4日(火)、新国立劇場に「コシ・ファン・トゥッテ」を観に行った。
4日公演の千秋楽だった。
新国立劇場は「コジ」表記だが、個人的には「コシ」の方が好きだ。
●新国立劇場 2023/2024シーズン オペラ コシ・ファン・トゥッテ
日 時 2024年6月4日(火) 13:15開場 14:00開演
会 場 新国立劇場オペラパレス
指 揮 飯森範親
演 出 ダミアーノ・ミキエレット
1幕、2幕、それぞれ1時間半。
私の席は3階1列4番。
3階最前列のつもりだったのだが、実際座ってみると前にL席がある。
私の4番のちょうど前にいる人の頭がステージの中央部分にかぶってしまい、少なからず観づらかった。オケピットもよく見えない(オケは対向配置の様子。チェロが上手側、ヴィオラが下手側?)。
1つ隣の5番だったら前に人が座る位置でなかったので、僅かひと席の違いで悔しい思いとなった。
(写真の座席図は実際の位置関係とは若干異なる)
プログラム冊子によると、新国立劇場での「コシ」は今回が5回目。
場をキャンプ場に設定したミキエレットの演出は、2011年、2013年に続いて今回が3回目となる。
幕が上がると、上の写真のような、森の中のキャンプ場。アルフォンソが経営しているようだ。2組のカップルはキャンプ客。デスピーナはキャンプ場の売店の売り子として出てくる。
思い切った翻案演出だ。こういうのはあまり好きではないが、今回の「コシ」については、セットがリアルなこともあって、気に入った。
セットは円形の台に乗っていて、これが回転することで場面転換が行われる。日中から夕暮れ、そして夜と時間の経過もうまく表現されている。
楽しく観賞した。
モーツァルトのオペラを実演で観る時、今観ている演目がそのたびに最高傑作だと感じられる。「フィガロ」を観ていれば「フィガロ」が、「魔笛」を観ていれば「魔笛」が、という具合だ。
今回も、「コシ」こそ最高傑作では? と思いながら過ごした。
1幕のフィナーレは誠に楽しい。モーツァルトの他のオペラにも出てくる、どたばたのフィナーレはどれも本当に楽しい。
「コシ」の魅力は重唱にあると思う。モーツァルトの他のオペラよりも重唱が多い。
構築的に作られていると感じる。そこに魅力が生まれる。
もちろん単独で歌われるアリアも美しい。
3階席後方には女子高校生らしき団体が入っていた。
モーツァルトの長いオペラ、そしてこの物語は、彼女たちにはどう感じられたのだろうか。聞いてみたい気がした。
休憩。
表に出ると気持ちがいい季節だ。
2幕は、セットの変換はなく1幕のまま。
フィオルディリージ、ドラベッラ、フェルランド、グリエルモは、キャンピングカーで来ているようで、1幕のフィオルディリージのアリアはそのキャンピングカーの屋根の上で歌われたし、2幕で入れ替わった男2人が姉妹をくどくのもキャンピングカーの前。先にくどき落とされたドラベッラとグリエルモはその脇にあるテントの中に入っていった。
それにしてもどのナンバーも何と美しいことか。今さらのようにモーツァルトの天才を思い知る。
物語の進行に沿って、しばしば客席から笑いが起きた。オペラなのだからそれでいいのだと思う。じっと黙って聴いていることはない。
入れ替わったカップルの結婚式は、場面の転換を強調するために夜が明けて明るくなってほしいなと思って観ていたが、暗いままだった。アルフォンソと男性2人の賭けは、朝までアルフォンソに従うという約束だから、夜が明けてはならないのだろう。
男性入れ替わりの種明かしがあった後、幕切れまでのお芝居がちょっとわかりにくかったが、元のカップルが仲直りするのでなく喧嘩別れ。姉妹がスーツケースを持って出て行ってしまう、という演出のようだった。
1時間半×2幕の3時間はあっという間に過ぎた。
本当に楽しかった。
歌手は皆すばらしかったが、特にというとフィオルディリージかな。
カーテンコールでは、デスピーナがひときわ拍手を浴びていた。まあ得な役柄だからね。オペラにはこういう性格的な役が時々いる。
「マイスタージンガー」のベックメッサーとか、「ばらの騎士」のオックス男爵とか。
モーツァルトだと、レポレロもそうだ。
アルフォンソがプロンプターに拍手を送り、プロンプターが顔を出していた。
9月に同じ新国立劇場で、東京二期会が「コシ」を上演する。これも観てみたいと思った。
演奏する方では、宇奈月オペラで2019年に「コシ」の上演に参加した。
演目のローテーションからすると、2024~2025年に東京で「コシ」の公演が行われることが予想される。参加できるといいのだが。
🌲『#コジ・ファン・トゥッテ』千秋楽公演が終演しました!オペラパレスに旋風を起こした秀逸な舞台、皆様お楽しみいただけたでしょうか?本日の公演には高校生の皆さんも多数訪れ、ビビッドな反応を示してくれました。オペラファンが沢山育つと嬉しいですね!ご来場いただいた皆様、どうもありがとう… pic.twitter.com/bVTRFo1DuT
— 新国立劇場オペラ New National Theatre Tokyo - Opera (@nntt_opera) 2024年6月4日
🌲『#コジ・ファン・トゥッテ』千秋楽カーテンコール、若々しい渾身のブラヴォーが響いた、幸福な時間でした✨Braaavi🎉またオペラパレスでお会いしましょう🎶#コジ pic.twitter.com/y4LTpjy59O
— 新国立劇場オペラ New National Theatre Tokyo - Opera (@nntt_opera) 2024年6月4日
※新国立劇場YouTubeチャンネルからバックステージツアーの動画