naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

5月場所5日目

嘉風武雄山を破って4勝1敗と好調。
嘉風に少し地力がついたと繰り返し書いているが、今日の相撲を見ていると、相手をよく見て動けるようになった点にそれを感じる。

昨日把瑠都と熱戦を展開した北桜が、今日は北勝力にあっけなく押された。
まったく一方的な相撲で、意外。
北勝力は初日2日目とまったくだめだったが、昨日あたりから別人のようにいい出足を見せている。

把瑠都は今日も立ち合いが高かった。ただ、以後の動きは俊敏で、体力差も生かして片山を下した。

土佐ノ海栃乃洋、ベテラン同士の相撲は、土佐ノ海が、栃乃洋得意の左を差させないことに徹し、逆に右からおっつけ勝って差しながら出ての白星。
馬力があり、一番土佐ノ海らしい相撲だった。

高見盛は、岩木山相手に白鵬ばりの立ち合いですぐ左上手、一旦は得意の右四つ充分に組んだ。
しかし、その上手を切られ、以後は見た目よりは器用なところがある岩木山のペース。
高見盛としてはもったいない星を落とした。
この人は、どちらかといえば軽量でありながら、組んだ時に頭をつけてとることをしない。むしろアゴを上げて天井を向いての相撲だ。
今日もいい形になりながら負けたのは、そのへんに原因がありそうだ。

豊真将白露山は熱戦。
白露山は昨日まで無敗と好調なだけに、今日もいささか強引とも言えるが動きまわって豊真将をゆさぶった。特に投げが強い。
激しい動きの末、左四つにわたりあったが、ここから豊真将に攻めようとする動きが見えなかった。
最近見始めたので、どういう相撲が得意なのかよくわからないが、もう少し動いてもらいたかった気がする。
それでも最後は自分からしかけて引きつけての白星。
まあいい相撲ではあった。

普天王は、昨日ずいぶん執念を見せたと思ったら、父親が観戦にきていたという。
しかも、アメリカの農園で作ったオレンジを、昨日今日と来場客に無料で配ったそうだ。
今日もねばりのある相撲だった。
前半は栃乃花にうまくとられ、有利な形を許した。左四つながら上手がとれなかったが、左下手からの攻めで相手の上手を切ったことで、形勢が逆転した。
みどころのある一番だった。

安美錦玉乃島に、いいはず押し。
安美錦の攻めをほめるべきではあるが、途中引いた玉乃島にいいところがなかった。今場所は元気がない。

朝赤龍黒海は、攻防のあるいい相撲だった。
朝赤龍は、なかなか好調だ。

稀勢の里は、過去3戦全敗の旭鷲山戦だったが、どうくるかわからない相手をこわがらず、よく前に出て快勝。
今日は組みに行かなかったのがよかった。旭鷲山としては距離をあけたいところだっただろうが、今日は稀勢の里の体のよせ方が非常にうまかった。

若の里は、今日もよくない。
本来四つ相撲の人なのに、自分充分の形に組みにいこうという根気が見られない。
離れたままの相撲で、小手にふったところを、旭天鵬に右かいなを突きつけられた。
横綱大関を破ったのにちょっとおかしい。

琴光喜は、小さい垣添相手に自分のペースで相撲がとれない。
垣添の押しに合わせてしまい、防戦一方。最後ははたいて勝つには勝ったが、今日も全然いいところがなかった。どこか悪いのか。

魁皇は、琴奨菊に、まさに九死に一生、薄氷の勝利。
今日も立ち合いが高く、相手に圧力をかけられない。序盤の攻防で格下相手に左四つの形を作れず、更に悪いことに自分から引いて土俵際に詰まった。まさに絶体絶命であったが、よく残した。
土俵際、よくやるようにつきおとしにいっていたら、そのまま出されていただろうが、今日はそれをせずに右からおっつけて、土俵の中に攻め戻そうとしたのがよかった。結果、左四つに組めたので、あとは魁皇本来の相撲。
この一番は、後々大きいかもしれない。

千代大海が全勝を守った。
今日も、細かいだけでさほど威力があるようにも見えない突っ張りだったが、時天空が、アゴが上がって、上体が反ってしまったため、電車道となった。
千代大海が突っ張りを当てる場所がよかったのかもしれない。とすれば、それなりの技能だ。

琴欧州は今日も危なかった。張り差しにいったのはよかったが、豪風の引きに泳いだ。
体勢を立て直しつつ逆に引いての勝利。
向正面の玉垣親方が、相撲勘をほめていたが、そうは思えなかった。
琴欧州本来の勝ち方ではない。今場所はまだそういう相撲が一番もとれていないと思う。

栃東がついに3敗。
今日は安馬をほめるべきだろう。安馬としては、今場所初めてこの人らしいいい相撲がとれた。
とりあえず突きで先手をとり、すばやくもろ差しで懐に入った。この動きの速さが安馬の真骨頂だ。
栃東は、攻め込まれた土俵際、網打ちで残したのが精一杯。この時、安馬の左足も俵に乗って危なかったが、栃東にそれ以上攻める余裕が残っていなかった。
栃東は防戦一方の完敗。動き負けているところに、今場所の不調があらわれている。

結び、4戦全勝同士の白鵬雅山は、白鵬の踏み込み次第と思って見た。
白鵬の立ち合いは予想以上で、すぐ左をとって右四つの万全の形。
やはり大関の方が上かと思ったが、そこに落とし穴。
出し投げで崩して後ろにまわったのも、本人の思い通りだっただろうが、ここで白鵬は気をゆるめてしまった。きちんと抱きついて勝負をつけるべきだったが、微妙な距離があいたことで、逆転の突き落としを食ってしまった。
雅山の体も飛んでおり、物言いは妥当なところだが、軍配通りでやむを得ない。取り直しまではいかない相撲だ。
久しぶりに、白鵬の「調子を下ろした相撲」を見てしまった。残念だ。
きちんと抱きついて、と書いたが、そもそも出し投げにいったこと自体が調子を下ろしたとり方。このところの白鵬は、あくまで前に出る相撲を貫く姿勢を見せていたが、今日はそれがなかった。
いい体勢になり過ぎたことが却って仇となった点、先場所の決定戦と同じである。
痛い1敗だが、自業自得。猛省すべきだ。

全勝を守った千代大海雅山がこのまま走れるとは思えないので、この敗戦で気持ちを引き締めることができれば、白鵬がやはり優勝候補の筆頭だろう。