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66歳会社員。ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

アマチュアオーケストラの練習再開のあり方<2>

世間で、多くの経済活動、生活分野が、緩和方向に動く中、活動が止まっているアマチュアオーケストラにおいても、そろそろ集まって音を出したい、という気運が高まってくると予想される。

 

オケ演奏に比べてはるかに密なイメージがある、例えばカラオケ店が営業を再開したとの報道を見ると、だったらオケも、そろそろ我慢を解除して、という気持ちになるのは当然だ。

 

これについての、現時点での私見を整理しておきたい。
(当然ながら、未知のウイルスに関わる問題なので、今後の推移により、適宜修正していく)

 

「一定期間練習した後に、本番演奏会を行う」、という活動を前提にすると、アマチュアオーケストラのステークホルダーとしては、以下が挙げられる。 

   団員及びその家族
   本番の指揮者、ソリスト
   練習の指導者
   人員が不足するパートを補うために依頼するエキストラ奏者
   練習会場を貸してくれる事業者
   来場して下さるお客さま
   演奏会場を貸してくれる事業者

 

これらのそれぞれについて、コロナ禍の状況下においては、

   練習をすること
   本番を行うこと

についての、従来は意識しなくともよかった「合意」が必要になると思う。

 

まず、本番演奏会については、演奏会場が示すガイドラインが既に存在すると思われるので、それに従う必要があるが、これに伴い、

   演奏者はステージ上でどう座るのか(何人乗れるのか)
   客席に何人収容できるのか

が左右される。

 

既に、プロオケで、演奏会は行うものの、間隔を空けて座る必要上、予定していた曲目を満たせず、別の小編成の曲に変更する、という事例がある。

 

希望の曲が演奏できるかどうか、の検討、合意。

 

また、客席の収容人員によっては、通常行っている広報集客活動を変える必要が出てくる。普段通りに、団員が常連客の友人や知人に来聴を呼びかけたり、チケットを一般販売して、来場者が入りきれない、ということになっては困るからだ。この点の方針検討、合意。

 

それ以前に、望んだ曲が演奏できず、少人数のお客さましか呼べない本番演奏会を、そもそも本番と呼び、目標として練習するのか、という議論も出てこないか、と思う。

 

「本番を目指して練習する」という、これまで当たり前だったことが、場合によっては、根本的に問われる場面がありうると思う。

 

仮に本番ができなくとも、集まって練習できればそれで良い、という意見もあろうし、本番を想定しない練習には意味がない、という意見もあろう。

 

大小の制約を伴いながらも、本番を行う場合、演奏会場が定める、演奏者、来場者それぞれへの、感染拡大防止対策を遺漏なく行う必要があることは、言うまでもない。

 

また、広報集客活動を行うにあたっても、その感染拡大防止対策は、予め明示しなければならない。納得した上で聴きに来ていただく必要がある。これは既に一部のプロオケが始めている。

 

さて、本番を行うことへの合意ができたとして、それに向けての練習についてはどうか。

 

これも、練習会場が示すガイドラインが重要になる。

 

所属の浦安オケの場合、練習に通常使うのは、中学校の武道場、あるいは文化会館の練習室、公民館なので、すべて浦安市の所管となる。そうした会場を使わせてもらうからには、その指示に従うことが大前提になる。

 

日常の練習に集まる場合の、感染拡大防止の取り組みは、練習会場の指示に従うことは当然であり、全団員が指示に沿った行動をとる必要がある。

 

さらに、練習の指導者(本番の指揮者、ソリストを含む)には、それを説明し、従っていただく必要がある。

 

ここで重要なのは、示された条件下での練習参加に不安や懸念を持つ団員がいた場合、その団員に練習参加は強制できないということだ。あくまで、練習の条件に合意できる団員のみでの練習にならざるを得ない。

 

これが、仮に企業であれば、責任ある立場の者が、社会、政府の動きに応じた方針を出し、従業員はそれに従うことになる。仮に、その方針に何か誤りがあって、従業員を始めとするステークホルダーに感染被害等が生じた場合、その責任はしかるべく追及されてもやむを得ない理屈になると思う。

 

しかし、趣味としてのアマオケにおいては、団長あるいは副団長といった幹部が存在するものの、それはあくまで組織の自治としての役割を、立場としては一団員である者が負っているに過ぎない。アマオケの幹部は、団員に対する直接的責任は取れない。

 

従って、幹部から団員、上から下への垂直的指示によるのでなく、水平的な「全員の合意」が確保できなければ、練習は再開できない。練習に参加する以上、個々の団員も、リスクと責任を負担すること(幹部のみに責任を問わないこと)に合意する、という意味である。

