naokichiオムニバス

69歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

5月場所千秋楽

千秋楽当日は、事情があって録画を幕内後半戦しか観られなかった。その後の平日は出張等もあったためなかなかまとまった時間がなく、やっと今日31日(土)、全部観ることができた。

刈屋アナと北の富士さんって、どうも相性がよくないのだろうか。話がかみあわない場面が時々あった。

豊響の押しを豊馬将がもちこたえ、土俵際のひきおとしで辛勝。
豊馬将は9勝6敗と星はまずまずだが、とうとうこの人のよさは出ないままに場所が終わった。左手が悪かったように見えるが、そうであれば早く治して、来場所はいい相撲をとってほしい。
豊響は今場所立ち直りのきざし。来場所に期待したい。

若の里琴春日を破って2ケタ。左かいなの返しがさすが。

7勝7敗同士の一番は、出島がこの人らしい出足で勝ち越し。栃ノ心は惜しくも負け越し。
しかし、栃ノ心にはいいものがありそうだ。来場所に期待したい。

豪栄道は左前まわしのいいところをとり、頭をつけたものの、玉乃島がその前まわしを切って、もろ差しで逆襲。
豪栄道は勝ち越したものの、今場所の内容は今一つだった。

高見盛はいい相撲で土佐ノ海を破った。7勝8敗。惜しかった。
高見盛という人は、まったく力を出せずに負けることが、場所の内に何番かある。

栃煌山嘉風に勝ったものの、前傾姿勢でおっつけて出る形が今日も出なかった。
来場所は是非とも巻き返してほしいものだ。

若ノ鵬北勝力のもろ手突きをこらえ、二本入れていい出足。若ノ鵬はいい相撲を見せてくれるようになった。初めての幕内上位での勝ち越しは立派だ。もしかすると現状では把瑠都より上かな、という感じがする。
一方の北勝力は、これで2ケタ勝ったのかと思うくらいもろい負け方だった。

その把瑠都は左を差して鶴竜をつかまえ、いい出足。千秋楽はいい相撲だった。しかし、西筆頭とは言え5勝10敗は残念な成績。
何度か書いたが、相撲の基本をもっとちゃんとしてほしいし、土俵に上がる心構えももっとちゃんとしてほしい。
一方の鶴竜も5勝10敗。期待される鶴竜が今場所不振に終わったことについて、NHKの放送でほとんど誰も言及しなかったのが不思議だ。

安美錦朝赤龍はいい相撲だった。
朝赤龍も相撲のうまい人だが、この一番については安美錦のうまさが上だった。殊勲賞。

稀勢の里は左を差して前に出て、雅山を問題なく押し出した。敢闘賞。三役で初の2ケタもめでたい。
稀勢の里という人の相撲には、私としてはまだ納得できないところがある。今の左四つの相撲は、稀勢の里にとってベストだとは思えない。上手も遅いし、寄る形にも安定感がない。むしろこの体格を生かして、突き押しを交えた相撲をとるべきではないかと思う。

琴奨菊普天王は当然の左四つ。琴奨菊は相手に上手を与えない形は作ったものの、右からおっつけて出ることができない。先に上手をとったががぶれない。
最後は何とか寄り切ったが、1分を超える相撲となった。
千秋楽でやっと勝ち越しは、琴奨菊としては物足りないし、内容的にも今場所はいい相撲があまりなかった印象だ。

安馬豊ノ島の一番も長い相撲。左四つ、安馬が右上手。左下手はとれなかったものの、頭をつけてもぐる。豊ノ島は苦しい体勢。
機を見て安馬が右から投げにいくところ、豊ノ島がついて出て、西土俵微妙な勝負となった。
安馬がやや体がない感じはあったが、土俵を飛び出すタイミングはほぼ同時。少なくとも物言いはつくべき相撲だった。技能賞の安馬は2ケタを逃し、豊ノ島は敢闘賞を決めた。

琴欧洲千代大海との対戦。番付順とは言え、手負いの大関よりは豊ノ島をあててほしかった。
内容は果たして一方的。立ち合いあっさり琴欧洲が左上手。がっちり組み止めてあっさり寄り切った。
琴欧洲の相撲は千秋楽もよかった。

琴光喜が、右前まわしからの出し投げで魁皇の後ろにまわり、勝ち越し。千秋楽での勝ち越しは、何とも言いようがない。

過去2場所相星決戦となった両横綱の対戦も、今場所に関してはさみしい状況での一番となった。
10勝4敗の東横綱朝青龍、11勝3敗の西横綱白鵬ということで、来場所の東正位をかけての対戦ではある。
熱戦を期待したが、内容は乏しかった。当たり合って、前さばきの応酬から、朝青龍白鵬の右かいなをたぐってひきおとし。あっさり決まった。白鵬の左足の状態が悪いのだろう。
勝負が決まった後、朝青龍がだめを押し、白鵬が身体をぶつけ返して、土俵上不穏な空気となった。
そこからもう1回相撲をとり始めたら面白かったのに(笑)、と思いながら観た。
まあどっちもどっちだが、どちらかというと、白鵬が悪い印象を受けた。
相手が手をついているのに、わざわざさらに押した朝青龍もよくないが、勝負は最後まで気を抜かずにつける、という意味では、身体の動きの勢いがそう流れたことは、理解できないでもない。
それより、報復行為に出た白鵬の方が責められるべきかと思う。白鵬横綱昇進後の朝青龍に対する発言を聞いていると、朝青龍とはもはや対等なのだ、という意識が相当強いように感じる。闘争心が強いことは一概に否定すべきとは思わないが、やはり先輩横綱に対する最低限の敬意は払ってほしいし、それがあればこのような行動にはつながらなかったのではないかと思う。
いずれにしても、東西の最高位に座る両力士なのだから、月並みだが、横綱らしい品格、あるいは冷静さ、互いに相手を認める度量を持ってほしいと考える。
外国人力士の場合、そのへんの気持ちの持ち方がやはり違うところもあるのかもしれないが。

