３月場所10日目

若の里は、立ち合い張って鶴竜を左四つに組み止め、前に出ながら右からの小手投げ。
ちょっと格の違いを見せつけた感じだ。

栃煌山が安美錦に、見事な相撲で勝ち越し。大したものだ。
安美錦は、立ち合い右上手をさぐりながら頭をつけ、さすがにうまいと思ったが、栃煌山は出ながら右をねじこみ左はず。
今日も前に出る力の強さを見せてくれた。

黒海も２敗を守って勝ち越し。
今日も立ち合いすばらしい当たり。その後、垣添が浅く二本差して出ると下がったが、土俵際で突き落とし。立ち合いの当たり勝ちが、この最後の場面でも効いていたと思う。
尚、この一番、問題なく黒海の勝ちという相撲だが、軍配は垣添。物言い差し違えは当然。
明日は２敗同士の栃煌山と黒海の取組が組まれた。楽しみだ。

高見盛は、立ち合いすぐ左を差して、差し手を返して豪風を起こし、脇についた。
いい相撲だった。６勝４敗。

５勝４敗同士の稀勢の里と豊ノ島は、楽しみな対戦だったが、一方的な相撲で残念。
立ち合い稀勢の里が左から張り差しにいくところ、豊ノ島はすぐに二本差して、休まず前に出た。
前さばきのいい相手に、今日の稀勢の里の相撲は、ちょっと甘かったと思う。

安馬と普天王は、過去安馬の６勝１敗と意外な対戦成績。
今日も安馬の思い通りの相撲となった。鋭く当たって左差し右おっつけ、頭もつけて、左四つ得意の普天王に両まわしとも与えない。
ややあって、とったりで崩しての寄り。
普天王は攻め手をつかめないまま一方的にやられた。

琴奨菊は、旭天鵬に今場所初めて会心の相撲。

攻めに進境著しい豊真将が、大関琴欧洲を圧倒した。大したものだ。驚いた。
いい当たりから突き起こし、おっつけとはずでどんどん前に出た。
琴欧洲は終始後手にまわり、何もできないまま。個人的には期待している力士だけに、情けないとしか言いようがない。
豊真将はこれで勝ち越し。明日は白鵬戦が組まれた。楽しみだ。

その白鵬と魁皇は、今の状態では、どう見ても白鵬有利という対戦だが、その通りの結果になった。
白鵬が充分に仕切ったことで、魁皇が立ち渋り、２度目に立った。
相撲は白鵬がまず万全の取り口。立ち合い左前まわしに一瞬手がかかったが、これを切られると、一旦突きに転じ、すぐ右を差して左上手の万全の体勢に持ち込んだ。
頭を下げながら出し投げで崩して決めた。
欲を言えば、四つに組んだ際、右下手もちゃんととってほしかった。また、右差しが先でそれから左上手という手順も、動きのいい相手、例えば朝青龍には危険だと思う。ちょっと気になった。
魁皇はこれで４勝６敗。苦しくなった。

千代大海と時天空は、過去大関の５戦５勝。
気分的に余裕があったか、今日は千代大海に細かい突っ張りが出た。時天空もよくこらえ、押し込もうとしたが、そこを千代大海が得意のはたき。
時天空も、もう一歩ついていければ勝てたのだが、誠に惜しかった。
千代大海は内容的にはいいところのない相撲。

栃東が春日王に快勝して、２日足踏みの後、カド番脱出。先場所、玉春日が７連勝の後６連敗したのを思い出したりしていたが、ともかくよかった。
立ち合い低く当たって頭をつけながら左前まわしをすばやくとり、すかさず出し投げ。会心の相撲だった。
明日は横綱戦。どこまで戦えるか。

朝青龍と琴光喜は、横綱が24連勝中の対戦。
今日も琴光喜は善戦したが、という結果で連敗を重ねた。
攻防のあるいい相撲ではあったが、終始先手先手と動いていたのは、やはり横綱の方だった。
琴光喜も後ろを向かされながら、一旦はしのいだところは、さすがに勝ちたいという執念を感じたが、いかんせん、この相撲、琴光喜の動きは終始固かった。やはり苦手意識があるからなのだろう。
基本的に右四つで推移した相撲だったし、琴光喜が頭をつける場面もあったが、すかさずガッと出たり投げたりということができず、止まってしまう。この対戦、いつものパターンだが、止まっていては、横綱に動かれ、体勢を作らせてしまう。
横綱の内無双につけいって青房下に攻め込んだところは、あと一歩だった。右を差し込んでいれば、勝ちを握れたはすだが、朝青龍は寄られながら琴光喜の右を左からはねあげてそれを許さなかった。この動きの違いだ。さすがという他はない。
朝青龍は、完調に戻ったという内容ではないが、まずまず復調している。白鵬が星一つの差を保ったままいけるかどうか。並んでしまったら、横綱が有利になる。

１敗　白鵬
２敗　朝青龍、栃東、豊真将、黒海、栃煌山