紅白歌合戦は、例年通り妻の実家で観た。
知らない顔ぶれも少なくない。妻の母に、この人たちは日本人なのか韓国人なのかと聞かれても、スマートフォンで調べないとわからない状況。
以下、備忘的つぶやき。
(例年、中川右介氏が旧Twitter上に、リアルタイムで感想をアップされるのだが、今回はそれがなかった)
Perfume。独自の領域を持ったユニットだが、特にヒット曲もない中、この紅白に出場し続けている(16回目)のは何故なんだろう(おかしいという意味ではない)。
天童よしみが7番目で歌唱。
今回、演歌、歌謡曲系は、天童よしみ、純烈、山内惠介、水森かおり、坂本冬美、三山ひろし、石川さゆりといったところ。
(選曲上、今回についてはJUJUも)
紅白も変わったものだと痛感する。
このジャンルの歌手がトリで歌うことは、もしかするともうないのかもしれないな、と思う。
1978年、山口百恵と沢田研二が、初めてポップス系でトリをとった時のインパクトも今は昔だ。
それはさておき、前掲の歌手の中では、やはり天童よしみが一番歌がうまいとの感触は今回も変わらなかった。
緑黄色社会は今回もよかった(キャラクター)。常連になってくれると嬉しいのだが。
一度ライブに行ってみたいバンドだ。
anoは、バラエティ番組でのほんわかキャラしか観てこなかったが、歌手としての彼女(と言われるのは本人は本意でないか)を初めて観て、ただものでないと感じた(ちゅ、多様性。)。
JUJUは、最新アルバムとツアー、「スナックJUJU」を踏まえて「時の流れに身をまかせ」を歌唱。紅白においては、今後この路線を継続して出場してほしくもあるし、オリジナル曲やジャズなど別レパートリーも聴かせてほしくもある。
(今年2月の東京ドーム公演は、小田(和正)さんや鈴木雅之もゲスト出演するそうなので、行きたいのはやまやまなのだが、うらやすシンフォニエッタの練習があるため断念)
milet(コイコガレ)と MAN WITH A MISSION(絆ノ奇跡)は、アニメ「鬼滅の刃」つながりのコラボレーションなのだそうだ。
MAN・・・も「鬼滅・・・」もまったく知らないのだが、2曲とも聴きごたえがあった。
miletの歌は、過去に聴いたものよりもパワフルで暴力的なよさを感じた。
水森かおりのドミノチャレンジは、もしかして三山ひろしのけん玉同様、今後の定番企画になるのか?
大泉洋「あの空に立つ塔のように」は、11月に「SONGS」で聴いていたが、その時思った通り、よい曲だしまた歌もすばらしいと今回も思った。
日本武道館でのリサイタルは、どうやってもチケットが取れなかった。
坂本冬美は、若手男性(確かJO1とBE:FIRSTだったか?)のダンスとのコラボで「夜桜お七」。
紅白は、昔からこういう、この日に集まった歌手同士をからませる企画が多い。郷ひろみの「2億4千万の瞳」にブレイキンをかませたのもそうだ。
こういうのは、当の歌手本人はどう思っているのだろう、と以前から思う。紅白だからとその日限りのコラボを楽しんでいるのか、あるいは本音は邪魔で、いつも通りに自分の歌に専念したいのか。
少なくとも、紅白の場合、毎年のFNS歌謡祭で企画されるような、音楽的なコラボではなく、演出上の企画どまりであり、そこが当人たちにとってどうなのか、という点だ。
10-FEETというバンド、初めて聴いたがとても魅力がある音楽だと思った。ステージ上には3人しかいなかったが、見えないところにサポートメンバーがいたか?
