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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

クァルテット・エクセルシオ 第46回東京定期演奏会

13日(木)、ちばマスターズオーケストラの練習を終えた後、上野に向かった。

クァルテット・エクセルシオ定期演奏会を聴くためである。

 

結成30周年のアニバーサリーシーズン、たくさんの企画を準備されているクァルテット・エクセルシオだが、その柱の1つ、6月(札幌、東京)、11月(東京、京都)の定期演奏会は、モーツァルトハイドン・セットとベートーヴェンの後期作品で、委嘱新作をはさむ形のプログラムになっている。

 

東京文化会館

 

クァルテット・エクセルシオの演奏会は、もう何年も前から聴いているが、ここ2年の間に、指導をいただく場面ができた。

既に2回を数える弦楽合奏団、うらやすシンフォニエッタ

そして4月に開催された、「ながらの春 室内楽の和音楽祭」室内楽セミナー。

これまでは客席から聴くアーティストだったクァルテット・エクセルシオは、私にとっては「先生方」になった。

この演奏会にも、うらやすシンフォニエッタ室内楽セミナーでご一緒した方々が多数集った。

(室内楽セミナーの最終日が4月13日(土)だったので、奇しくもこの日でちょうど丸2ヶ月)

 

ホワイエには、クァルテット・エクセルシオの活動報告が掲示されている。

 

うらやすシンフォニエッタもある。

 

「ながらの春 室内楽の和音楽祭」室内楽セミナーも。

 

結成30周年を記念して、モーツァルトハイドン・セット全曲のレコーディングが行われた。レコーディングが、うらやすシンフォニエッタの活動場所でもあるJ:COM浦安音楽ホールで行われたことも、何か嬉しい。

リリースされたらもちろん買うが、J:COM浦安音楽ホールでハイドン・セット全曲の演奏会も開催される。これも必ず行かねば。

 

●クァルテット・エクセルシオ第46回東京定期演奏会

日 時 2024年6月13日(木) 18:15開場 19:00開演

会 場 東京文化会館小ホール

弦楽四重奏 クァルテット・エクセルシオ

曲 目 モーツァルト 弦楽四重奏曲第17番変ロ長調「狩」

    権代敦彦 “空のその先”~弦楽四重奏のための~ ※結成30周年記念委嘱作品

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第14番嬰ハ短調

 

プログラム冊子から。

音楽ジャーナリストの渡辺和氏による「エク30年史」も載っている。

 

「エク通信」というのがはさみこまれていた。

 

私の席は、A列26番。ヴィオラの吉田(有紀子)先生の真ん前。

たまたまだが、室内楽セミナーでご一緒したチェロのHさんと隣同士だった。

 

入場すると、プレトークが始まっていた。この日の委嘱新作を作曲された権代敦彦氏と渡辺和氏が、その作品について語っていた。

 

最初は、モーツァルトの「狩」。

不確かな記憶だが、この曲の実演を木更津で聴いたことがある。木更津音楽協会の例会だった。演奏したのは巌本真理弦楽四重奏団だったか。

高校の頃、もしくは大学の頃だったはずなので、私は弦楽四重奏というものにまたほとんどなじみがなかった。そんな時期に木更津音響の例会ということで弦楽四重奏の生演奏を聴いたのだったと記憶する。

4楽章の主題の独特のフレーズ感が印象に残ったことはおぼえている。

いつも通りのクァルテット・エクセルシオの潤いのある美しい響きと、気がつくか気がつかないかのテンポの呼吸。

西野(ゆか)先生の華やかで凜としたヴァイオリンがとりわけ美しかった。

 

続いて、権代敦彦氏の委嘱新作。1週間前、6日(木)の札幌が世界初演

「空」=「ソ、ラ」ということで、GとAの音を中心に組み立てられた曲だと、動画で観た30周年記念の記者会見映像でも、この日のプレトークでも話されていた。

弱音で始まった音楽から、最初にはっきり「ソとラ」を確立させるのはヴィオラだった。以後、「ソとラ」が、トレモロ、高音のフラジオレット、トリルなど、様々な奏法、様々な音色、テンポ、音域で4人の奏者によって奏でられていく。

大友(肇)先生のチェロは、左手が指板をはずれてほとんど駒ぎりぎりのところまで行く場面がしばしばあった。

最後は、ファーストヴァイオリンだけが残って、虚空に消えていくように終わった。

プレトークでは17分ほどの曲と言っていたが、その17分間の曲想の変化は聴きごたえのあるものだったし、初めて聴く曲ながらついていきやすいものを感じた。

1月に同じホールで「日仏文化交流に尽力した作曲家たち」という演奏会を聴いた。この時、クァルテット・エクセルシオの演奏で、日本の作曲家の作品を何曲か聴いたのだが、そのどれよりも今回の権代氏の作品の方が説得力を感じた。

演奏後、客席から権代氏がステージへ。

 

20分の休憩の後、ベートーヴェンの14番。

2020年から2021年にかけて、J:COM浦安音楽ホールで行われたクァルテット・エクセルシオベートーヴェン全曲チクルスは聴きに行ったので、先生方の14番を聴くのは2回目だ。

ベートーヴェン弦楽四重奏曲の中でも特に好きなこの曲を、存分に満喫した。

それにしても「すごい曲」としか言いようがないね、この曲は。7つの楽章の並べ方のバランスだとか、4本の弦楽器に「出させたい音」だとか。

どれほどアンサンブルが大変なことかアマチュアには想像もつかないが、先生方の演奏は水も漏らさぬものだと感じた。

目の前で弾かれる吉田先生のヴィオラに特に圧倒された。

ともかく、作品も演奏も人間業ではないな、と思った。

(プログラム冊子によると、西野先生が小学生時代、学校の掃除の時間にこの14番の5楽章が流れていたのをおぼえておられるとのこと。ベートーヴェンの後期のカルテットをチョイスしたのはどんな先生なんだろう。ちなみに私の場合、中学校の掃除の時間がワルトトイフェルの「女学生」だったのを憶えている)

 

21時過ぎ終演。

客席からホワイエに出たら、先生方がお見えになった。多くの聴衆が歩み寄って話を始めたので、私も並び、室内楽セミナー以来丸2ヶ月ぶりにお目にかかる、大友先生、西野先生、北見(春菜)先生、吉田先生の順にご挨拶した。

そう言えば、ドレス姿の先生方と話すのはこれが初めてだ。

 

先生方の演奏会、次は9月の「結成30年記念特別演奏会」に行く予定。

 

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