naokichiオムニバス

68歳、ヴィオラ弾き。ビール大好き。毎日元気。

「ながらの春 室内楽の和音楽祭」室内楽セミナー <最終目:2024.4.13>

3泊4日の室内楽セミナーも最終日、13日(土)。

 

各自部屋を引き払って、鍵と荷物を持ち、9時に管理事務所ロビー(成果発表会の会場)に集合、とのおふれが出ていた。

 

その前に、7時前から、本番前最後の個人練習。

ハイドンベートーヴェンと、それぞれ通して弾くことに慣れておくのを重点とした。

 

ヴィオラ演奏において、私の場合、長いことファーストポジションとサードポジションだけでやってきた。

浦安シティオーケストラのオケ仲間だったIさんが、セカンドポジションを使われているのを見て、自分もできたらいいなと思い、意識して使うようになったのは、ここ2、3年くらいのことだ。

今回の2曲では、セカンドポジションで弾く場面が多く、少し前進したように思う。

 

8時半過ぎ、コテージH棟を後にして、管理事務所へ向かう。

 

管理事務所ロビーには、まだ誰も来ておらず、しばし待つ内、受講生、先生方が順次揃った。


9時半頃,大友先生から連絡事項。成果発表会での休憩タイミングは、8曲(楽章)終わったところ、とのことだった。

つまり、前半の一番最初と最後を私が弾く形になった。

 

●ながらの春 室内楽の和音楽祭 室内楽セミナー 成果発表会
日 時 2024年4月13日(土) 9:45開演
会 場 長柄町都市農村交流センター ワクワクながら 管理事務所ロビー
指 導 クァルテット・エクセルシオ
曲 目 ハイドン 弦楽四重奏曲ニ長調「ひばり」 第2楽章 Va naokichi
    モーツァルト 弦楽四重奏曲第15番ニ短調 第1楽章 Vc Hさん
    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第1番ヘ長調 第1、2楽章 第1Vn Iさん
    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第2番ト長調 第1楽章 第1Vn Yさん
    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第3番ニ長調 第1楽章 第1Vn Kさん
    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第3番ニ長調 第2楽章 第2Vn Kさん
    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第4番ハ短調 第1楽章 Va naokichi
    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第9番ハ長調「ラズモフスキー第3番」 第1、4楽章 第1Vn Iさん
    シューベルト 弦楽四重奏曲第14番ニ短調「死と乙女」 第1楽章 第2Vn Yさん
    シューベルト 弦楽五重奏曲ハ長調 第1楽章 Vc Hさん
    チャイコフスキー 弦楽四重奏曲第1番ニ長調 第1、2楽章 Tグループ

 

客席は、聴講生、主催者関係者がほとんどで、まったくの一般来場者はほとんどいなかったと思われる。

そのため、オープニングを弾く身ではあるが、格別の緊張もなく、レッスンの延長として、本番のその時が来るのを楽しみに待った。

 

しかし。

 

ハイドン

日頃のオケでも毎回そうだが、やっぱり本番は練習と違ってしまう。

緊張するような客席でもないと頭ではわかっているのだが。

「練習は本番のように。本番は練習のように」。よく言われるが、本当に難しい。

このセミナー期間中、レッスンや個人練習で励んできたことを、すべて実行するのは、やはり難しかった。

曲の出だしから、前日までのレッスンではなかったような無造作な音が出てしまい、何でこんな音を出してるんだろう、と自分で驚くことが何度もあった。

つまり、「思っていたよりも、思ったように弾けなかった」、という感じだ。

 

 

そんなとまどいの中でハイドンはすぐに終わってしまい、うーん、ちょっと不本意、という感じで、2人目からの演奏を見ていた。

 

ベートーヴェンが続く。1番、2番、3番。作品18というのは、どれもいい曲だなあ、と思いながら、気持ちを立て直す内、早くも次の出番、ベートーヴェン

こちらも、弾き始めはやっぱり無造作な音だった。このままでは2曲とも思ったように弾けないのか? しかし、34小節目からの8分音符のきざみ、レッスンでも練習でも苦心してきたところが、予想外にうまくはまったので気持ちがちょっと落ち着いた。

先生方と一緒に四重奏を演奏する機会など、もしかしたらこれが最初で最後かもしれない、と思うと、名残惜しい気にもなった。

曲の最後に向かうにつれて、まだ終わってほしくない、という気持ちにもなった。

しかし、曲は経過し、あっという間に私の本番は終わった。

全体としては、ハイドンよりベートーヴェンの方ががんばれたかな、という感じだった。

 

レッスンを受け、個人練習した甲斐があって、「できたこと」はいくつもあった。しかし一方、「結局できなかったこと」もいくつもあった。

自分にとって今回のセミナーの到達点はこの程度だったか、結構練習したつもりでも、ここまでしか登れなかったか、と振り返った。悔いるところはなかったが、挑んだ壁の高さの現実を痛感した。

 

私のベートーヴェンが終わったところで、予定通り休憩。

休憩中に吉田先生とお話をする機会があった。先生からはハイドンは最初だったから緊張したかもしれないが、ベートーヴェンはよかった、との言葉をいただいた。そこにたまたま来られた西野先生からも温かい言葉をいただいた。

