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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

オーケストラ・モデルネ・東京練習日誌<2024.6.16> 午後合奏+夜弦分奏

16日(日)は、オーケストラ・モデルネ・東京の練習に今季2回目の参加。

 

5月25日(土)を皮切りに、1ヶ月の短期集中、6月30日(日)の本番に向けては5回の練習が設定されているが、どの練習も2コマ構成である。

今回の練習は、午後が合奏、夜が弦分奏。

練習場所は毎回変わるが、今回はJ:COM浦安音楽ホールのハーモニーホールだった。勝手知ったる新浦安、うらやすシンフォニエッタの練習にも使われている会場なのでありがたい。

浦安シティオーケストラが同じ新浦安の美浜中学校で合奏をしている時間帯に、欠席してこちらへ。

 

ヴィオラの参加者は、2コマとも6人だった。今回の演奏会はヴィオラの集まりが悪かったようで、本番は7人で臨むと聞いている。

14日(金)に本番のシフトがトップのTさんから通知されたが、私は3プルトの裏。今回の練習は3プルトで組むHさんが欠席だった。まだお目にかかっていない。

 

13:30、篠﨑靖男先生の指導で合奏スタート。

まず、モーツァルトの「魔笛」序曲から。

(浦安シティオーケストラの12月の定期演奏会の前プロも「魔笛」序曲だが、つい最近、来年のちばマスターズオーケストラの曲目が決まり、前プロがこれまた「魔笛」序曲。こんな重なりがあるものだろうか)

一度通した後、大変細かい返し練習。しかし、この曲は過去に何度か弾いているので、まあ大丈夫という感じがある。

 

問題はマーラーの9番だ。

この日の練習に向けて、今週は毎日家でさらった。さて初めて参加した前回練習よりも少しはましに弾けるだろうか。

 

1楽章から練習した。通しはなく、その都度止めての練習。

 

篠﨑先生がおっしゃったのは、初回練習の時、皆さん練習して来られたのがよくわかったが、楽譜だけを見ているのでなく、その楽譜を自分の中にいれて、それをいかに表に出していくかが大事であり、それができていれば、多少アンサンブルが崩れても良い、ということだった。

趣旨は大変よくわかるし、これは他の曲、浦安を始め他の団体でも指導者にしばしば言われることだ。ただ今回のマーラーに関しては、個人的にはあと2週間でどこまで楽譜を入れられるかは難しいな、と思った。

もっと前からさらえればよかったが、4月は室内楽セミナー、5月は茂木大輔先生のワークショップと浦安の本番。そして6月は、ちばマスターズオーケストラの本番とこのオーケストラ・モデルネ・東京の本番が2週連続するというスケジュールでは難しかった。予定を入れすぎたところはある。

 

個人練習もさることながら、未経験の曲でもあり、合奏練習でないと飲み込めない、慣れることができない面も感じている。この点では、5回設定された練習の内、2回を欠席せざるを得ないのが痛い(浦安シティオーケストラの本番前日GPと、来週のちばマスターズオーケストラの本番と重なったため、調整困難だった)。

 

こう考えると、今回のマーラーはそもそも参加すべきでなかったかもしれないが、もう引き返せないので、今週も可能な限りさらってレベルアップを試みるしかない。

 

1楽章は2回目でもあり、様子はわかったというところだ。さらった甲斐も多少はあり、前回練習よりはついていけるようになった。

いまだ音符を追い切れない、指揮者のテンポを飲み込めていないところもいくつかあるが、基本的にオケ全奏で進行する音楽なので、5月に浦安で弾いた「悲愴」の1楽章の冒頭部分のように、ヴィオラが乱れることで曲全体があからさまに壊れる、というようなことこの楽章については少ないと思う。自分の現状で言うのは不穏当だが、全奏の嵐の中で部分的にエア弾きになってもついていくことはできる(隣の人には迷惑をかけるのでそういう箇所を極力減らしていくが)。その点では「悲愴」の方が怖かった。

 

次に2楽章。前回練習は、1、3、4楽章だったので、初めてこの楽章を弾くことができた。

 

個人練習で感じていたが、やはりこの楽章が一番難しい気がする。特にレントラーが終わってテンポが速くなってからが大変だ。arcoとpizzがめまぐるしく交代するところは、それこそまだまだ楽譜が身体に入っていない。

篠﨑先生からは、音楽の局面が変わるところのイメージを持っておくことが大事で、前の部分の期分をひきずってしまわないように、とのお話があった。

 

そこまでで合奏は終了。管・打楽器は解散となり、1時間の休憩の後、弦分奏は17:15開始となった。

 