YOSHIKI、HYDEなど11人のメンバーによるスペシャルメドレーは、初めて聴く曲ばかりだったが、よかった。
これも昔話になるが、グループサウンズ最盛期に、「長髪はだめ」という理由で、ブルーコメッツ以外、タイガースもスパイダースも紅白に出られなかったことも、今昔の感だ。
Official髭男dism(Chessboard)。有名アーティストなのに、ほとんど聴いたことがないのだが、この曲は詞も含めてとてもよいと感じた。
今回、出場すると聞いてびっくりした一番はクイーン(しかも特別企画でなく白組の一員扱い)。
もともと親日家だと聞くし、今年、来日公演があることとも関係があるかもしれない。しかし、あの1970年代、80年代、クイーンが紅白に出るなど、誰も想像できなかったのではないか。
さすがのパフォーマンスだった。
ゆずもよかった(ビューティフル)。
ソロでは初出場の伊藤蘭(キャンディーズ50周年紅白SPメドレー)は、懐かしくも安定感を感じさせる歌。事前に観測があった、娘趣里とのからみが結局なかったのは残念。
母子共演はさておいても、「ブギウギ」のコーナーを設けて趣里他の登場人物を出演させれば盛り上がっただろうし、1月からの後半のドラマ視聴率も上がっただろうに。
星野源「生命体」がすごくよかった。やはりこの人は自分の世界を持っている。
これまでの楽曲を色々聴くようにしなければ、と改めて思った。
「テレビが届けた名曲たち」とする特別企画で、薬師丸ひろ子(セーラー服と機関銃)、ポケットビスケッツ&ブラックビスケッツ(YELLOW YELLOW HAPPY~Timing)、寺尾聰(ルビーの指環)が歌唱。どれもよかった。
今回特に楽しみにしていたのがAdo。京都からの中継で「唱」を歌った(顔を出さないアーティストが今回はすとぷりと併せて2組)。
サウンドとしては必ずしも好みに合うものではないが、歌唱力、説得力はさすがにすごく、引き込まれた。はたちとは思えない。
好みという点では、あいみょん(愛の花)にほっとする。きれいな声だし、うまいし、曲もいい。「らんまん」の神木隆之介、浜辺美波とからんだこともあってか、曲終わりには涙ぐんでいたように見えた。
さだ(まさし)さんは、恒例の両国国技館のライブの最中で、そこからの中継。
ライブを一時中断して、中継がつながるのを待ったのだと思う。
思い出すのが、1977年、中野サンプラザでのコンサートを聴きに行った時。当日は日本レコード大賞の部門賞発表があり、さださんが「雨やどり」で作詞賞(当時は「西条八十賞」)を受賞したのだが、部門賞発表のTBSの番組が、コンサート途中で割って入ってくると、最初にインフォメーションされた。映像の中継はなく、音声だけだったと思う。その時間になって、コンサートは中断、しばらく待ち時間があった後、司会の高橋圭三さんが「もしもし、さださん?」と呼びかけてきて、さださんとのやりとりを、客席一同盛り上がりながら聴いた記憶がある。
(ちなみに「案山子」を初めて聴いたのもこのコンサートだった。確かシングルとして発売される前)
今回歌われたのは「秋桜」だったが、私としては、「マイアミの歓喜もしくは開運 ~侍ジャパンと栗山英樹監督に捧ぐ~」を歌ってほしかった。本当に残念。
国技館のセットリストの中になかったんだろうか。
それはさておき、その「秋桜」、ライブではギターの弾き語りでCmollで歌われるのが常と記憶しているのだが、今回はギターを持たず、山口百恵バージョンのイントロ、Hmollだった。
石川さゆり(今年は「津軽海峡・冬景色」の順番)は、歌のピッチが終始下がり気味だった。ウクライナの民俗楽器とのコラボだったが、こういうのが必要だったのか、という感想は前記の通り。
YOASOBIの「アイドル」も楽しみにしていた。初出場で「夜に駆ける」を聴いた時には、まだこのユニットのことが全然わからなかったが、その後の活躍ぶりはもちろん知っているし、アルバムも聴いてきたので、今回は楽しみだった。
さすがのパフォーマンス。今のアーティストに、16分音符のビートだけでなくさらに細かいリズムがあることは、紅白の感想を中心にこのブログでも何度か書いてきた。今回のYOASOBI、ikuraの歌で驚いたのは、それにこぶしが加わる場面があったこと。
YOASOBIに限らず、この日出演の若いアーティスト、バンド、みんなすごいねえ。
白組トリの福山雅治(「HELLO~想望」紅白スペシャルメドレー)もさすが。
ヴァイオリンで金原(千恵子)さん出演。
紅組トリはMISIA(紅白スペシャル2023)。出場歌手の中で演歌、歌謡曲系が少数派になっている現在、紅組のトリはしばらくこの人が続くのではないか、と感じる。彼女はある意味でかつての美空ひばりのようなポジションになりつつあるような気がする。
今回のメドレーも、盛り上がる点では、北島三郎的なところがあった。
司会の中では、前年に続く橋本環奈が光った。浜辺美波も無難な出来だったと思うが、どうしても橋本環奈の方が華がある。有吉弘行は不完全燃焼だった印象がある。大泉洋、その前の内村光良を意識したか、あるいはトリ前の藤井フミヤと歌うことへの緊張があったか。
その司会、紅組司会、白組司会、という区別を既にやめているが、遠からず、紅組白組の勝敗を争う形式もなくなるのではないだろうか。
紅白各組の対決的なMCや演出は、既になくなっているし、歌唱順もかつての紅白交互で途中攻守交代する形ではない。
ジェンダー論あるいはLGBTQの概念からも男女二分のとらえ方がもはや古くなっている今、「紅白」も「歌合戦」も番組の根幹コンセプトではあるものの、何らかの見直しは不可避と思う。
少なくとも、紅白対決の演出がないまま進行して、最後に審査結果の発表が行われたことに、例年以上の違和感があった(そう言えば、紅組司会、白組司会がいないので、優勝旗の授与もなかった)。紅白の勝敗を決するやり方は、真っ先に見直されるべきではないかと思う。
※過去の関連記事
紅白歌合戦感想
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日本のポップスの様式変遷を実感~紅白歌合戦
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紅白歌合戦の出演時間格差
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紅白歌合戦2015つぶやき集
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紅白2022一言だけ
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