このセミナーに参加してやっぱりよかった、と嬉しかった。

(自分自身としては、練習過程で手応えを感じていたのはハイドンベートーヴェンはやはりチャレンジだっただけに苦心した。本番を終えても、ベートーヴェンの方にまだまだ届かぬものの高さを感じたのだが、吉田先生はベートーヴェンの方をほめて下さった)

 

後半のプログラムは、もう自分の出番が終わったので、何かしみじみとした気分で聴いた。

最後は、音大生Tグループのチャイコフスキー。最初の音が鳴り出した瞬間、4人の音のとけあい方が、それまでの「個人受講生+先生方」の演奏とまったく違うのがわかった。

このグループの聴講機会を逸したのを、改めて悔やんだ。

 

12:18、終演。

先生方から一言ずついただき、閉講。先生方にご挨拶と御礼を申し上げた。

 

みんなで会場をかたづける。

個人参加者同士でLINE交換し、グループが作られた。

以後は、先生方、受講生同士で挨拶を交わし、写真を撮ったりしながらの時間となった。

 

先生方と。

 

私は帰りのバスが13:05発で、それを逃すと次が16時台なので、間に合うように抜けてバス停に向かった。

 

とても密度の濃い3泊4日だった。

 

今回のセミナーで痛感したのは、室内楽というジャンルの厳しさだった。

室内楽については、浦安シティオーケストラの合宿などや、マンションの住人で集まっての遊び程度しか経験がない。

それとは次元の違う学びの場と一応理解したつもりで、ハイドンベートーヴェン、2つの楽章に自分なりに取り組んだ。しかし、今回現実に経験できたのは、予想以上に違う世界だった。

帰宅後しばらくして、チェロのHさんから、成果発表会全曲の動画と、私の2回目のベートーヴェンのレッスンの動画が、早々とLINEで送られてきた。観てみた。

当たり前のことではあるが、どれだけ音程(ピッチ)が悪くても、リズムが崩れても、私の音は「4分の1」人分の音として、隠れようもなく聞こえることが、突きつけられるようにわかった。

オケならば、他のパートメンバーの音と混じるところ、「自分のパートは自分しか弾いていない」というのが、いかに逃げ隠れできない厳しい前提であることか。

客席もさることながら、一緒に弾いている先生方が、常に自分を見ている、聴いている、という点。
この「追い詰められ感」は、やはり室内楽だからだ。

「4人で合わせる」ということがいかに大変か。そのほんの一端にふれた思いだ。

日頃オケで弾いていて、他のパートを見ること聴くことは、できるだけ心がけている。特にトップで弾く時はそう努めているつもりだが、その最たるものが室内楽なのだと痛感した。

(妻にも動画をかいつまんで見せたのだが、吉田先生と同じでベートーヴェンの方がよかった(ましだった)との意見だった)

 

それから、わずか2つの楽章でも、最初から最後まで集中を保ったまま弾ききるのは本当に大変だと痛感した。

3年前に、浦安シティオーケストラの有志で開催した室内楽コンサートで、モーツァルトの「ケーゲルシュタット」の1楽章と3楽章を演奏したが、その時にも痛感したことである。もっと長い曲を弾くオケでの実感とは、ここも異なる。

 

こういう経験をして今後、実演や録音で弦楽四重奏を聴く時は、これまでとはずいぶん違った見方になるような気がする。

(セミナー終了から半月余り、弦楽四重奏を聴いていない。聴きたくないという気持ちがまだある)

 

室内楽経験の乏しい私がこのセミナーに参加したことは、無謀だったとも思えるが、反面、本当に貴重な勉強ができたと言うこともできる。

エクセルシオの先生方と一対一で向き合い、ご指導いただいた光栄。

個々の曲のアンサンブル上の注意点、またそもそもヴィオラを弾くにあたって改善すべき点など、短い期間、トータル180分のレッスンで、先生方には本当にたくさんのことを教えていただいた。

室内楽実践の場は引き続き少ないと思うが、できるだけ忘れずに、オケでの演奏に活かしていきたい。

・他パートの動きを知ること(スコアをちゃんと読むこと)。
・関連するパートとの、音量やニュアンスを合わせること。
・休符で呼吸を飲み過ぎない。
・きざみでアップボウが重くならない。
・音の切り方を揃える。
・弓を置いた状態で音を出す。音を出してからふくらませない。 等々

 

このセミナーは、今後も続くように聞いている。

仮に再度参加するならば、もっと鍛えてから。

もっと練習を積んで、今回よりもがんばれると思えるようになったら。

(と言いつつ、次に先生方と一緒に弾きたい曲は考え始めたりしている)

 

先生方の教え、そして一緒に過ごして下さった受講生の皆さんとの出会いに心から感謝したい。

 

セミナー往復、期間中に聴いた音楽

    ハイドン ひばり

       イタリア四重奏団

       スメタナ四重奏団(1980年録音)

    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第4番

       東京クヮルテット(1991年録音)

       ジュリアード弦楽四重奏団(1968年録音)

    ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第5番

       グルダ(1967年録音)

    ハイドン ひばり 第2楽章

       エマーソン弦楽四重奏団

    ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第4番 第1楽章    

       ジュリアード弦楽四重奏団(1968年録音)

       ミケランジェロ弦楽四重奏団

    ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第5番、第6番、第7番、第8番

       グルダ(1967年録音)