naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

白鵬の「抗議」の件

11月場所11日目、白鵬嘉風戦。前代未聞の事件となった。

立ち会いが成立していることに疑いの余地はない。

嘉風は両手をついて待っており、白鵬は自らの呼吸で立った。しかも張り差しを繰り出している。

嘉風が若干立ち遅れたのは確かだが、行司や審判が止めるほどの合わなさではまったくない。

互いに当たった瞬間、嘉風白鵬に抱きつくようにもろ差しとなり、そのまま西土俵に走った。

そこから白鵬の「抗議」劇、「負けた力士が自ら物言い」のひと幕となったわけだ。

瞬間思い出したのは、9月場所3日目の、日馬富士琴奨菊戦。日馬富士が待ったをしたつもりだったが、立ち会いは成立しており、琴奨菊の寄りに一方的に負けてしまった一番。

今回の取組は、報道によれば、白鵬は「嘉風が待ったしたと思った」と話していたとのこと。

しかし、自分が待ったせずに、行司も審判も止めなかったなら、立ち会いは成立しているわけで、勝負がついてから何を言っても手遅れと言うしかない。

白鵬は、転げ落ちた西の土俵下から土俵に上がろうとせず、不満の面持ち。式秀審判に促されてやっと土俵に上がったものの、行司が構わず嘉風に勝ち名乗りを上げ、嘉風が懸賞金を手に土俵を下りたにも拘わらず、白鵬は今度は土俵を下りようとしなかった。

おそらく、白鵬としても、立ち会いが成立しており、文句を言うことができないのは、わかっていたのではないか。

さらに、控え力士ならともかく、取組当事者が物言いをつける権利もないことも知っていただろう。

すべてわかっていながら、頭に血が上って、引っ込みがつかなくなってしまったということではないだろうか。

何故頭に血が上ったか。

唯一の全勝力士だったのに初黒星がついたこと。過去15勝1敗と圧倒していた相手に負けたこと。

そんなこともあるだろうが、私が思うのは、白鵬が会得したいと追求している「後の先」の立ち会いを、嘉風にやられた形となった点ではないか、ということだ。

いわば、みっともない負け方だった。そこではないか。

ところで、この間、行司の式守伊之助も、審判長の山科親方も、白鵬のふるまいについて、何ら指示を与えなかった。しぶしぶ土俵に上がったのは、式秀審判に促されてのことと伝えられる。

これは失態ではないだろうか。もっと毅然とした対応をすべきだったと思う。

一方、NHK実況は藤井アナだったが、「これはあってはならないことです」ときっぱり言っていたのは立派だった。

審判部としては、事後であっても、白鵬によく説明し、納得させるべきだろう。

余談だが、白鵬が時間一杯になって、汗をよく拭かないことが時々話題になる。今場所も、玉鷲との対戦後、攻防の中で突っ張りが滑った形で後ろにまわられた玉鷲が、そのことを言っていたとされる。

この嘉風戦も、立ち会いすぱっと二本入られたのは、そのためではなかったか。