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新日本フィルハーモニー交響楽団 山本直純生誕90年と新日本フィル創立50年を祝う!

3日(水)、ミューザ川崎シンフォニーホールで行われた、新日本フィル山本直純特集の演奏会を聴きに行った。

 

新日本フィルは、6日(土)にもすみだトリフォニーホール山本直純特集の演奏会を行う予定があり、そのチケットは早々と確保していた。

 

一方、ミューザ川崎でのこの演奏会の情報も得ていて是非行きたいと思いつつも、平日の午後公演であり、行けるかどうかが直前までわからなかった。
前日の2日(火)になって、どうにか仕事の見込みが立ったので、3日の午後は半休を取って聴きに行くことを決め、急遽チケットを買った。
4日(木)~5日(金)は名古屋と岐阜に出張で、3日は名古屋前泊なので、演奏会を聴いてから移動する行程とした。

 

A社(西新宿)を出て川崎へ向かう。

この日、正午過ぎの新宿は37℃。体温超えだった。

 

川崎駅に到着。

 

こちらは演奏会のフライヤー。

 

この演奏会は、広上淳一氏が指揮する予定だったが、ご本人のコロナ感染により、直前に降板、梅田俊明氏がピンチヒッターとなった。
広上氏は企画にも参画したと聞く。さぞ無念だったことだろう。

 

こちらは演奏会のプログラム。

 

●フェスタ サマーミューザ KAWASAKI 2022 新日本フィルハーモニー交響楽団 山本直純生誕90年と新日本フィル創立50年を祝う!

日 時 2022年8月3日(水) 14:00開場 15:00開演
会 場 ミューザ川崎シンフォニーホール
指 揮 梅田俊明、山本祐ノ介
管弦楽 新日本フィルハーモニー交響楽団
箏   田村法子
三味線 野澤徹也
尺 八 石垣征山
邦楽打楽器 望月太喜之丞、冨田慎平、長田伸一郎
竜 笛 伊崎善之
ドラムス 東 佳樹
ギター 尾尻雅弘
合 唱 東京音楽大学合唱団有志
曲 目 山本直純 シンフォニック・バラード(交響譚詩)
    山本直純 和楽器管弦楽のためのカプリチオ
    山本直純 児童合唱と管弦楽のための「えんそく」より
           光る(第1曲)-おべんとう(第3曲)
    山本直純(山本祐ノ介編曲) 童謡メドレー※
           1年生になったら-こぶたきつねこ-
           おーい海-歌えバンバン
    山本正美 スプリング・ハズ・カム
    山本直純 白銀の栄光~札幌五輪入場曲
    山本直純 NHK大河ドラマ武田信玄」テーマ曲
    山本直純(山本祐ノ介編曲) CMソング、TV/ラジオ番組メドレー
           森永チョコレート-サントリー純生-
           8時だヨ!全員集合マグマ大使
           3時のあなた-小沢昭一の小沢昭一的こころ
           ミュージックフェア男はつらいよ
    [アンコール] 山本直純 好きです かわさき 愛の街

 

指揮者の他、合唱を担当する東京音楽大学合唱団のメンバーにもコロナ陽性者が出たことから、合唱人数を減らすとともに、演奏予定だった「田園、わが愛」の抜粋はとりやめとなった。これも残念なことだった。

 

私の席は、2階2CA列6番。

14:20からプレトークがあると聞いていたので、それに間に合うように着席した。

 

本来、プレトークのメンバーは、広上氏、山本純ノ介氏、山本祐ノ介氏、柴田克彦氏の予定だったが、広上氏の降板に伴い、広上氏を除く3人でのトークとなった。柴田克彦氏は「山本直純小澤征爾」(朝日新書)の著者である。

   ※「ぶらあぼ」のサイトに、広上氏、両山本氏の鼎談が載っている。
       https://ebravo.jp/archives/122358

プレトークでは、広上氏のこの演奏会に向けて、「宿命」や「ヘンペラー」などの、パロディ、冗談系の作品でなく、直純さんの業績を真面目に紹介しようという観点からの選曲を行ったとの話が聞かれた。

 

平日の午後なのでやむを得ないが、客席はややさみしい入りだった。

 

開演。

 

オケは14型。ヴィオラは外配置。チェロのトップに桑田歩先生の姿が見えた。

 

最初は「シンフォニック・バラード」。

 

イージーリスニング的な聴きやすい音楽。深みはあまり感じない。

映画やテレビの音楽をたくさん書いた直純さんならではの、1970年代的な意味における機会音楽、という感じを受ける。

ありあまる才能を持った直純さんには、引き出しあるいはパレットがたくさんあって、そこからあふれ出る、内なる音楽を、彼は楽譜に書きとめたのだ、ということが伝わってくる気がした。

 

プレトークで、第4楽章の終わりに、シュトラウスⅡ世の「常動曲」を直純さんがアレンジした「オーケストラがやって来た」のテーマ曲の一節(最初にホルンで出てきた後、みんなで歌うメロディ)が出てくることが紹介された。

 

この曲は、1983年3月の「オーケストラがやって来た」の番組終了にあたって書かれた新日本フィルの委嘱作品とのことだが、当時、私はテレビでこれを観たのだったか。
ちょっと記憶にない。観ているとすると、浦和の独身寮の部屋だったはずだが。

 

次の「カプリチオ」の前に、柴田氏が再登場し、梅田氏とトーク

 