三賞

  殊勲賞 安美錦  3回目
  敢闘賞 稀勢の里 2回目
      豊ノ島  2回目
  技能賞 安馬   3回目

安美錦は、もちろん琴欧洲戦が評価されてのことだろうが、琴欧洲の自滅の側面もあったし、時間一杯からのかけひきもあったし、ちょっとひっかかる。技能賞なら文句なしなのだが。
豊ノ島も、敢闘賞よりはむしろ技能賞ではないか。もしかすると、安馬の技能賞が先に決まり、敢闘賞に流れたのかもしれないが。
その安馬は、星も2ケタに届かなかったし、やや物足りない印象がある。むしろ、豊ノ島を技能賞とし、安馬は2ケタ条件で敢闘賞とした方が妥当だったのではないか。

番付予想。

  三役
         東    西
    横綱  朝青龍  白鵬
    大関  琴欧洲  琴光喜
    大関  魁皇   千代大海
    関脇  安馬   稀勢の里
    関脇  琴奨菊
    小結  安美錦  豊ノ島

    協会は、最近は以前の張り出しにあたる地位を関脇小結については作らない方針のようだ。
    しかし、東小結で2ケタ勝ち、敢闘賞も受賞した稀勢の里は、関脇に上げてほしいところだ。

  幕内と十両の入れ替え

    陥落は、春日王白露山琴春日、白馬の4人。
    昇進は、木村山、将司、光龍がまず堅い。
    もう一人は、東2枚目で8勝の玉鷲か東11枚目で13勝(優勝)の千代白鵬
    難しいところだが、千代白鵬か。
    それにしても、東筆頭で千秋楽7勝7敗同士の対戦で若荒雄に敗れた若麒麟は惜しかった。

  十両と幕下の入れ替え

    陥落は、境澤(ケガの回復が思わしくないのか?残念)、大勇武、安壮富士の3人。
    昇進は、西2枚目で5勝の阿覧と西12枚目で全勝優勝の玉飛鳥が堅い。
    もう一人は、西筆頭で4勝の土佐豊か東4枚目で5勝の森だが、土佐豊か。

大関の惨状。

さて、今場所についても大関については言わねばならない。
琴欧洲がサプライズ優勝したので、その陰に隠れてしまったが、他の3大関の成績は無惨なものだ。
琴光喜魁皇とも、3場所連続の8勝7敗。千代大海は、今年に入ってから、0勝、8勝、5勝で、僅か13勝しかしていない。一場所平均5勝にも満たなくてもなお来場所は大関の地位にいられるのだ。
今年に入ってから、今場所の琴欧洲を除けば、2ケタ勝った大関が一人もいない。また、「カド番大関のいない場所」が1回もない。
何ともはや、である。

琴欧洲横綱昇進問題。

ところで、NHKの放送では、刈屋アナが、しきりと来場所を「琴欧洲の綱とり場所」に位置づけたがり、北の富士さんがあまり乗り気でないやりとりだった。
NHKが、すぐさま「綱とり」「大関とり」と盛り上げたがるのはいつものことだ(ついでに、千秋楽の放送で、まだ定着してもいない「青白(しょうはく)時代」という言い方を連発したのは、刈屋アナ個人のフライングだろう)。

まあ、常識的に考えて、来場所が琴欧洲横綱昇進挑戦の場所になるとは言えない。
先場所まで8場所連続で1ケタの勝ち星、2回カド番となっている琴欧洲が、いくら今場所優勝したからと言って、さあ横綱、というのは、いくら何でもどうかと思う。
来場所、琴欧洲が優勝すれば、確かに内規は満たす。しかし、それが仮に全勝優勝であっても、横綱に上げるかどうかは、更に一場所見るべきではないか。その9月場所で、もし優勝を逃しても、例えば優勝を争った上で1差の13勝とかなら、横綱にしてもいい。
要は、琴欧洲が本当に変わったかどうかを見極めるのに、二場所では不足だということだ。最低三場所は見たい。それほど、琴欧洲本人のここまでの不振が長かったからだ。

旭富士以降、平成に入ってからの横綱は、全員連続優勝で昇進している。しかし、双羽黒問題にいつまでもとらわれるのはやめるべきだ。
結局は、「横綱たりうる実力」を見極める話なのだから、二場所連続優勝にこだわることはない。場合によってはもっと長期に見る必要もあろう(今回の琴欧洲はそのケース)し、逆に連続優勝でなくても、長期に安定した成績を上げている大関なら、まさしく「連続優勝に準ずる成績」と認定して、堂々と昇進させるべきだ。

かつて貴乃花は連続優勝でなかったことで、優勝同点だったのに、最年少横綱としての昇進のチャンスを逃したことがあった。あれはあまりに過酷だったと思う。
ずっと2ケタ勝てずにきた大関が、突然連続優勝した場合と、常に11勝、12勝はあげ、優勝回数も3回や4回重ねながら、それが連続でなかった場合と、どっちを優位に見るのか。
結論は明らかだと思うのだが。

私としては、来場所の琴欧洲が全勝優勝でも昇進を見送ることがあっていいと思うし、逆に、連続優勝でなくともそれにこだわらず昇進させるケースが出てきてほしい。かつての貴乃花(あるいは若嶋津もそうだった)のような悲劇は繰り返さないでほしいと思う。