弦分奏の指導は、元N響ヴァイオリンのT先生。

分奏開始が若干前倒しになったため、T先生が到着されていないので、それまでの間、篠﨑先生の指揮で1楽章の練習番号9番のあたりを練習。

いくらも進まないうちにT先生が来られ、バトンタッチ。

 

T先生は1970年代にN響マーラーの9番を国内のオーケストラとして初演した話をされた。まだマーラーがメジャーでなかった時代で、色々ご苦労があったと話された。

(Wikipediaによると日本初演は1967年のコンドラシン=モスクワ・フィルとされている。もちろん1970年のバーンスタインニューヨーク・フィルも伝説の名演として有名だ)

今ではこうしてアマチュアでも演奏するようになった、との話の関連で、一橋大学のオケはマーラーオタクで毎年この9番をやっている、という話もされた。確かに私よりもずっと後輩がそのようなことをやっている。

(この中に一橋大学を卒業した人はいますか、と問いかけがあり、手を挙げたら私だけだった)

 

大部分の時間を使って4楽章を練習した。

この分奏では、大きなポイントが2つ示された。

まず、弾く弦の問題。楽章冒頭、ヴァイオリンにはsulGの指定があり、それを必ず守るようにとのお話があった。

ヴィオラにはそういう指定は少ないので、最初は他人事と思っていたが、実はそうでなく、楽譜に指定がなくとも、普通のポジションでは使わない、低い方の弦をできるだけ使うように、という話なのだ。

この曲が求める音色を出す弾き方でなければいけない、と。

そのためには、各自が楽譜をすべて読み直して、1つ1つの音符をどの弦で弾くのかを工夫しなさい、と言われた。そういう音色を作らなければ、この曲をやる意味がない、とも。

 

実のところ、これまで個人練習も含め、1楽章から3楽章がとても大変な一方、4楽章はテンポもゆっくりだし音符は追えるので、いささか気楽にとらえていたのだが、こうなると話は違う。確かにそういう観点でポジションを考え直さないといけない。

 

2つ目は、それと関連するが、頻繁に指定があるポルタメントの遵守についてだった。

これもポルタメントの最初の音(弾き始めるポジション)と行き着く先を個々に検討しなければポルタメントにならない。

これについても、個人的には、まずそれぞれの音符を把握するところから始め、山ほどあるポルタメントや装飾音などは、その後にできる範囲で考えれば、と思っていたのだが、T先生のお話にはそれを許さない厳しさがあった。

どのパートにもポルタメントはあるのだが、例えばヴィオラでは76小節目を何度も弾かされた。

「楽譜に書いてある以上、大変でもやらないと」「私は下手だからできません、と言ってはいけない」、と言われた。

身の引き締まる思いがした。

1970年代の日本のマーラー黎明期から今日まで、プロオケの奏者として全部のシンフォニーを弾かれてきたT先生としては、アマチュアがこの9番に取り組むこと、それも1ヶ月の練習でやることに、相当な覚悟を求めたいというお気持ちなのだと、初対面の先生からそれが伝わってきた。

 

4楽章は途中で休憩が入って続けられた。休憩時に先生が話しかけて下さったので、楽譜は全部見直します、と申し上げた。

 

T先生の分奏指導は、浦安の高弦分奏でのY先生(おそらくN響でT先生の後輩にあたるはず)と同じような内容だった。ご自身のヴァイオリンで音を出しながら、フィンガリングやポジションの取り方など、難しいところについては、すべてのパートについてまんべんなく余すところなく教えて下さった。

 

4楽章が終わったところで、再度休憩して、1楽章の頭からしばらくと、2楽章の頭からしばらくを、時間の許す範囲でみて下さった。

 

本番まであと2週間。

T先生からは、その間に楽譜を眺めまわしなさい、とのお話があった。その上で、弾けるのはもちろん弾けなければいけない、とも。

 

21時過ぎ、分奏は終了した。

とても学ぶところの多い分奏で、参加してよかったとつくづく思った。

またT先生に教わる機会があればと思う。

 

残る練習は2回。22日(土)は、ちばマスターズオーケストラの本番があるため、欠席となる。23日(日)の合奏2コマには出る。

あとは本番前日練習である。

 

合奏での篠﨑先生、分奏でのT先生と、マーラーへの心構えを問われた練習だったが、心を改めて、残る日々でできるだけレベルアップしていく。

 

※練習往復に聴いた音楽

    マーラー 交響曲第10番

       ハーディング=ウィーン・フィル

    ブルックナー 交響曲第9番

       ジュリーニウィーン・フィル

    ワーグナー トリスタンとイゾルデ

       バーンスタインバイエルン放送響