梅田氏は急遽出演が決まって、必死に譜読みをされたとのこと。
梅田氏自身、エールチョコレートのCMで直純さんを知り、その後、「オーケストラがやって来た」を観て、指揮者を志したのだそうだ(新日本フィルも番組で知ったという)。そんな梅田氏にとって、急なリリーフであっても、このオケのこの演奏会を振ることは感慨深いものがあったかもしれない。

 

「カプリチオ」は、直純さん30歳の時の作品。和楽器のコンチェルトだが、4管編成でもりだくさんな内容と紹介された。
(プレトークでは、祐ノ介氏が「満願全席のような音楽」と形容されていた)

 

ステージ前面に、下手側から、箏、三味線、尺八、竜笛、指揮者をはさんで上手側にドラムス、邦楽打楽器が配置された。

ソリストとオケの華やかなコラボレーションにひきこまれた。「シンフォニック・バラード」よりも「カプリチオ」の方を私はずっと面白く聴いた。
箏の音がちょっと聞こえづらかったのが残念。1階席だったら違っただろうか。
(場内でこの曲のCDを販売していたので、休憩時に買い求めた)

 

休憩の間に、ステージ前面、指揮者の両脇にマイクが3本ずつ立てられた。人数が減った合唱は、女性6人だった。

 

後半は、まず梅田氏の指揮で「えんそく」から2曲。

 

続いて、赤いタキシードを着た祐ノ介氏が登場して客席は大受け。これが許されるのは息子だけだろう。

童謡メドレーが演奏された。

 

これらの曲を聴いていると、やはり直純さんというのは稀代のメロディメーカー、誰もがすぐに親しめるメロディを作ることができる作曲家だったのだ、と改めて実感する。

「シンフォニック・バラード」を聴きながら、東京藝大で純クラシックの基盤を身につけた人が、その素養をもとに、職人としての技術をふるって、映画やテレビの音楽(先に書いた「機会音楽」)をどんどん書いたんだなあ、と感じた。
だが、「えんそく」や童謡メドレーを聴いていると、こっちの直純さんの方が実像なのかもしれない、と思った。

 

また、聴きながら自分自身にとっての山本直純の認識をふりかえった。
私の場合も、ご多分に漏れず、エールチョコレートのCMの印象は強いが、もちろんこの時点では山本直純という人を知っていた。時系列では「マグマ大使」の主題歌が先かもしれないが、この歌も、さすが直純さん、と思った記憶があるから、最初の出会いはもっと前。何だっただろう。
札幌オリンピック開会式での「白銀の栄光」のインパクトも大きかった。これに先立つ8年前の東京オリンピックでの「オリンピックマーチ」が、いかにも正統派の行進曲だったのに対して、「白銀の栄光」ははるかにポップで、時代の変化を感じたものだった。
そして、同時期に始まった「オーケストラがやって来た」。私はクラシック音楽を聴き始めの時期。あのテーマ曲に合わせて指揮のまねごとをしたものだ。
番組のテーマ曲を、その原曲である「常動曲」より先に知った。

   ※過去の関連記事
       「オーケストラがやってきた」~常動曲
          https://naokichivla.hatenablog.com/entry/50528246

大学入学後、この番組の収録を観に行ったことがあった。確か立川ではなかったか。オケ仲間と一緒に行った記憶がある。私の席のすぐ近くに小澤(征爾)さんがいた(確かTシャツ姿だった)。収録後、楽屋口で直純さんがファンのサインに応じていたが、テレビで観るのと違ってニコリともしない表情だったのが印象に残っている。テレビに出ている人だから、四六時中ニコニコ笑っているわけではないんだ、と。
そして、私の場合は、さだ(まさし)さんの「親父の一番長い日」の編曲が大きい。軽井沢音楽祭で初演を指揮した岩城宏之氏が「山本直純一世一代の名編曲」と評したという、あれである。

一方、直純さんの代名詞とも言うべき「男はつらいよ」については、シリーズスタートからずっと、映画館で観たことが一度もない。

 

以下は再び梅田氏の指揮。

 

ここで妻である山本正美さんの作品をとりあげたのは、良い企画だったと思う。
「ねむの木の子守歌」の作曲で知られる山本正美は、シンフォニーを7曲も書いているのだそうだ。知らなかった。

初めて聴く「スプリング・ハズ・カム」は、どことなく直純さんの作風に似ているような気がした。

 

そして「白銀の栄光」。やっぱりいい曲だなあ。
主部のメロディは、私には氷、あるいは水のイメージがある。いかにも冬季オリンピックの行進曲だ。
プレトークによると、直純さんは「マーチは中間部で泣かせないといけない」と言っていたそうだ。この曲のその中間部、久しぶりに聴いていて、直純さん、きっと「威風堂々」の1番が頭にあったな、と思った。

 

武田信玄」は、放映時観ていないので、あまり曲を知らない。「風と雲と虹と」だったら思い出せたかもしれないが。

 

最後のメドレーはやはり圧巻。直純さんのすごさを一番わかりやすく示すのは、やはりこの分野だ。

 

カーテンコールの際、梅田氏が客席をうかがう仕草をした。見ると、私と同じ2階席の最前列中央に純ノ介氏が座っていて、場内の拍手に応えていた。

 

アンコールは、マイク6本が再び置かれて、女性歌手6人が登場。
知らない歌だったが、聞こえてくる歌詞からは、川崎市が歌われていることがわかった。
後で調べたところでは、直純さんが川崎市のために書いた曲だった。

 

17:19終演。

 

来ることができて本当によかった、と思いながら会場を後にして、品川から新幹線に乗って名古屋に向かった。

 

以下、この演奏会についてのミューザ川崎からの情報発信。

 

●「ほぼ日刊サマーミューザ朝刊」

 

●動画

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