改めて、いい曲だと思った。
一見シンプルな楽譜だが、さすがに
モーツァルト円熟期の作品だ。
今日聴いて特に思ったのは、転調の妙である。
宇野功芳氏が、自著で、フランクの
交響曲ニ短調をさして「魔法のような転調に彩られた作品」と評していたことがある。
私にとっては、「魔法のような転調」と言えば、
シューベルトの「未完成」だ。
しかし、この「
プラハ」も、劣らず魔法のような転調だ。
例えば、第1楽章の第2主題。96小節後半からの
長調の主題が、8小節後に、まったく同じ音形で104小節後半から
短調になる。
まったくシンプルな作りだが、音楽の表情が一変する驚き。
今日聴いていて改めて気づいたのが、本当に細かい部分だが、
218小節の
オーボエが次の小節で
長調から
短調に変わる絶妙な効果。
第2楽章などは、全編転調の妙に翻弄される。
そして、第3楽章の軽やかにして練達の筆致。
こんな傑作を、明日はステージで演奏できる。何と幸せなことか。