立ち会いが成立していることに疑いの余地はない。
嘉風が若干立ち遅れたのは確かだが、行司や審判が止めるほどの合わなさではまったくない。
そこから白鵬の「抗議」劇、「負けた力士が自ら物言い」のひと幕となったわけだ。
しかし、自分が待ったせずに、行司も審判も止めなかったなら、立ち会いは成立しているわけで、勝負がついてから何を言っても手遅れと言うしかない。
白鵬は、転げ落ちた西の土俵下から土俵に上がろうとせず、不満の面持ち。式秀審判に促されてやっと土俵に上がったものの、行司が構わず嘉風に勝ち名乗りを上げ、嘉風が懸賞金を手に土俵を下りたにも拘わらず、白鵬は今度は土俵を下りようとしなかった。
おそらく、白鵬としても、立ち会いが成立しており、文句を言うことができないのは、わかっていたのではないか。
さらに、控え力士ならともかく、取組当事者が物言いをつける権利もないことも知っていただろう。
すべてわかっていながら、頭に血が上って、引っ込みがつかなくなってしまったということではないだろうか。
何故頭に血が上ったか。
唯一の全勝力士だったのに初黒星がついたこと。過去15勝1敗と圧倒していた相手に負けたこと。
いわば、みっともない負け方だった。そこではないか。
これは失態ではないだろうか。もっと毅然とした対応をすべきだったと思う。
一方、NHK実況は藤井アナだったが、「これはあってはならないことです」ときっぱり言っていたのは立派だった。
審判部としては、事後であっても、白鵬によく説明し、納得させるべきだろう。
この嘉風戦も、立ち会いすぱっと二本入られたのは、そのためではなかったか。