 

実際には、合意できない団員(拒否、というニュアンスまででなくとも不安や懸念から)が存在する可能性がある。その場合、その団員は練習に参加しない、あるいはできないことを、互いに了承せざるを得ない。「全員の合意」と書いたが、正確には「合意が成立した団員全員」での練習再開となる。

(アマオケが、全員の合意のもとにすべてを行っているのは、別に今に始まったことではないが、このコロナ禍の状況下では、それがよりシヴィアになってくる。合意形成のためには、私の所属オケの場合であれば、限られたメンバーで構成される運営委員会(月1回)よりも、臨時総会を開催するのが望ましいと思っている。)

 

こうした結果、人員が不足するパートについては、エキストラで補充する必要が出てくるが、ここにも、これまでにない難しさが出てくる。

 

これまで、エキストラを頼む、頼まれる、という行為は、単にスケジュールが空いていれば、という程度の気軽なものだったが、今は、依頼される側にしてみれば、依頼してきたオケが、どのような感染防止対策をとっているのか知りたい、ということを考える可能性がある。だから、もし依頼するのであれば、自分の団体での練習あるいは本番は、こういう条件になります、という情報を示し、それを了承してもらう必要がある。

 (例えば、初めての方にエキストラをお願いするような場合は、練習場所の内部の写真を示し、空間の広さ、椅子の並べ方などを知ってもらうなどの情報提供も必要になるのではないか)

 

ステークホルダー間の合意、という観点から、ざっと考えても、こんな感じで、誠に面倒なことである。

 

しかし、これは、アマチュアオーケストラというものが、政府や企業と違って、責任を負う主体になり得ないことからは、仕方がないと言える。

 

団の幹部は団員に対して責任を負えない。そういう関係にない。また、オケ全体としても、演奏会に足を運ばれるお客さまに、直接の責任を負えない。

 

そうした中、ステークホルダー間の諸々の課題について、どのように「合意」を作り、どのように行動するのか。これは、どれだけ面倒であっても、避けては通れない前提要素だと思うのである。

 

一方が他方に責任を負えない中での、責任分担として、「合意」は不可欠だ。

 

既に、予定していた本番が中止になり、目標がなくなった。練習停止期間が3ヶ月、4ヶ月に及んでくると、早く集まって音が出したい、という気持ちになる。次の本番の予定を定めて、目標たる曲に取り組みたい、という気持ちにもなる。

 

しかし、そうしたはやる気持ちだけで練習を再開することは、望ましくないとも思っている。

 

マチュアオーケストラは、言うまでもなく、趣味、道楽の次元の行為である。仕事ではない。

 

その点から言うなら、活動再開にあたっては、まず、プロオケよりも慎重であるべきだと思う。プロオケは生業である。ある程度のリスクを取りながらでも、活動を再開しなければならない。

 

そのプロオケがどう活動を再開するのか。先にも書いたような、様々な取り組みから、日本のプロオケのスタンダードが定まってくれば、それは、アマチュアにとっても、何より貴重な道しるべになるはずだ。

 

またもう一つは、学校教育との関係である。伝えられるところでは、現在は、学校での楽器吹奏あるいは合唱が禁じられているとのことだ。教育上必要と定められたカリキュラムでありながら、それが行われていないことは、重い現実である。学校教育におけるこれらの制約の解除は、注視すべき大きな事項だと思う。

 

趣味、道楽の次元にあるアマチュアオーケストラには、コロナ禍における活動のあり方についてのガイドラインは、現時点で存在しないし、今後新たにできることも期待しにくいように思う。

(JAO(公益社団法人日本アマチュアオーケストラ連盟)のWebサイトには、そのような情報が見当たらない)

 

そのような状況下、プロオケあるいは学校教育の推移を見定めることなく、個々の団体が、自己判断で活動再開することには、総論として賛同できない。

 

漠然とした感覚だが、何らかの道筋が見えてくるのは、秋以降ではないか、という気がしている。

 

そうは言っても、私の所属オケにしても、12月に本番を行うという具体的な予定を持っている。現在のところ6月いっぱいは練習中止が決まっているが、遠からず再開が模索されるだろう。また、参加している別のオケでは、7月中旬に次の本番に向けた初練習が組まれている。各論としては、それぞれのオケの中で、必要な情報収集をした上で、自分がどうするか、個々に判断していくことになる。

 

それにしても、本当に悩ましいことだ。

 

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