naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

5月場所3日目

東京場所で、西の土俵だまり、テレビによく映る位置に、いつも黄色いどてらを着た、ご老人が何日か座る。
先日亡くなったエリツィン元ロシア大統領にちょっと似ている。
今日の放送で、ご健在を確認できた。

今日のNHKの放送は、正面が佐渡ケ嶽親方、向正面が尾上親方
彼らは前から思っているのだが、しゃべりがはっきりしない。
相撲が本業で、しゃべりは仕事ではないのだから、仕方がないとも言えるのだが、何と言うのかあまりにも覇気がない。
嫌々、めんどくさそうにしゃべっているようにさえ聞こえる。
そんな二人がコンビを組んだ今日の放送はちょっとつらいものがあった。
刈屋アナだけが、妙に浮いてしまっていた。
放送席に座る以上は、もうちょっと何とかしてもらいたいと思うのだが・・・。

岩木山北桜を下して初日。
こういう重量感のある相撲もいいものだ。
思ってみれば、昔の力士は、今よりも身長体重は小さかったが、こういう相撲をとる人が多かった。
やはり、大型化してきている一方で、相撲の内容が変わってきていることを、改めて感じさせられた。

北勝力がいい突きで栃乃花を破って3連勝。
北勝力の腕がよく伸びた。栃乃花も下からよくあてがって応戦したが、しのぎきれなかった。

普天王潮丸を破って3連勝。
勝つには勝っているが、なかなか右上手がとれないなど、内容的にはあまりよくない。

出島は、今日もいい出足で玉春日を圧倒して3連勝。
後半息切れしなければいいが。

露鵬高見盛は、相四つだけに立ち合いすぐ右四つ。
しかし、露鵬が先に上手を充分とり、すぐ前に出たため、高見盛もこらえられなかった。
露鵬はいい相撲だったが、勝負がついた後のダメ押しはよくない。
初日の相撲をひきずっているのだろう。目の前のこの一番に気合いが入ってということなら、まだ許せるが、そうではなかったと思う。

朝赤龍もいい動きでもろ差しから時津海を圧倒。3連勝。

若の里は、立ち合い左四つに組んで一気に走ったが、鶴竜が土俵際右上手からの投げで逆転。
鶴竜のしぶとさが出た。
若の里としては、相撲に勝って勝負に負けた一番。

豊馬将黒海は、黒海が立ち合い頭を下げて当たり、相手の顎の下に頭をつけるようにして押し込んだが、豊馬将はこれを余裕を持って残した。
守りの強さには定評がある豊馬将だが、黒海の攻めが強かったことからすると、この残し方は大したものだ。
残すとすぐに左を差して、一気の逆襲。
左差し手だけで黒海を逆に押し込んだのも目を見張った。
本当に力がついている。
豊馬将の今日の相撲は、派手さはなかったが非常にいい相撲だった。

安馬豊ノ島は、いい相撲だったが、豊ノ島が万全の状態だったら、という結果だった。
しかし豊ノ島はよくとった。立ち合い安馬が突き起こしにいくところ、下からあてがってこらえ、必死に前に出た。
安馬は土俵に詰まって危なかったが、いかんせん、豊ノ島に攻めきる余裕がない。
安馬は土俵際でしぶとく残しながら、左右の前まわしをとり、体を入れかえた。
本当にいい相撲だった。豊ノ島が足を痛そうにしていたが、大丈夫だろうか。

琴光喜安美錦は、腰を痛めているという琴光喜に対して、安美錦はかきまわしに出た。
立ち合い左にまわって食いつき、すそはらいにいったが、バランスを崩し、腰がくだけた。
琴光喜は何もしていない。3日間、内容はよくないが、ともかくも3連勝。

琴欧洲栃煌山は、琴欧洲が久しぶりに目のさめるような相撲を見せてくれた。
立ち合い左から張って、すばやく二本差し。まわしをひきつけるのも速かった。
栃煌山は、琴欧洲相手ではさすがに上背を生かせず、地力負け。

白鵬は、初日、2日目と、表情にいつもと違ったものが見えていたが、今日は普段の顔に戻ったように思った。
しかし、いい呼吸で立てなかった。いったん待ったしかかったようだったが、思い直して立った。
玉乃島が立ち合いから鋭く攻め込んでいたら危なかったが、不充分な立ち合いながら、左から張って右はすぐ差せたので、ひとまず安心できる体勢。
ただ、左上手がとれない。
そこを、上手にこだわらず、小手でふりまわして決めた。
評価の難しい相撲。立ち合いの失敗がありながら、余裕をもってとれたとも言える。
小手の攻めは、思い切りがいいとも言えるし、強引だったとも言える。
3日間の相撲を見ての私見としては、NHKの放送で絶賛されているほどよくないと思う。

千代大海は、過去6戦6勝の琴奨菊戦、今日も一方的。
琴奨菊も苦手意識があるのか、時間いっぱいからいかにも立ちにくそうだった。
一方の大関は自信があふれた相撲。
琴奨菊としては、そろそろいい加減に一矢報いないとまずい。

魁皇垣添に落ち着いた相撲。
立ち合い当たって、かっぱじき気味に小手にまいて後ろにまわった。

朝青龍稀勢の里、楽しみな一番は、一方的な相撲になった。
朝青龍は、立ち合い右から張って横を向かせ、下から押し上げて一気の攻め。
出足とスピードがすばらしかった。
稀勢の里は、仕切りの最中から横綱と目を合わせず、タイミングをはずし気味のテンポで仕切っていた。
一体どういうふうにとりたかったのか、立ち上がってからの相撲からうかがうことができなかった。
横綱の強さだけがきわだって見えた相撲だった。
ある意味では、期待はずれの一番。

これで、関脇以上の全力士が今日も白星を積み重ねて3戦3勝となった。

  (追記)翌日の新聞によると、出場している関脇以上が全員初日から3連勝というのは、
      昭和9年(1934年)春場所以来、実に73年ぶりの快挙なのだそうだ。
      長く相撲を見ている間には、こんなことくらいあったような気がするが・・・。