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まさかこんな日が来るとは~山野楽器銀座本店がCD・映像商品の取り扱いを終了

今日、旧Twitterをながめていたら、驚くべき情報が目に入った。

 

山野楽器の銀座本店が、CD・映像商品の取り扱いを7月いっぱいで終了するというのだ。

これには最近にない衝撃を受けた。

 

山野楽器のWebサイトにアクセスすると、こうある。

 

 

【銀座本店 4F】CD/映像商品取り扱い終了のお知らせ
平素より、山野楽器 銀座本店をご利用いただき、誠にありがとうございます。
このたびCD/映像商品につきまして、誠に勝手ながら2024年7月31日(水)をもちまして、銀座本店での取り扱いを終了させていただくこととなりました。

これまでご愛顧いただきましたお客さまには心より感謝いたします。
何とぞご理解賜りますようお願い申し上げます。

 

 

うーむ・・・。

 

非常に複雑な思いがした。

 

私のレコードコレクター人生において、銀座4丁目の山野楽器は非常に大きな存在だった。

東京で暮らすようになった大学時代から、秋葉原石丸電気と山野楽器は、言わば私にとっての聖地だった。

大学時代は国立にあった国立楽器やアポロ(これは今でもある)が行きつけだったので、秋葉原へ銀座に足を運ぶことはそう多くなかったが、卒業してN社(京橋)に就職してからは、石丸電気、山野楽器が俄然主流になる。

品揃えという点では、複数店舗を有する石丸電気の方が上だったが、職場から近い銀座山野楽器にもよく行ったものだ。

まだLPレコード時代、1階を入ったところが歌謡曲やニューミュージックの売場。左手にエスカレーターがあって、2階に上がるとそこがクラシックの売場だったと記憶する。

 

石丸電気はその後レコード店舗を縮小し、最終的にはまったく取り扱わなくなってしまった。

通勤経路の事情などもあり、次第次第に山野楽器が私にとっての中心地になっていった。

会社を出て帰りの電車に乗る前に、山野楽器に立ち寄ってレコードを見たり買ったりすることは、私の生活の基本パターンだった。

年末の仕事納めが終わって帰る時には、決まって立ち寄っていたし、年が明けて仕事が始まれば、「初詣」と称して、何はともあれ山野楽器を訪れるのも常だった。

 

レコードコレクター人生において、大量の商品がずらりと並ぶ山野楽器は、まさに聖地というにふさわしい存在だった。

 

ただ、近年は、ネット通販の普及により、実物を置いて販売する商売がなりたちづらくなってきたところがある。これは別に音楽ソフトに限った話でもない。

加えて、配信ダウンロードやサブスクなど、実物の形をとらない音楽ソフトの流通が休息に拡大してきた。

こうしたことから、山野楽器やタワーレコードでも、売場が縮小され始めた。銀座の山野楽器でも、かつては2階、1階、地下1階が音楽ソフトの売場だったのに、すべてのジャンルが4階1フロアに集約されてしまった。かつてクラシックだけで1フロアあったことを思えばまったく隔世の感を抱いた。

(銀座本店ビルの1階は、今や山野楽器の売場ですらない)

 

そうした流れの中、私自身、山野楽器を始めとする実売ショップにおいて、棚を眺めながらあれこれと選んで買うのを楽しむ行為から離れるようになった。在庫そのものがさみしくなったことによる。

配信に関して、私は現時点では、その形態でしか入手できない場合のみ利用しており、現物としての音楽ソフトを買い求める基本は変えていないが、その購入方法は、タワーレコードやHMVのネット通販がほとんどになっている。

つまり、あれほど日参に近いほど、会社帰りに足を運んでいた山野楽器には、年に何回も行かなくなっていた。リタイアする前、在職中からそうだった。

 

複雑な思いがした、というのはそうした意味だ。

今さら山野楽器銀座本店が音楽ソフトをまったく置かなくなり、文字通り楽器店として営業すること自体が、レコードコレクターとしての私にとって打撃だというわけではないからだ。

(むしろ、今後山野楽器が楽譜を扱わなくなるようなら、それは困ることだと思う)

 

ただ、自分の人生を振り返った時に、今度の決定は非常に感慨を催すものがあるということなのだ。

つい最近、千葉そごうの中にある山野楽器の店舗が店内改装し、店舗の3分の2くらいを占めていたCD・映像商品の棚を大幅に縮小した。楽器売場が拡充され、店舗の大半を占めるようになった。

それを見て、音楽ソフトが商売にならないんだな、と改めて感じたものだった。

ただ、千葉そごうのそもそも狭い店舗と、総本山である銀座本店とでは意味合いが違いすぎる。あの銀座本店に音楽ソフトがなくなるということの象徴的意味は、現状の私にとって何のダメージがある話ではなくとも、やはり大きい。

小田(和正)さん始め、人気アーティストの新しいアルバムが出れば、1階の入口に大量に積まれたあの光景は、もう見られないわけだ。

 

まさかこんな日が来るとは・・・。

 

折しも、昨年休刊となった「レコード芸術」が新メディア「レコード芸術ONLINE」として再出発することが決まったばかりの今日、このようなニュースを目にしたこともまた、重く考えさせられるところがあるのである。

 

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