naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

3月場所9日目

立行司の交代が発表された。
このところ、立行司は短期間での交代が続いている。協会定年の65歳に近い世代の人数が多いということなのだろう。

嘉風が今一つ伸びない。今日も栃乃洋に、伸び上がるようにして身体をそらせて突いているが、あれではきかない。
身体が小さいのは仕方がないので、突き押し相撲でいくならば、何か一つ突き方を研究する必要があるだろう。

栃煌山玉乃島を破って2敗を守った。
実力者の玉乃島に、それも相手得意の左を差されながら、右おっつけで前に出た。
今日もともかく前に出ようという姿勢が勝ちにつながった。よほど前に出る圧力が強いのだろう。玉乃島の腰が崩れた。

鶴竜が、出島の出足をかわしての肩すかし。

安美錦は、露鵬に持ち味を出した相撲。

高見盛豊真将は、豊真将が完勝。2敗を守った。
今日の豊真将は、立ち合いの当たりがまずよかった。すぐ左上手をとって、右ははずにあてがって一気の攻め。
再三書いているが、豊真将は本当に攻める力がついた。昨年の新入幕の頃、守りの姿勢ばかりで前に出ないことが難点だと思っていたが、これほど短期間に克服するとは、驚く他ない。

普天王稀勢の里は、相四つだけに左四つの攻防となった。
立ち合い左を差して攻め込んだのは普天王だが、稀勢の里は左からすくって普天王に上手を許さず、自分は早く上手をとった。最初まわしが伸び加減だったその上手も、しっかりと取り直して攻めきった。
稀勢の里という人は、左四つになっても、必ずしもいい四つ身の形にならない場合もあるが、今日の相撲は徐々にいい形を作っていったのが非常によかった。馬力にだけ頼るのでなく、これくらいうまみを感じさせる四つ相撲がとれると楽しみだ。

時天空は、今日は足の運びがばたばたした。春日王が立ち合いにじらしてきたことで、頭にきたのだろうが、あまりカッカするのも墓穴を掘る結果になりかねない。今日は勝ったからともかくよかったが。

安馬朝赤龍は、終始安馬ペースの相撲。
低く当たって右を差し、下に食いついた。更に低く低く、手を自らついてしまうのではないかと思うくらいに上体を下げ、食い下がりの体勢。
そこから両前まわしをとったので、これを引きつけておがみ寄りでまっすぐ出てほしかったのだが、どうしたことか、差し手を自ら深くして寄ったため、朝赤龍の小手投げを食ってしまった。
安馬としては最後の詰めの段階でのミス。自滅といっていい負け。これで4勝5敗だが、5勝4敗とは大違いだ。

琴光喜は立ち合い手を下ろすのが遅く、また後半戦に入っていらぬ意識が出たのかと思わせた。
旭天鵬が一旦嫌いかけたが、思い直して再度手をつき、待ったはなく立ち上がった。
しかし、早く踏み込んだのは琴光喜の方。当たってすぐ右差し、間を置かずすぐにすくって決めた。
旭天鵬が気を抜きかけたのも悪いが、今日の琴光喜は、立ってからの取り口は最高だったものの、立ち合いはやや作戦的すぎた。
琴光喜は明日はいよいよ横綱戦。週刊現代が特に注目して来週号に書きそうだ。ここまでのところ、相撲内容がいいだけに、連敗ストップを期待してみたい。

初顔の千代大海豊ノ島は、千代大海が突き放せなかった。豊ノ島は相手に密着して離れなかったため、千代大海のはたきを誘った。
序盤好調だった千代大海の相撲が急に悪くなったのが気になる。

1敗同士、ここで当てるのはもったいない栃東白鵬の対戦は、立ち合い白鵬が一度嫌って二度目で立った。栃東にいい形で仕切られたせいだろうが、立ってからは白鵬ペースの相撲に終始。
左から張って右差し。組んですぐ腕を伸ばして左上手も充分にとった。
がっぷりで胸が合っては、栃東も苦しい。好調であってもこの形では分が悪いし、膝の故障を抱えている今は、下がれば持ちこたえられない。
一方の白鵬は、昨年5月の雅山との決定戦のように、あくまで寄って決めるという意思が強く感じられた。
栃東も痛い膝でよく残しはしたが、最後、白鵬が横に寄る形で決めた。
これで白鵬が単独トップ。

これも大関同士、琴欧洲魁皇は、魁皇が珍しく立ち合いから相手の顔を張って出て、突きの相撲。
おそらく、琴欧洲と組み合っては分が悪いと思って、離れてとろうとしたのだろう。しかし、長身の琴欧洲は応戦しながら、すばやく左を差した。
魁皇はまともに組むことを避けて、この左差し手を小手にふりにいった。魁皇得意のパターンだが、さすがに長身の琴欧洲だけにこれは食わず、魁皇としては相手を呼び込むような形になって、あっけなく土俵を割った。
魁皇の今場所の調子からはやむを得ない結果だが、星勘定は非常に苦しい。

結び、朝青龍琴奨菊は、過去横綱の4戦4勝。加えて腰の故障で本来意気あがるべき新三役の場所、既に1勝7敗とあっては、琴奨菊には期待を持ちづらい状況。
それでも相撲は何があるかわからないと思いながら見たが、やはり何もなかった。
朝青龍は立ち合い左肩から当たり、もみあう中ですばやくもろ差し。寄りたてるところを、一度右から小手に振られると、今度は吊っておいての下手投げ。
万全。


2敗力士の中で、朝青龍を蹴落とせそうな力士を見つけにくい。いくら前半トップを走った栃東といえども、昨日今日の相撲を見ていると、調子を上げてきている横綱に対抗できるかどうか。おそらくあさって11日目に割りが組まれるだろうが。
となると、白鵬が1敗で走れるかどうかがポイントになる。1差をキープしたまま、直接対戦に持ち込めれば、仮に敗れても決定戦の目は残る。
混戦模様に見えるが、実質的には白鵬朝青龍の二人に絞られてきているように思う。
波乱要素があるとすれば、栃煌山が走った場合か。残り日数からして、横綱大関と当てるのはもう手遅れになりつつあるし。
ともかく、明日明後日くらいまでで、だいぶ整理されてくるのではないか。