naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

昔はなかったもの~コンパクト・ディスク

コンパクト・ディスクが、鳴り物入りで世に出たのが、1982年のことだった。私は27歳。入社5年目だった。

「CD」というと、一般にはコンパクト・ディスクを指すだろうが、それ以前には、銀行の現金自動支払機(今で言うATM)がCD(cash dispenser)、また、譲渡性預金(certificate of deposit)のこともCDと言っていた。

個人的には、コンパクト・ディスクは、「3つ目のCD」だった。

実家にステレオセット(レコード・プレーヤーと、チューナーとスピーカー)が置かれたのは、私が中学の頃だっただろうか。1960年代の終わり頃?

私のレコード鑑賞歴は、その頃から始まる。

当時のレコードは、もちろん針を落とすアナログレコードだった。
LPレコード(アルバム)は、33回転、EP(シングル)は、45回転。

その一世代前の、SPレコードというのは知らない世代だ。
ただ、子供の頃に、母の実家で、78回転のSPレコードを見た記憶がある。

「針を使わないレコード」が、いずれ実用化されるだろう、という話を知ったのは、何かのテレビ番組だったと思う。
私は高校くらいだったか。とすれば、70年代前半だ。

歳月を経て1982年、コンパクト・ディスクは商品化された。あの時テレビで観たものが、現実になったのだ、と思った(ような気がする)。

しかし、当初のコンパクト・ディスクは、まずプレーヤーがバカ高かったし、ディスク自体も高かった。

グラモフォンから出た、カラヤンの旧譜がCD化されたものなどが、1枚4,200円もしたのをおぼえている。

当時のLPレコードは、新譜で2,800円が普通だったから、あまりにも高価だった。

今、私はブルーレイ・ディスクにまだ手が出ないでいるが、これも似たようなものだ。

昔から今に至るまで、オーディオ的な分野には関心が低いので、それまでのアナログレコードに比べて、ずっと音が良いのだ、と言われても、そのことに格別の魅力は感じなかった。
第一、独身寮の6畳間に住んでいたのだし。

ということで、コンパクト・ディスクには手を出さずにいたが、その後、現場事務所の宿舎住まいを経て、1985年、所帯を持ってマンション住まいになったのを機に、さすがにそろそろ、と思って、それなりに安くなっていたプレーヤーを買った。

一般のレコードファンに比べると、遅かったかもしれない。

初めてコンパクト・ディスクで聴く音楽は「第九」、と決めていたので、当時発売されて間もなかった、カラヤンのディスクをまず買って鳴らした。

レコード店の商品の、コンパクト・ディスクへのシフトは進んでいったが、歌謡曲やポップスのシングル盤だけは、しばらくアナログレコードのままだったように記憶する。

しばらくして、8センチのCDシングルが商品化されたが、プレーヤーのトレイが8センチのディスクに対応しておらず、しばらくの間は、別売のアダプターに載せてトレイに装着したものだ。

その後、シングルも、当初「マキシ・シングル」と称していた12センチのものにシフトした。

コンパクト・ディスクは、82年の商品化から、今年でちょうど30年になる。
(82年というと、話はそれるが、「笑っていいとも」が始まった年だ。そして、中森明菜小泉今日子などの、歌謡界「花の82年組」)

SPレコードに代わり、アナログレコードが、いつ頃商品化されたものか知らないが、1950年代と仮定すると、コンパクト・ディスクの登場まで、30年前後の期間、主流だったことになる。

コンパクト・ディスクも、ほぼ同じくらいの期間が経過する。

商品のライフサイクルからして、そろそろ、新たなフォーマットのメディアが登場するのだろうか。

昨今は、ディスク、という「モノ」ではなく、配信、ダウンロードの形で、音楽ソフトが供給されている。

ディスクのセールスも、AKB48がミリオンセラーを連発しているのは例外で、基本的には縮小していると聞く。

そのことからすると、新たなハード、メディアの開発は、ビジネスとして難しいのかもしれない。

個人の立場からは、買い集めたコンパクト・ディスクを、これからも長く聴けるようであってほしいと思う。
少なくとも、あと20年くらいは、プレーヤーが供給されてほしいのだが。

最後に。

私は、「CD」という呼び方は、何か無機的かつ安っぽい感じがして好きではない。言葉で言う時も、文字に書く時も使いたくない。

さらに言うと、「コンパクト・ディスク」という呼び方にも、既に30年の歴史があるのは知りつつ、なじめない。

個人的には、やっぱり「レコード」と呼びたい。

一般的には、アナログレコードのことを「レコード」と言って、「CD」とは区別するようだが、私としては、SPであれ、アナログレコードであれ、コンパクト・ディスクであれ、音楽が録音されたメディアは、「レコード」と総称したい。

その意味で、「レコード芸術」が、今もって誌名を変更しないでいてくれることには、本当に我が意を得た思いでいる。

※レコードは「物価の優等生」だねえ、という過去記事
    どちらも2,100円!~ベートーヴェン交響曲全集
       http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/61912907.html