたと言ってもいいように思う。その意味では、期待はずれとも言える。
白鵬は、花道を下がる時に足をひきずっており、その後の情報では左足首を傷めたらしい。この一番で傷めたのだろうか。来場所にひきずるようなケガでなければいいが。

それにしても、朝青龍にとって、4場所ぶりのこの優勝は、忘れられないものになるだろう。
私は、先場所は、復帰早々の優勝を白鵬が許してはいけないと思った。
そして今回は、個人的には白鵬に勝たせたい思いもあったが、やはりこれでよかったと思う。白鵬に4連覇を許し、自らは2回の相星決戦に敗れたということでは、どうしても主役交代の印象が強くなる。
先場所悔しい思いをした分を、朝青龍が今場所返したということで、意義があったのではないだろうか。
5月場所以降も、このような形で、両横綱が優勝を争ってくれればと思う。

実際、今後の相撲界を見た場合、そうならざるを得ない状況だ。
大関のふがいなさについては、先場所の千秋楽も書いた。
9勝が1人、8勝が2人、途中休場が1人。4人で25勝だった。
今場所は、琴光喜魁皇千代大海の3人が勝ち越したが、揃って8勝7敗。琴欧洲が2勝してから休場したので、4人で26勝ではあるが、実質的には先場所よりひどいと思う。
横綱に昇進した白鵬を別にすると、大関の優勝は平成18年1月場所の栃東以来出ていない。誰かが交互にカド番。今度の5月場所で、4場所連続カド番がいる場所となる。
こんな状態では、今の大関の中から横綱はおろか、優勝する力士が出てくることも期待しづらい。
一方、ではそれに続く力士が出てくるか、という話になると、これもちょっと心許ない。期待される安馬琴奨菊稀勢の里がいずれも今場所は8勝止まり。それ以外の有望株を下にさがしても、当面近い時期に三役に定着し、大関に上がりそうな力士が出てくるまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。
現実には、今の相撲界は、朝青龍独走時代に、やっと白鵬という対抗馬ができたが、今度はその両横綱と、下の力士に大きな差があるという状況だ。
当分は、両横綱に頼るしかない状況で、やはり朝青龍がまだがんばれるのか、そこがポイントになるだろう。両横綱対立の時代が当分続くか、それとも大きな流れとしては白鵬の時代になっていくのか。そのへんは、あと3場所、4場所で見きわめがつくと思う。

三賞

殊勲賞 琴奨菊
敢闘賞 黒海把瑠都
技能賞 栃煌山

黒海の相撲はそんなに目立っただろうか。私には、少なくとも敢闘賞、という印象はあんまりない。三賞選考が行われる時点で11勝していたのが大きかったか。
ここにいない顔ぶれでは、高見盛に何かあってよかったと思う。今場所の相撲に関しては、技能賞に値すると思うし、敢闘賞だって、黒海よりはふさわしい。
あと、星があがっていないのでやむを得ないが、朝赤龍の相撲の巧さは、捨てがたいものがある。

番付予想。

三役
      東     西
横綱  朝青龍  白鵬
大関  琴光喜  魁皇
大関  千代大海 琴欧洲
関脇  安馬   琴奨菊
小結  稀勢の里 朝赤龍

豪風陥落、朝赤龍の返り三役。
先場所は、東7枚目で12勝の豪風が新三役に昇進した。今場所、西5枚目の黒海、東7枚目の把瑠都がともに12勝だが、来場所の三役はない。番付運というものだ。

幕内と十両の入れ替え

陥落が多い。
市原、海鵬若麒麟、境澤、皇司、龍皇。
しかし、上がる力士がいないのだ。
東筆頭10勝の土佐ノ海、東2枚目8勝の白露山、東3枚目8勝の琴春日、西3枚目8勝の白馬、東4枚目9勝の栃ノ心、東5枚目10勝の玉乃島
無理してさがすとこの6人。普通なら上がれない成績の者もいるが、仕方がない。
場合によっては、6勝9敗の若麒麟(下に1枚)を残すか。その場合は、白馬の新入幕が見送りだろう。

十両と幕下の入れ替え

陥落は、駿傑(引退)、東西の12枚目(下に2枚)でともに6勝9敗の北勝国、土佐豊あたりか。片山も微妙だが、7勝8敗で下に1枚ある。
上がる力士としては、ちょうどよく4人いる。
武州山、若荒雄、安壮富士、大勇武。