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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

本当にすばらしい演奏会~清水直子ヴィオラ・リサイタル

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今日2日(土)は、本当にすばらしい演奏会を体験できた。

いただきもののチケットで行った演奏会だ。

清水直子ヴィオラ・リサイタル

  日  時 08年2月2日(土)14:00開演
  会  場 彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール
  曲  目 シューマン おとぎの絵本
        ヒンデミット ヴィオラとピアノのためのソナタ作品25-4
        フランク ヴィオラソナタ イ長調
  ヴィオラ 清水直子
  ピ ア ノ オズガー・アイディン

清水直子さんは、01年からベルリン・フィルの主席ヴィオラ奏者を務めておられる名手である。

彩の国さいたま芸術劇場には、行ったことがない。与野本町(よのほんまち)にあるのだそうだ。ちょっと遠いな。
昼前に家を出た。

今日は何だか色々不手際、トラブルがあった。

その1。
駅に行ったら、乗った京葉線の電車が電気系統のトラブルで、本来東京行きのところ、新習志野止まり。
「駅前探検倶楽部」で調べたルートでは、南船橋武蔵野線に乗り換えることになっていたのだが、南船橋まで行けないじゃないか・・・。
でもとりあえず、その電車に乗ったら、なかなかやるじゃん、JR。新習志野駅に、乗り継ぎの電車を用意しているという。
着いたホームの反対側に待ってくれていた電車に乗って、めでたく南船橋まで到達。

その2。
めったにないことだが、携帯電話を持って出るのを忘れた。
気がついた時には電車に乗っていた。やむなし。

船橋武蔵野線に乗り換えて、武蔵浦和まで。
武蔵浦和埼京線快速に乗り換えて、与野本町に到着。

与野本町。初めて下りる駅だ。

ネットでプリントしておいた地図を見ながら、会場へ(2枚目、3枚目の写真)。

中に入ると、CDを売っている。
清水直子さんの演奏するCDが3種類。
その中で、小泉和浩指揮仙台フィルの演奏で、ベルリオーズ「イタリアのハロルド」があった。しかもカップリングが、浦安で練習中のベト8。これはいいや、ということで買うことにした(一番下の画像)。
「終演後サイン会があります」という貼り紙がしてある。
今日は、この後、ユニ響(津田沼ユニバーサル交響楽団)の練習があるので、あまり時間の余裕がないのだ。
どうしようかな。終わってから考えよう。

クロークで荷物を預ける。
ユニ響の練習のためにかついできていた楽器も預けることにした。
係の男性が、「これ、楽器ですよね」と言う。「そうです」と言うと、「それでしたら、私はさわれませんので、こちらまでお持ち下さい」と、カウンターの裏の、荷物置き場に自分で持って行くことになった。
へえ。どこのホールでもそうなんだろうか。楽器をクロークに預けることがめったにないので、わからないんだけど。
こちらはアマチュアだし、別にさわってもらって困るわけではないんだけどね。
でも、クロークの裏というところを初めて見ることができた。貴重な経験。

それはともかく、ここでその3。
荷物を全部預けて、手元にはプログラムだけ残った。
さて、と思ったら・・・。
あれ? 僕の席、どこだっけ。
すべてのポケットをさぐったが、チケットがないぞ。
もしかして・・・。
またクロークに行って、「すみません、預けた荷物、見たいんですけど」。
再度、カウンター奥の荷物置き場へ。
楽器のケースをさぐったら、チケット、出てきました。
客席に持ち込む荷物は、プログラムだけにしよう、と思うあまり、他のものと一緒にしまっちゃってた(汗)。

ということで、やっと自分の席へ。

さてさて、ヴィオラを弾く身ながら、ヴィオラのソロコンサートを聴く機会はあまり持たずにいる。
ヴィオラのソロレパートリーにもそう詳しくはないのが正直なところだ。
しかし、今日のプログラム、ヴィオラの演奏会としては、大変オーソドックスなラインナップだと思う。

