naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

ヨルタモリ

3月の「いいとも」終了後、フジテレビでのタモリの初めてのレギュラー番組、「ヨルタモリ」。

NHKの「ブラタモリ」のパロディを思わせるタイトルから、フジテレビらしいが、内容は誠に秀逸。

私は、井上陽水がゲスト出演した回から、録画して観ている。

日曜日夜の23:15という時間帯は、たいてい寝ているからでもあるが、仮に起きていても、「サザエさん症候群」みたいな意味で、この番組をオンタイムで観ることに、何か気分的な抵抗感もあるのだ。

さて、秀逸と書いた半分はもちろん、タモリその人にある。

「いいとも」のMCとしてのタモリとまったく違うタモリを見せようという企画と理解する。

タモリの才人ぶりを見る、ということなら、かつての「今夜は最高!」、あるいは現在も放映中の「タモリ倶楽部」にも共通する部分だが、この「ヨルタモリ」は、一貫して、タモリタモリでない別人を演じさせるところに、特徴がある。

我々世代からすれば、タモリが世に出てきた頃の芸を思い出させてくれるものがあるのだ。

番組の途中、タモリ(演ずる人物)が席を外している間に出てくるテレビ番組。

これは、まさしく、「いいとも」以前の、アバンギャルドだったタモリの芸であり、番組の企画意図は明確だと思う。

「日本古典文学講座」で流れるテーマ音楽を聴いた時には、驚喜した。アルバム「タモリ」「タモリ2」で、中州産業大学の森田教授の教養講座で使われていたものなのだ。
(余談だが、妻は時々とりあげられる百人一首の和歌は、本物だと思っていたとのこと)

ところで、秀逸のもう半分だが、これはもう、宮沢りえの魅力。

半分と書いたのは客観的な記述だが、個人的に言えば、この番組を観るモチベーションの9割は、宮沢りえのママぶりにある。

いやあ、それにしても、誰が宮沢りえをキャスティングしたんだろう。タモリ本人のオファーだろうか。

バーのママ役ができそうな女優さんは、もちろん他に何人もいると思うが、ここでの宮沢りえに及ぶ人は絶対にいない、と断言できる。

番組の中で交わされる会話は、おそらく相当程度がアドリブだろうと推測する。

加えて、この番組の面白いところの一つだが、宮沢りえは、この店のママ、という設定に徹することなく、時に、女優宮沢りえその人としてもしゃべっている。

そういう、非常にファジーな状況の中で、時に役に徹しつつ、時に素の宮沢りえを隠すことなく、ふるまうことができる、彼女のすごさが、9割のモチベーションの根源だ。

常連客としていつもいる、能町みね子のポジションもいい。

全体が絶妙なバランスなのだ。

こんなハイレベルなバラエティ、長く続けるのはとても大変なことだと思うが、1クールと言わず、せめて半年は続いてほしいと切望している。