11月場所７日目

白露山は、今日は頑張った。好調の玉春日に対抗して優勢に相撲を進めたが、最後ははたいてしまい、玉春日についてこられた。

豊真将は、今日は頭から当たり、そこから下がることなく皇司の突きを左右からあてがいながら逆にはさみつけて前に出た。１敗を守った。
豊真将の相撲がだんだんよくなってきている。嬉しい。

豊ノ島も安壮富士を破って１敗をキープ。今日は左差し手一本の相撲。右は相手の手首をつかみながら、差し手を突きつけて前に出た。ともかく前に出たのがよかった。

鶴竜は、序盤は栃乃花充分の形を作らせないようにうまく攻めた。しかし栃乃花も攻防の中で左を差し込み、下手をとった。左下手右おっつけの形でも充分力の出る栃乃花だが、鶴竜は自分がとった右上手を引きつけて、栃乃花の上手を徹底して嫌い、最後は相手の左腰に食いつく形で寄ってねばり勝ち。地力のあるベテラン相手の新入幕のこの相撲、大したものだ。
今日の鶴竜は、前半は動きのよさ、後半はしぶとさが光った。

土佐ノ海は、今日も衰えぬ馬力を見せ、春日王の引きに乗じて一気に押し込んだ。

全勝の朝赤龍は、昨日までとは別人のような相撲で初黒星。全敗と不調の玉乃島が、今日はすばらしい出足を見せたこともあるが、それにしても、まったくもちこたえるしぶとさがなく、策のないまままっすぐ下がってあっけなく土俵を割った。
花道を下がりながら苦笑いを浮かべていたが、全勝の意識があったか。

把瑠都が北桜を破って１敗を守った。
立ち合い把瑠都はひっぱりこむようにして左上手をとりにいった。北桜は二本入ったが、すかさず把瑠都は左一本でふりまわして正面に詰めての寄り。
二本入れられて密着される前にすぐ左に動いたのがよかった。
大味な相撲ではあるが、今日の取り口が考えたものないしは状況に対応した判断であれば、それなりには評価できる。

高見盛は今日はいい相撲。立ち合いに相手充分の左四つ。しかし、右上手をひきつけてどんどん攻めた。
栃乃洋は左を差したものの、高見盛が右ひじを締めて栃乃洋得意の左に力を出させなかった。

出島もいい相撲。立ち合い、いい当たりから左右のおっつけ、素晴らしい出足だった。何もできなかった時天空は、いささかふがいない。

安馬は、今日も動ききれない。琴奨菊との一番、例によって突き起こしにいったが、そこから次の流れにもっていく形をどうしても作れない。
一方の琴奨菊は前に出る圧力が強く、右肩からぶつけるようにして右四つに組み止めた。琴奨菊にとっても充分な四つではないが、組めば分がある。左からおっつけながら上手をさぐって寄った。安馬、苦しまぎれのうっちゃりもならず。

琴光喜は過去５勝８敗と分の悪い岩木山に快勝して全勝を守った。
今日の琴光喜は立ち合いの当たりがよく、岩木山に当たり負けず踏み込み勝った。その後岩木山が左を差して左四つの形になったので、一瞬どうかと思ったが、今日の琴光喜がよかったのは、岩木山に何かさせる前に休まず動いたことで、左四つを構わず右から魁皇ばりの豪快な投げ。
調子を上げてきている。いつも中盤以降崩れる人だが、今場所はどこまでいけるか。

稀勢の里は、雅山に最高の相撲をとった。
立ち合い頭からいい当たり。すぐ左を差して、雅山に突き放されず密着することに成功した。
右上手はとれなかったが、構わず前に圧力をかけて出て、最後は上手もとって引きつけ、寄り切った。
重い雅山を真っ向から寄ったことに、ずいぶん力がついたと感じさせられた。明日は横綱戦。大いに期待できる。

琴欧洲は、今日は垣添に長身を生かした相撲。
立ち合い素早く左上手をとれたのがよかった。左右からの強烈な引きつけで、つぶすようにあびせたおし。引きつけがよかった。
小さい垣添相手だけに、一歩間違うと中に入られる危険もあったが、今日の琴欧洲は実によかった。

全勝の千代大海が普天王に敗れて１敗。普天王はこれで３大関を破った。
千代大海は四つになることを警戒して突いて出たが、途中足の運びが一瞬乱れた。
普天王も、押し込まれながらも左を差して持ちこたえた。
千代大海はふりほどこうとしたが、普天王のはたきにバランスを崩した。
千代大海としては、スムーズに足が出て一気にもっていければ充分勝機はあったところだが残念な全勝ストップとなった。今日の相撲については、普天王に千代大海の攻めをしのぐ力強さがあり、大関としても精一杯の相撲だったが、やむなしというところ。

魁皇は、最近４連敗中の露鵬との対戦で、いくらここまで６戦６勝といいながらもどうかと思ったが、目のさめるような相撲だった。
露鵬の立ち合いからの当たり、突きを持ちこたえ、しかも自分充分の左四つ。右上手もすぐがっちりとった。
あとは思い切りのいい上手投げで決めた。投げが決まる前から場内からは大歓声。地元のファンとしては、魁皇十八番の右上手投げが嬉しかっただろう。
昨日今日の相撲を見て、魁皇の復調は疑いないようだ。自分充分の形に持ち込むのが速い。
気になるとすれば、前に踏み込み攻め込む相撲がまだ出ていないことか。

栃東が黒海に会心の相撲。基本的に、今場所の大関陣は、相撲内容が皆いい。
黒海が立ち合い左からかちあげ、更に突き放しにいったが、栃東はまったくゆるがず、むしろ前に出る力があったのは大関の方。
右のおっつけで横を向かせた。

朝青龍は安美錦に危なげない相撲。
相手をよく見ながら突き起こして右から左と差した。安美錦に何もさせなかった。
内容今一つと思っていた今場所の横綱だが、徐々に調子を上げてきている。これで終わってみれば朝青龍優勝というのでは面白くない。明日の稀勢の里には大いに期待したい。
今場所の朝青龍は、落ち着いて相撲をとっているのが目立つ。ただ反面、何かひと頃のような、爆発力というか、手をつけられない強さ、というのが影をひそめている。そこがちょっと物足りない気がする。