最初のシューマン
4曲からなるこの作品。演奏会の冒頭ということで、1曲目、2曲目が終わったところで、遅れてきた客が入場してきたのだが、清水さんは、客席を見ながら、その客が席につくまで待っていた。
優しい人なんだな。

演奏が始まってすぐ、音の美しさに引き込まれた。
自分でも弾くわけだから、ヴィオラの音の魅力はわかっているつもりだったが、しかし、これまで、こんなに美しいヴィオラを聴いたことがない。

特にC線の音が。
野太い迫力というのではない。たっぷりとして、深い、本当に形容できない音なのだ。チェロでは出せない、ヴァイオリンでは出せない音。
4曲目が特にその音のよさを満喫させてくれた。

曲もいいな、シューマン
2曲目、3曲目などは、本当にシューマンでなければ書けない音楽だ。
狂気に近いパッション。
以前から思っていることだが、やはり、もっとシューマンの音楽を聴かねば、と感じた。

シューマンの、特に4曲目の、とろけるような音楽の後、ヒンデミット
これは一転して「苦い」音楽だった。

なじみのない作品だけに、私には、途中、ちょっとわからない部分もあったが、うん、つまり、ケーキと牡蠣の違いみたいなもんだな。
ピアノがすごかった。

そして、休憩の後、メインはフランク。

フランクのヴァイオリン・ソナタを、初めて聴いたのは大学3年の時。フランチェスカッティとカザドシュのモノーラル盤で知って以来、私の特に好きな音楽の一つだ。ニ短調交響曲よりも好きだ。
チケットをいただいた時、フランクがメインだと知って、これを一番楽しみにしていた。

1楽章。ヴィオラだと、ヴァイオリンで弾かれるのと違った、深沈たる音楽になる。
2楽章。冒頭のテーマを、G線だけで弾いた。すごい。
2楽章が終わって、ほぼアタッカで3楽章に入った間のよさ。
3楽章。こういう、レシタティーヴォ、モノローグの音楽の場合、ヴァイオリンよりはヴィオラの方がさらに合うと思った。
そして4楽章。何と美しい音楽なんだろうか、と改めて思った。転調の魅力。

アンコールが3曲。

まず、
マラン・マレ 5つの古いフランス舞曲
この曲は、あんまり聴いたことがなかったけど、よかった。肩の力が抜けた感じで。
特に、1番目の舞曲は、ここでも、「ヴィオラの一番いい音」を聴かせてもらえた。

次に、
ヴォーン=ウィリアムズ グリーンスリーヴズによる幻想曲
中間部の4拍子のメロディが、C線で弾かれた。吸い込まれるような深い音だった。
今日の演奏会の中で、初めて、「これ、自分でも弾いてみたい」と思った。

さらに、
エルガー 愛の挨拶
ニ長調で演奏された。これは、私の好みとすると、ちょっと惜しい。テンポが速すぎたと思う。

それにしても、何とすばらしい演奏会だったことか。
ヴィオラという楽器の、本領を聴いた思いだし、ヴィオラの演奏会、ということを別にしても、これだけ深い深い味わいに満ちた演奏会は、なかなか聴けないと思った。

いただきもののチケットで行ったわけだが、この演奏会の情報を、自ら得なかった不明を恥じる。

さて、終演後、せっかくなので、やっぱりサイン会の行列に並ぶことにした。
ユニ響の練習、少し遅刻してもいいや。ごめんなさい、トップのNさん。
CDを買った人は、購入枚数にかかわらず、1枚、サインしてもらえるのだそうだ。
目分量で、150人くらいは並んだだろうか。そのまんなかへんに並んだ。

順番がきて、買った「ハロルド」のディスクにサインしてもらった。
清水さんと、ピアノのアイディンさんが並んで座っていた。清水さんが、「このCDでは、彼は弾いていませんけど、よければサインしてもらいましょうか」とおっしゃって下さった。

本当は、持っていた、楽器のケースにサインしてもらいたかったんだけど、言い出せませんでした(笑)。

16:20頃、会場を後にして、ユニ響の練習が行われる谷津(やつ)に急いだ。