naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

「テンポの安定」の至難

昨日の月例ご近所アンサンブル練習。

毎月、弦楽五重奏か弦楽四重奏を楽しんでいるが、いつも思うのは、「安定したテンポで演奏することの難しさ」だ。

自分の楽譜と、楽器(指、弓)の都合でテンポが伸縮してしまうのだ(苦笑)。
これはオケでも陥る傾向だが、細かい音符を見ると、むしろテンポが走る。
逆に、ちょっと余裕があるところは、まさに余裕をかましてテンポが間延びする傾向になる。

特に昨日は、ふだんやってない曲が多かったので、弾いていても、結局「目の前の自分の楽譜」しか頭にない場面が多くなる。

4人、5人が、他の人が何をやっているかまで注意する余裕がなく、自分の楽譜の都合で、その都度テンポを伸縮させながら弾いていると、当然全体としてのテンポがなくなる。
ある者は走り気味に、ある者はその前からのテンポで、ある部分を弾くから、微妙にずれる。
ずれている内はまだいいが、やがて時々崩壊する。

やはり、未知の曲を合わせるのもとても楽しみな時間ではあるが、その一方で、例えば我々にとっての課題曲、K515を、地道に毎回合わせることも必要だ。
弾き慣れた曲なら、自分個人の余裕も出てくるし、特に曲をよく知ることで、お互いの音を聴けるようになる。そういう次元で練習していかないと、団体としてのレベルアップができないと思う。

まあ、我々の場合は、集まって合わせて楽しむのが目下のコンセプトで、人前での演奏を想定して練習しているわけでは今のところないので、先日書いた、市民オケにおける、「自分たちの楽しみと聴衆の満足」の問題は当面ないのだが。

しかし、K515のように、何だかんだ言いながら既に1年以上取り組んでいる曲であっても、なかなかテンポが安定しない。
パート間のずれのようなものはなくなってきていると思うが、
  同じ楽章を弾くたびに毎回同じテンポで弾き始められるか
  弾き始めたテンポで最後まで弾き通せるか
というと、これがなかなかできない。

1楽章、4楽章のような、何の変哲もない八分音符の刻み。
私は刻み側にまわることがほとんどだが、何の変哲もないからこそ、同じテンポでできないのだ。
どっかで飽きてだれてくる。

昨日も弾いていて、そんなことを改めて強く感じた。

「指揮者がいたらなあ」なんて思った。

オケの場合は、人数も多いし、演奏する楽譜自体も複雑な場合があるから、指揮者が必要だ。
指揮者は、自分で音を出さない唯一の演奏家だと言われる。あれ、出しちゃいけないんだな。
指揮者が自分で音を出しながら指揮したら、指揮者自身のテンポが揺れてしまったりするかもしれない。
多人数のオケをまとめるには、音を出さずにテンポ指示に専念する存在が必要になるのだ。

なんて、そんな当たり前のことを、室内楽をやりながら思ったのだった。

しかし、指揮者付きの室内楽なんていうのはねえ(笑)。
やっぱり、とてつもなく難しくても、自分たちでテンポを作っていく。
それが室内楽の楽しみの大きな一つなのだろう。大変だが、息長く取り組んでいこう。