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68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

新国立劇場 「ラ・トラヴィアータ」

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昨16日(土)、新国立劇場での、ヴァルディ「ラ・トラヴィアータ」の公演に行ってきた。

「新制作」と表示されている。プログラム冊子によると、新国立劇場では、この作品は過去4回(2002年、2004年、2008年、2011年)。そのいずれもが、ルーカ・ロンコーニの演出だったが、今回は、ヴァンサン・ブサールの演出。

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中に入ると、ヴィオレッタ役が変更になったとの貼り紙があった。ただ、チラシやプログラム冊子は、変更後の歌手が表示されているので、急な変更ではなかったようだ。

浦安市民演奏会などで共演させていただいた経験のある先生方が3人出演。
オペラで何度かご一緒した須藤慎吾先生が、ドゥフォール男爵。昨年末の「第九」のソリストをお願いした山下牧子先生と小原啓楼先生が、それぞれフローラ、ガストン男爵役だった。

   ※関連の過去記事
       須藤慎吾先生のアリア集リリース
          http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/64335618.html

我々の座席は、1階22列の21番、22番。1階席の最後列だが、左右の位置としてはちょうど中央付近。良い席だった。

   ※関連の過去記事
       さすがに人気?「椿姫」
          http://blogs.yahoo.co.jp/naokichivla/64838889.html

舞台装置は、さほど豪奢さのないシンプルなものだった。
舞台の床を横長の長方形ととらえた場合、それを時計回りに少し回転させた形になっている。つまり、舞台上手手前の角がオケピットの上にはみだしているような形だ。
また、舞台左手が一面鏡になっていたのも特徴的だった。

全編を通じて、ステージ上に、ピアノが置かれた。
最初のパーティーの場面では、ワイングラスのタワーが置かれ、2幕のパーティーでは、ギャンブルのテーブルに使われ、そして最後の3幕では、ヴィオレッタが横たわる死の床となった。

3幕のオペラだが、休憩は1回。
1幕と2幕の間には、しばしの時間があったが休憩は置かれず、2幕1場までで休憩となった。
そして、休憩後は、2幕2場のパーティーの場面から始まり、終幕まで。
こういう切り方は、普通なのだろうか、珍しいのだろうか。

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休憩時のスイーツ。

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今回の演出で一番印象に残ったのは、3幕で使われた紗幕。
手前にいるヴィオレッタと、その近くにいる、アンニーナ、アルフレード、ジェルモン、医師とを隔て遮るように紗幕がおりているのだった。
3幕が開いた時点からそのようになっており、つまり、ヴィオレッタとそれ以外の人物が、もはや交わることができないとうかがわせる演出だった。

ヴィオレッタ役のベルナルダ・ボブロの歌は、1幕のアリアでは少し線が細いかとも感じたが、そういう作り方だったのかもしれない。
3幕の幕切れの歌には、やはり泣かされるものがあった。

合唱とオケに拍手を贈りたい。

それにしても、「ラ・トラヴィアータ」というオペラは、やはりわかりやすいな、と思った。
ストーリーも音楽もわかりやすい。
歌が、1番、2番とできているものが多いし、ファーストヴァイオリンが歌のメロディをなぞる書き方が多いのも、わかりやすいと思う。
聴いていて、何か歌謡曲みたいだなあ、と思った。つまり大衆性。
初めてオペラというものに接する人には、まず「カルメン」、とこれまで思ってきたが、「ラ・トラヴィアータ」は、それ以上に適切な演目かもしれない。

このところ忙しく、体調面でのコンディションが今一つな中を出かけたが、ヴェルディの音楽に力をもらった気がした。

劇場を出て、初台の駅のホームに向かう途中、ヴァイオリンやチェロを背負った人が何人もいた。オケの人って、ほんとに帰るのが早いね。びっくりする。
まあ、打ち上げとかはないんだろうけど(笑)、それにしても、我々が席を立つ時にまだピットにいたはずの楽員が、着替えも済ませた上で、ほぼ同時に駅に来るというのは。

あ、あと、オケについて妻が漏らしていた不満。
開演前、ピットで多くの楽員がさらっていたのだが、例えばヴァイオリンで、1幕最初の音楽のメロディが聞こえてくる。
あれはいけない、というのだ。
聴衆としては、開幕してからその音楽を聴きたいのであって、開演前にそれが耳に入ってしまうのはやめてほしい、と。
さらうなら、別の曲にしてほしいと言っていた。