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紅白歌合戦雑感

2018年の紅白は、宇奈月温泉での早い夕食時にすっかり飲んでしまって、始まる頃には爆睡。年越し蕎麦が部屋に届いて起こされた時には、最後の嵐の出番だった。録画はしたものの、観ないままでいる。

 

2019年の大晦日は、家で過ごした。家事の合間に観た範囲での雑感。

 

出場者が発表され、今年に始まったことではないが、「知っている人が少なくなったねえ」、と妻と話した。ただ、実際に観て、その受け止め方は違うのだ、と思った。

 

邦楽ジャンルの多様化。私が子供の頃は、テレビやラジオで聴く邦楽は、歌謡曲がほとんどで、小学校から中学校の時期に、グループサウンズや当時和製ポップスと呼ばれるジャンル、あるいはフォークソングなどが加わってきた。

 

今回の紅白を観ていると、邦楽ジャンルが、その頃よりは遙かに多様になっていることがわかる。アニソンの世界、K-POP等々。

 

加えて、そのジャンルが世に知られ、人気を得る過程(チャンネル)が多様になっていることも痛感する。テレビやラジオの歌番組しかなかった時代からすれば、ストリーミングや動画で人気を博して紅白出場に至るなどとは、想像もできなかったことだ。

 

NHKが、そうした多様なジャンル、チャンネルをリサーチした上で、その「最大公約数」たる顔ぶれを集めようとしたのであれば、大したものだと思う。

 

限られたジャンルしかトレースしていない私などから見れば、知らない人が多いのも当然ということになる。

 

未知のジャンルにまで言及できないが、私がカバーできる範囲での変遷の特徴を改めて挙げれば、まずロック系の音楽が増えてきていること。かつてグループサウンズが、ブルー・コメッツ以外、軒並み排除されたことを知っている世代としては、時代の流れを痛感せざるを得ない。

(まして、ロック中のロック、KISSが出演するなど、想像もしなかった)

 

それから、「多人数のアイドルグループ」が多い。ジャニーズ系、AKB系、男女問わず、だ。ある人たちから見れば、似たような、若い男の子、女の子の集団が、似たような曲を歌い踊っているとしか思えないだろうが、ひるがえってみれば、昔の紅白は、男女のソロ歌手による、歌謡曲、演歌ばかりだったわけで、それも子供からすれば、似たようなものだった。

 

関連して、「ダンス」の占めるウェイトが、考えられないくらい大きくなっている。これは、結構最近のことだと思う。モーニング娘。あたりからか。

 

それから、ジャンルは別にして、どのアーティストも、歌が上手いし、バックの演奏も水準が高い。

(紅白以外の歌番組で観ていたグループサウンズを思い出すと、バンドとしての演奏技能は、この紅白で観るものとは比較にならない。また、アイドル歌手というくくりでも、昭和の時代の多くの人たちの歌唱力について、同様のことが言えると思う)

 

子供の頃、家族みんなで紅白を観ていた時、父も母も、「最近の歌手は昔に比べて上手い」と言っていたのを思い出す。私から見ると、その時、父母がほめていた、当時の若い歌手と、今回の紅白の出演者は、さらに段違いなものがあると思う。

 

これは、社会が豊かになる中で、競争が激しくなってきたことによるものだと思う。

 

全体の傾向、紅白がとりあげる音楽の変遷については、そんなことを思った。

 

個別の曲について、2、3。

 

竹内まりやは、日本の宝だ、と思った。

 

それから、ワールドカップのこの年に、ユーミンが「ノーサイド」を歌ってくれたことに感謝。

 

「AI美空ひばり」については、今の技術でここまでのことができる、という点への敬意は感じた。しかし、あの比類のない美空ひばりの歌唱力に挑戦するのは、相手が悪い。無謀というものだろう。テクノロジーで到達できる限界が露わになるだけだと思った。次元の異なる話ではあるが、ピアノロールを想起した。いかにすばらしい演奏でも、それを記録する手法として、ピアノロールは限界があったと思うが、今、テクノロジーで構築できるものも、まだまだそうしたギャップがあるのではないか。

 

あ、あと、歌い終わって、後奏がないまま、とぎれるように終わる曲が多いとも感じた。これは今のトレンドなんだろうか。

 

最後に、番組のあり方について。

 

これは、以前から思っていることだが、ショーやコントのようなコーナーはやめられないか。あの分の時間を捻出するために、歌唱時間を削られる歌手が、主に前半に目立つ。一方、星野源や嵐は、自分の出番以外に1曲歌えて、実質2曲。これは不公平だろう。チコちゃんやら、おしりたんていやら、ああいうのをやめれば、1アーティストが歌える時間はもっと取れるはずだ。

 

紅対白の構図も、今回のように、紅白の組数が違ったり、紅組にも白組にも属さない、企画や特別企画が多くなってくると、そろそろ限界が近づいてきているのではないか。番組のタイトルやコンセプトの根幹に関わる問題なので、簡単なことではないかもしれないが、紅白の区別をやめ、バラエティ的な要素も排除し、歌だけを聴かせるような番組にして、各アーティストに一定の時間を確保する、そんな形にできないかと思う。そうしたら、小田(和正)さんも出演するかな?

 

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